「高校生で英検1級って現実的なの?」「受験勉強と両立できる?」「準1級からどれくらい大変?」と迷っている人に向けて、データと実例にもとづいて整理したガイドです。
この記事では、高校生で英検1級を目指すべきかどうかから、準1級とのレベル差、大学入試での扱い、具体的な勉強法とベストなタイミングまでを一気に解説します。
文系・理系、志望学部や現在の英語力によって「おすすめの戦略」は大きく変わります。
読み進めながら「自分はどのパターンか」を当てはめて考えてみてください。
- 高校生で英検1級を目指すべきかどうかの判断軸がわかる
- 準1級と1級のレベル差・必要勉強時間のイメージがつかめる
- 高校生が1級を取るメリット・デメリットと入試での扱いを理解できる
- 留学なし高校生向けの現実的な勉強法と挑戦のベストタイミングがわかる
高校生が英検一級を目指すべきか
まずは一番気になる「そもそも高校生で英検1級を目指すべきなのか?」というテーマから整理します。
高校生の合格者は少数派ですが、毎年たしかに存在します。
ただし、文系か理系か、志望大学のレベルや英検利用制度によって、優先順位はかなり変わります。
この章では、データと実例をもとに「現実的に狙えるか」「受験とのバランスはどうか」を冷静に判断できるようにします。
高校生合格者の実態と割合
英検1級は最上級なので、高校生の受験者自体がかなり少ないです。
ある調査(2016年度)では、高校生の受験者数は次のように報告されています。
| 級 | 高校生受験者数 |
|---|---|
| 2級 | 84,741人 |
| 準1級 | 12,285人 |
| 1級 | 1,160人 |
高校生で1級を受ける人は、2級の約70分の1程度しかいません。
ただし、一次試験の高校生合格率はおよそ44%とされています。
準1級の一次合格率(高校生)は約18%なので、「受ける人のレベルがかなり高い」ことがわかります。
つまり、
というのが実態です。
実例としては、高2で1級合格・準1級は中学生のうちに取得というケースや、小6・中1で1級合格というトップ層もいます。
一方で、高3理系で受験勉強と両立しながら1級を目指すのは相当ハードで、「おすすめしない」という経験談もあります。
このように、高校生でも十分合格可能だが、条件と戦略を間違えると負担だけ大きくなるというのが現実です。
狙えるレベルかの判断基準
次に、「自分は1級を狙っていいレベルか」を考える基準を整理します。
目安として、以下を満たしていれば「戦略次第で現実的」と考えてよいです。
逆に、
「準1級にまだ余裕がない」「英語は得意だけど、長文は時間ギリギリ」「英語以外の教科に不安が大きい」という場合は、まず準1級レベルの安定を優先した方が良いです。
もう一つ重要なのは、志望校との関係です。
たとえば、
を志望するなら、1級レベルまで伸ばす価値は高いです。
一方で、理系や一般的な学部では、多くの場合、準1級があれば出願や加点に十分なことも多く、1級は「あるとすごいが、必須ではない」資格になりがちです。
自分の状況を整理するときは、
「今の英語力」「他教科の状況」「志望校の英検利用制度」の3つを必ずセットで見てください。
受験勉強との優先順位
特に悩みやすいのが、「受験勉強との両立」です。
経験談や難易度を総合すると、おおよそ次のような方針が現実的です。
とくに高3理系の場合、実際に「東大理系でも1級レベルの問題は出ない」「1級対策は入試で聞かれない超難単語が多く、オーバーワークになりがち」という指摘があります。
受験期に1級対策へ全力投球すると、他教科の成績が落ちるリスクも高くなります。
このため、
・高2までに準1級を取り終えた文系・国際系志望 → 高2〜高3夏に1級挑戦もアリ
・高3から準1級を取った理系 → 1級は大学合格後に回すのが安全
と考えるのが無難です。
どの場合でも、受験英語(文法・精読・過去問)を犠牲にしてまで1級を優先するのはおすすめできません。

英検一級のレベルと位置づけ
ここでは、英検1級そのもののレベルや、準1級・2級との違いを整理します。
「どれぐらい難しいのか」「大学入試と比べてどのくらい上なのか」を知ることで、自分の目標設定がしやすくなります。
公式情報や大学受験のデータも参考にしながら、イメージしやすい形でまとめます。
英検一級の概要と難易度
英検1級は、英検の中で最上位の級です。
公式には「社会生活で必要とされる英語を十分に理解し、使うことができるレベル」とされており、ビジネスや大学の専門分野にも踏み込んだ内容が出題されます。
試験構成は次の通りです(一次試験)。
二次試験は面接で、
・短い自由会話
・2分間スピーチ
・スピーチ内容などに関する質疑応答
といった流れです。
難易度のポイントは、特に次の3つです。
高校生の多くが目標にする2級が「高校卒業程度」とされるのに対し、1級は「高度な教養と時事知識を前提とした英語運用力」が求められます。
くわしい出題形式や最新の日程は、英検公式サイトの「試験日程・受験案内」から確認できます。
