「アメリカ英語とイギリス英語って、何がどれくらい違うの?」という疑問に、この記事でまとめて答えます。
発音やスペルのちがいは有名ですが、実は文法や単語の使い方にもパターンがあります。
また、「自分はどちらを基準に学ぶべきか」「どこまでこだわればいいのか」も、学習を進めるうえで大きなテーマです。
ここでは、両者の違いを体系的に整理しつつ、学習者にとって本当に必要なポイントだけを厳選して解説します。
読み終わるころには、「まずはどちらを軸に学ぶか」「もう一方はどこまで知っておけば安心か」がはっきりするはずです。
- アメリカ英語とイギリス英語の基本的な違いと歴史背景がわかる
- 発音・スペル・文法・語彙の代表的な差を具体例つきで理解できる
- 自分の目的に合った「どちらの英語を基準にするか」が判断できる
- 混在を避けつつ、両方をストレスなく理解するための学習法がわかる
アメリカ英語とイギリス英語の全体像
まずは、アメリカ英語とイギリス英語が世界の中でどのように位置づけられているのかを整理します。
ここを押さえると、「どちらを選ぶべきか」の判断もしやすくなります。
両者の定義と位置づけ
結論からいうと、アメリカ英語もイギリス英語も、どちらも「正しい標準英語」です。
ただし、「どの国で教育の基準になっているか」「どの業界でよく使われるか」という意味で、少し役割が違います。
ふつう次のように整理できます。
「世界の標準はどっち?」という点では、ビジネスや国際機関ではイギリス英語寄りのスペル・文体が採用されることも多いです。
一方で、映画・音楽・インターネットなど、日常的に触れる英語はアメリカ英語が圧倒的に多く、日本人にはこちらがなじみやすいです。
たとえば、日本の学校教育で使われる教科書や多くの参考書はアメリカ英語ベースです。
一方、国連の公用語としての文書スタイルは、イギリス英語に近いスペルがよく使われます。
話される地域と世界的分布
世界には約15億人の英語話者がいて、その多くは第二言語として英語を使う人たちです。
どちらの英語がどの地域で主流かを知っておくと、自分の進路に合わせて選びやすくなります。
ざっくりした分布は次のとおりです。
カナダは会話はアメリカ英語に近く、スペルはイギリス式(colour, centre など)という「ハイブリッド型」です。
オーストラリアやニュージーランドも、基本はイギリス英語ですが、独特の発音や単語があります。
日本では、中学英語・高校英語・多くの資格試験(TOEIC・英検など)がアメリカ英語を前提にしています。
そのため、日本人にとっては「まずアメリカ英語を軸に学び、必要に応じてイギリス英語の特徴を追加で学ぶ」という流れが自然です。
英語の世界的な広がりや地域ごとの違いは、たとえば子ども向けの英語解説サイトなどでも整理されています。
参考として、英語話者の分布を紹介している教育系サイト
QQキッズのコラム
なども合わせて読むと、イメージがつかみやすくなります。
違いが生まれた歴史背景
二つの英語が違うのは、「どちらかが勝手に変な英語になった」からではありません。
それぞれが、歴史や文化の違いの中で自然に変化していった結果です。
ポイントになる出来事を簡単にまとめると、次のようになります。
つまり、アメリカ英語は「古いイギリス英語の特徴をわりと残した形」で、イギリス英語はその後さらにフランス語風の変化を受けた側面があります。
たとえば r を強く発音するアメリカ英語の方が、シェイクスピアの時代のイギリスに近い発音だったという説もあります。
この歴史をおさえておくと、「どちらが正しいか」ではなく、背景が違うだけの“バリエーション”として受け止めやすくなります。

発音とスペルの主な違い
この章では、学習者が特に混乱しやすい「音」と「綴り」の違いを整理します。
代表的なパターンを知っておくと、知らない単語を見聞きしたときも、どちらの英語なのか推測しやすくなります。
rとtなど発音の代表差
まず、聞いてすぐにわかる大きな違いが、r と t の発音です。
r の違いは次の通りです。
t の違いもよく話題になります。
実際の例文で確認してみましょう。
-
英語:I need some water in the car.
日本語:車の中に水が少し必要です。
この一文でも、アメリカ英語では「ニード」「ワラー」「カー[r]」、イギリス英語では「ニード(r弱め)」「ウォーター」「カー」と、音の印象が大きく変わります。
慣れるまでは聞き取りづらく感じますが、パターンを意識して聞き比べれば、だんだん耳が慣れてきます。
母音とイントネーションの違い
子音だけでなく、母音やイントネーションにも違いがあります。
特に有名なのが a と o の音です。
代表的な単語で比べると、次のようになります。
また、can の発音も違います。
アメリカ英語では「キャン」「キャーン」とやや強く発音されることが多く、イギリス英語では軽く「カン」と聞こえやすいです。
否定形の can’t も、アメリカでは「キャント」、イギリスでは「カント」に近くなります。
イントネーション(声の上下)にも傾向があります。
たとえば “I don’t really know what to do about it.” のような文では、イギリス英語の方が音の上下がはっきりして、ドラマチックな印象になります。
一方、アメリカ英語は一定の高さでさらっと話す人が多いです。
スペル差のパターン一覧
次に、読み書きでよく問題になるスペルの違いです。
よく出るパターンだけでも覚えておくと、仕事や試験でのミスをかなり減らせます。
代表的なものを表にまとめます(左:アメリカ英語、右:イギリス英語)。
| パターン | アメリカ英語 | イギリス英語 | 例 |
|---|---|---|---|
| -or / -our | color, labor | colour, labour | 「色」「労働」 |
| -er / -re | center, theater | centre, theatre | 「中心」「劇場」 |
| -ize / -ise | organize, realize | organise, realise | 「~を組織する」「気づく」 |
| e / ae・oe | pediatric, fetus | paediatric, foetus | 医学・学術用語に多い |
| -og / -ogue | catalog, dialog | catalogue, dialogue | 「目録」「会話」など |
| -l / -ll | traveled, canceled | travelled, cancelled | 過去形・過去分詞で違い |
ここで大事なのは、「どちらか一方が間違い」ということではない点です。
ビジネス文書や試験では、文書の中で表記を統一することが一番大切です。
たとえば、アメリカ企業向けの資料なら color, organize, center で統一するとよいでしょう。
イギリスやヨーロッパの企業向けなら、colour, organise, centre に合わせるのが自然です。
スペルの違いは、英語教育サイトなどで詳しく一覧になっています。
参考として、オンライン英会話がまとめている比較記事
ECCオンラインレッスンのコラム
なども確認しておくと、さらにパターンをおさえやすくなります。

文法と語彙の違いと注意点
この章では、実務や試験で混乱しやすい文法の差と、分野別の語彙の違いをまとめます。
ここを押さえておくと、「どちらか一方しか通じない」「意味を取り違える」といったトラブルをかなり減らせます。
文法の押さえるべき差
文法については、教科書レベルのルールはほぼ共通です。
ただし、日常でよく使う部分にいくつか「好みの違い」があります。
特に注意したいのは次の4つです。
例文で見てみます。
-
英語:I’ve just had lunch.(英) / I just had lunch.(米)
日本語:ちょうど今お昼を食べたところです。 -
英語:He has learnt a lot.(英) / He has learned a lot.(米)
日本語:彼はたくさんのことを学んできました。 -
英語:The team is strong.(米) / The team are strong.(英)
日本語:そのチームは強いです。
現在完了と過去形の使い分けでは、イギリス英語は「今とつながる過去」のとき現在完了をよく使います。
アメリカ英語では、副詞(just, already, yet など)があっても過去形を使うことが多いです。
get の過去分詞も有名です。
-
英語:He’s gotten so fat.(米) / He’s got so fat.(英)
日本語:彼はとても太っちゃったね。 -
英語:You could have got hurt.(米) / You could have gotten hurt.(英)
日本語:君、怪我をするところだったよ。
ただし、「持っている」の意味の have got や、「〜しなければならない」の have got to では、どちらも got を使い、gotten にはしません。
細かい差はありますが、どちらを使っても通じないということはほとんどなく、試験でも大きな減点になるケースは少ないです。
分野別の語彙の違い
次に、よく使う単語の違いを分野ごとに整理します。
旅行や留学、仕事で特に役に立つ部分です。
代表的な例を挙げます。
会話では、文脈でだいたい意味がわかることが多いですが、試験やビジネスメールでは相手のバリエーションに合わせておくと安心です。
誤解を招きやすい単語
中には、「同じ単語なのに意味が変わってしまう」要注意語もあります。
誤解を避けるため、代表的なものは覚えておきましょう。
これらは、現地で少し気まずい場面を生みやすい単語です。
たとえばイギリスで “I like your pants.” と言うと、「あなたの下着、いいね」という意味になってしまいます。
安全策としては、海外旅行や留学の前に、「よく行く国のバリエーションでの言い方」を1回整理しておくことです。
一度頭に入れておけば、現場で混乱してもすぐに気づけるようになります。

どちらを学ぶかと学習戦略
ここまでの違いを踏まえて、「では自分はどちらを軸に学ぶべきか」「混在をどう防ぐか」という実践的な話に進みます。
最終的なゴールは、どちらの英語もストレスなく理解できる状態です。
目的別の英語選択基準
どちらを学ぶかで迷ったら、「どこで・何のために英語を使うか」から逆算して決めるのが一番です。
代表的なケースを整理すると、次のようになります。
どちらを選んでも、世界で通じないということはありません。
大切なのは、一度軸を決めたら、そのバリエーションでできるだけ統一して学ぶことです。
日本人に合う基準と試験
日本人にとって学びやすいのは、総合的にはアメリカ英語だと言えます。
理由はシンプルで、日本の学校教育・教材・試験・メディアの多くがアメリカ英語ベースだからです。
試験との関係で整理すると、次のようになります。
もちろん、どの試験でもアメリカ・イギリス両方の音声やスペルに触れることはあります。
ですが、出題者が想定している標準は上のような傾向があります。
「どちらが発音しやすいか」という点では、イギリス英語の方が r を弱く発音するため、楽だと感じる人もいます。
一方で、「r が出たら全部強く読む」アメリカ英語の方がルールが単純で、覚えやすいという意見もあります。
まとめると、多くの日本人にとっては、
① 基本はアメリカ英語で学ぶ → ② 必要に応じてイギリス英語の特徴を足す
という流れが効率的です。
混在を避けるコツと到達目標
最後に、「どこまで違いにこだわるべきか」「どうやって混在を防ぐか」という実践的なポイントです。
現実的なゴールは次の2つです。
そのためのコツをいくつか挙げます。
※ビジネス文書やレポートでは、1つの文書の中で color と colour を混在させるのはマナー違反とされることがあります。どちらかに必ず統一しましょう。
最終的には、「完璧にどちらのアクセントも話せる」必要はありません。
現実的な目標は、
・自分の軸の英語でスムーズに話せる/書けること
・もう一方の英語も、発音とスペルの違いを知っていて、問題なく理解できること
この2点です。

まとめ
最後に、この記事の要点をまとめます。復習や今後の学習計画づくりに役立ててください。