英検公式サイト:試験日程・受験案内では、個人申込と学校経由の団体申込の両方の案内がまとめられています。
準一級との具体的なレベル差
多くの高校生が気になるのは、「準1級と1級の差」です。
実際に両方を受けた人の多くが、「2級→準1級よりも、準1級→1級の方がはるかに大きい」と感じています。
主な違いは次のとおりです。
| 項目 | 準1級 | 1級 |
|---|---|---|
| 語彙数の目安 | 約7,500〜9,000語 | 約10,000〜15,000語 |
| 長文テーマ | 一般的な時事・教養 | 専門的な社会・科学・政治など |
| ライティング | エッセイ1題(型を覚えれば対応もしやすい) | 要約1題+高度なトピックのエッセイ1題 |
| スピーキング | 身近な社会問題まで | 抽象的な社会課題への2分スピーチ |
とくにライティングでは、準1級は「テンプレ+よく使う表現」である程度対応できますが、1級はそうはいきません。
・200〜240語という語数
・日本語でも書くのが難しい社会問題のトピック
・限られた時間での構成力
が必要です。
そのため、準1級から1級へ進むには、単語帳だけでなく、英字新聞やニュースサイト、論説文など「本物の英文」をとにかく読み込む必要があります。
また、語彙問題はすべて正解する必要はありませんが、合格を狙うなら語彙問題で6割前後、長文で8割程度を目標にするのが現実的です。
二級までとの到達目安
高校生全体の中で見ると、2級・準1級・1級は次のような位置づけになります。
先ほどのデータの通り、高校生の受験者数は2級が約8.5万人に対し、1級は1,160人程度です。
目安としては、
・一般的な国公立・私立大志望の理系:2級〜準1級が取れていれば実用上十分
・難関私大・国公立文系志望:準1級が強い武器。英語系・国際系なら1級を視野に
・最上位大学(東大・一橋・外大など)や英語専門進路:準1級+1級レベルで、英語は受験でもかなり有利
と考えるとイメージしやすいでしょう。
「どこまで目指すべきか」は、受験で必要なレベルと、自分の将来像(留学や英語を使う仕事への興味)から逆算して決めるのがポイントです。

高校生が取るメリットとデメリット
ここからは、高校生が英検1級を取ることで得られるメリットと、見落としがちなデメリットを整理します。
大学入試での評価や将来のキャリアへの効果、そして学習負荷や受験への影響を、データと具体例を交えて説明します。
大学入試での評価と活用法
近年、多くの大学が英検を入試に活用しています。
とくに上位級(準1級・1級)は、
などで使われることが増えています。
具体例をいくつか挙げます。
・早稲田大学 国際教養学部:英検を英語4技能テストとして利用
英検1級 → 満点(20/20)、準1級 → 14/20 といったように、1級の評価が一段高くなっています。
・早稲田大学 商学部(4技能利用型):英検1級で最大加点、準1級では加点なし、といったケースもあります。
・一橋大学の一部推薦入試:英検1級が出願条件に含まれることがあります。
このように、「準1級でも十分な大学」もあれば、「1級まで取ると評価が大きく跳ね上がる大学」もあります。
ただし、どの大学がどの級をどう評価するかは大学ごとに大きく違います。
志望校の最新情報は、必ず大学公式サイトの入試要項で確認してください。
英検と大学入試の関係をデータで整理しているサイトもあります。
たとえば、英検合格率や大学入試での活用状況をまとめた次のようなページは参考になります。
重要なのは、「自分の志望校が、準1級と1級をどれくらい差をつけて評価しているか」をちゃんと調べた上で、どこまでを目標にするかを決めることです。
英語力向上と将来のメリット
英検1級レベルを目指す学習は、大学受験に限らず、その後の人生にも大きくプラスになります。
主なメリットは次の通りです。
実際、英検1級レベルに達していれば、東大や国立医学部の英語にも十分対応できるという指導者の声もあります。
また、ビジネスの場で必要とされる英語にかなり近い内容が出題されるため、「試験のためだけの英語」ではなく、「実際に使える英語」が鍛えられます。
高校生のうちに1級を取っておけば、
・大学での授業や専門書の英語文献
・海外ニュースや学術記事の読解
にスムーズについていきやすくなります。
将来、英語を使う仕事(商社・外資系企業・研究職など)を目指す人にとっても、1級はわかりやすい「看板」になります。
学習負荷とリスクの整理
一方で、英検1級を高校生で目指すことには、はっきりしたデメリットもあります。
とくに重要なのは、次の3点です。
理系の高3生が「数学と英語への悪影響」を心配して1級挑戦を相談したケースでも、回答者(高2で1級合格)は「高3理系にはあまり勧めない」と結論づけています。
理由は、
・東大理系でも1級レベルの語彙はほとんど出ない
・私大理系でも、1級対策より数学・理科に時間を割く方が合格率が上がる
といった点でした。
これは文系でも同じ側面があり、「一般的な文系学部」なら準1級レベルの語彙で十分戦える大学が多いのも事実です。
そのため、
・英語系・国際系・外語系を志望しているか
・1級が明確に有利になる入試方式があるか
をよく確認したうえで、受験期にどこまで1級対策に時間を割くかを決めることが大切です。

高校生向け勉強法とベストな時期
最後に、「具体的にどう勉強するか」「いつ挑戦するのがよいか」を整理します。
ここでは、準1級レベルから1級を目指す高校生を想定して、必要勉強時間の目安、4技能別の勉強法、そして学年・文理別のおすすめタイミングを解説します。
必要勉強時間と学習計画
準1級レベルから1級合格までに必要な追加学習量は、おおよそ500〜600時間とよく言われます。
これを期間別に割ると、目安は次のようになります。
| 期間 | 必要時間(目安) | 1日あたりの勉強時間の目安 |
|---|---|---|
| 半年(約180日) | 500時間 | 約2.5〜3時間 |
| 1年(約365日) | 500時間 | 約1.5時間 |
ここでいう「勉強時間」には、
・学校の英語授業の一部
・英字ニュースを読む時間
なども含めて考えてOKです。
現実的には、
といったペースが、高校生活と両立しやすいです。
また、1級対策を「受験英語の延長」として設計すると効率が良くなります。
たとえば、
・英文要約の練習 → 東大・京大などの二次試験対策にもなる
・英字新聞多読 → 長文読解のスピードと語彙を一緒に鍛えられる
など、「入試でも活きる勉強」を意識して選ぶことが大切です。
技能別の具体的勉強法
ここでは、4技能ごとに高校生でも実践しやすい勉強法をまとめます。
すべてを一度に完璧にしようとするのではなく、「今の自分の弱点」に絞って強化すると効率が上がります。
1. リーディング
・語彙問題(大問1)の目標は正答率6割程度
・「英検1級でる単」などの単語帳+ニュース記事で、見たことのある単語を増やす
長文対策は、次の3ステップがおすすめです。
最初は「精読+要約」で理解を重視し、慣れてきたらスピードアップを意識します。
2. リスニング
1級では、長く話を聞き続ける集中力がカギになります。
おすすめは「書き取り+要約→1回聞き」のステップです。
・最初は短めの音源を聞き、できるだけ書き取る
・2回目に聞いて書き取りを修正し、その内容を要約する
・慣れてきたら、「1回だけ聞いて解く」練習に移行する
このトレーニングにより、「細部まで聞き取る力」と「要点をつかむ力」の両方が鍛えられます。
3. ライティング(要約+英作文)
新形式では、英文要約とエッセイの2題があります。
効率を上げるコツは、模範解答の「模写トレーニング」です。
・段落ごとのまとめ方
・段落をつなぐ表現(However, On the other hand, In addition など)
・結論の言い換え表現
を意識しながら書き写し、「使えるフレーズ集」を自分の中にためていきます。
また、1級の英作文はトピック知識も重要です。
「環境問題」「テクノロジー」「少子高齢化」など頻出テーマをまとめた参考書(英検1級英作文問題 など)を使い、1日1題ペースで
・自分で書く
・模範解答と比べる
・模範解答を模写する
というサイクルを回すと力がつきます。
4. スピーキング(二次試験)
二次試験では、2分間スピーチが中核です。
・「導入→意見→理由1→理由2→結論」という型を決めてしまう
・頻出トピック(教育、環境、テクノロジーなど)について、日本語でもいいので自分の意見を3つ程度整理しておく
・スマホで自分のスピーチを録音し、時間と内容をチェックする
といった練習が有効です。
可能なら、学校の先生やオンライン英会話を使って模擬面接をしてもらうと、本番の緊張にも慣れやすくなります。
挑戦する時期とパターン別指針
最後に、「いつ1級に挑戦するのがよいか」をパターン別に整理します。
パターン1:高1・高2で準1級合格済みの文系・国際系志望
・1級挑戦のベストタイミング:高2〜高3夏
・理由:受験勉強が本格化する前に1級を取り切れれば、その後の入試で大きな武器になるからです。
パターン2:高2〜高3で準1級を取った文系
・1級挑戦の目安:志望校の入試で「1級が明確に有利」な場合に限り、高3夏までに1〜2回挑戦
・そうでなければ:高校では準1級レベル+受験英語の完成を優先し、1級は大学入学後に回す方が安全です。
パターン3:理系(国公立・私立問わず)
・高2までに準1級取得 → 英語系や国際系に進む予定でなければ、1級は大学以降でOK
・高3で準1級取得 → 受験期に1級を目指すのは原則おすすめしません。数学・理科への投資時間が足りなくなりやすいからです。
留学なし高校生の「英語との付き合い方」
留学経験がなくても、高校生で1級に合格している人は増えています。
共通しているのは、「実際に使われている英語」にたくさん触れている点です。
たとえば、
といった習慣が、長期的には一番効いてきます。
テストのためだけでなく、「好きなこと×英語」をセットで育てられる人ほど、自然と1級レベルの英語力に近づいていきます。

まとめ
最後に、高校生が英検1級を目指すうえで押さえておきたい要点をまとめます。

