英検準一級は「大学中級レベル」と言われ、2級から一気に難しくなります。単語も長文も専門的になり、独学だとどこから手を付けていいか分からなくなりがちです。
この記事では、試験の全体像から必要な学習時間、3〜6ヶ月の具体的な勉強計画、技能別の対策法、教材選び、挫折しない工夫までを一つのロードマップとして整理します。
今の実力がどのレベルでも、「まず何をして、どの順番で進めるか」が分かるように書いています。
- 英検準一級のレベル感と試験内容が具体的に分かる
- 自分の現状から合格までに必要な期間と勉強時間を見積もれる
- リーディング・リスニング・ライティング・スピーキングの対策方法が分かる
- 最小限の教材で、3〜6ヶ月で合格を目指す勉強計画を立てられる
英検準一級のレベルと全体像
まずは「どれくらい難しいのか」「どんな力が必要か」を正しく知ることが大切です。ここをあいまいにしたまま勉強すると、負荷の割に点数が伸びません。
この章では、レベル感や試験形式、合格ラインを押さえたうえで、「自分はどこから対策を始めるべきか」が見えてくる状態を目指します。
準一級の難易度とレベル
英検準一級は、英検公式でも「大学中級程度」とされています。扱う話題は、環境問題、少子高齢化、テクノロジー、ビジネス、医療、教育など、ニュースでよく見るテーマが中心です。
必要な語彙数はおおよそ7,000〜9,000語と言われ、2級の約1.8倍です。2級では日常生活+少し難しい話題まででしたが、準一級では「新聞や雑誌の記事をスラスラ読める」レベルが求められます。
他の試験との目安は次のように考えるとイメージしやすいです。
| 試験 | おおよその目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 英検2級 | 高校卒業レベル | 日常+身近な社会問題 |
| 英検準1級 | 大学中級レベル | 専門的・抽象的なテーマが増える |
| TOEIC LR | 700〜800点程度 | リーディング・リスニング中心 |
| TOEFL iBT | 60〜80程度 | 大学講義レベルの英文が多い |
文法自体は2級と大きく変わりませんが、文が長くなり、関係詞や分詞構文などが多くなります。「単語が難しい長文を、時間内に速く読む力」が大きな壁になりやすいです。
公式サイトでも、レベルや試験のねらいが詳しく説明されています。全体像をつかみたい人は、日本英語検定協会の準1級ページも一度目を通しておくと良いでしょう。
試験形式と各パート概要
英検準一級は一次試験(R/L/W)と二次試験(S)の2段階です。それぞれの概要は次の通りです。
一次試験:
リーディングは、語彙問題(短文の空所補充)、長文の空所補充、長文内容一致の3タイプです。ライティングは「英文要約」と「意見エッセイ」の2問。リスニングは会話文・説明文・アナウンスなどから内容一致を選ぶ形式です。
二次試験(面接)は約8〜10分で、内容は
・入室〜簡単な日常会話
・4コマイラストのナレーション(約2分)
・イラスト関連の質問
・トピックに関する意見を問う質問が3問前後
となっています。テーマは在宅勤務、喫煙規制、チャイルドシート、住民運動、護身術など、社会性のあるトピックが多いです。
一次で「読む・聞く・書く」、二次で「話す」をバランスよく測る試験だと意識しておくと、勉強の配分が決めやすくなります。
合格ラインと現状把握
英検準一級の合否はCSEスコアで判定されますが、目安としては各技能で7割前後取れていれば合格圏と言われます。どこか一つが極端に低いと、他でカバーしきれないことも多いです。
勉強を始める前に、次のステップで現状を把握しておきましょう。
大まかな目安は次の通りです。
・正答率70%以上:あと1ヶ月前後、1〜3時間/日で合格圏
・50〜70%:1〜3ヶ月、3〜5時間/日で伸ばせる可能性大
・50%未満:6ヶ月以上、3〜5時間/日でじっくり取り組む必要あり
この「初回の過去問診断」をしないまま、単語帳や問題集だけを進めてしまうと、必要のない分野に時間をかけてしまいがちです。まずは現実を数字で見てから、戦略を立てましょう。

合格までの期間設計と学習戦略
同じ「準一級合格」でも、2級レベルから始める人と、すでにTOEIC800点レベルの人では必要な時間が全く違います。この章では、学習時間の目安と3〜6ヶ月のモデルプラン、独学とスクールの使い分けを整理します。
必要学習時間の目安
英検2級合格レベルから準一級合格までに必要な学習時間は、おおよそ400〜600時間が目安です。かなり幅がありますが、「現時点の実力」「英語学習の経験」「勉強の質」によって大きく変わります。
1日の勉強時間ごとの期間イメージは次のようになります。
・1日2時間:7〜10ヶ月
・1日3〜4時間:4〜6ヶ月
・1日5〜6時間:3ヶ月前後
3ヶ月で合格を狙う場合、3ヶ月×約130時間=400時間前後が一つの目安です。高校生や社会人がこれだけ時間を捻出するのは簡単ではないので、通学時間や休み時間、家事の合間など、あらゆるスキマ時間を単語や音声に回す工夫が必要になります。
なお、「誰でも3ヶ月で合格できる」というのは現実的ではありません。過去問の正答率が50%未満の場合は、無理に3ヶ月にこだわらず、半年〜1年を見て計画した方が結果的に近道になることも多いです。
3〜6ヶ月の学習プラン
ここでは、2級レベルは既に持っている人が「3〜6ヶ月で準一級合格」を目指す場合の、基本的なフェーズ分けを紹介します。大きく3段階に分けると進めやすくなります。
最初の1ヶ月は、「総合対策本+過去問」で試験形式と解き方を理解しつつ、単語帳を1周回す時期です。過去問は最低3回分を解き、セクションごとの得点と時間感覚をつかみます。文法に穴がある人は、この段階で高校基礎文法を一気に復習します。
フェーズ2(2〜4ヶ月目):弱点補強と実力アップ
この時期は、過去問と診断結果をもとに「語彙」「長文」「リスニング」「ライティング」「スピーキング」の中から弱い技能に絞って強化します。単語帳は2〜3周目に入り、覚えられない単語を重点的に潰します。リーディングやリスニングの専用問題集を使うのもこの段階です。
フェーズ3(最後の1〜2ヶ月):本番形式の演習と仕上げ
ここでは時間通りの過去問・模試を中心に、本番に近い形で演習を繰り返します。目標は「過去問5〜6回分で合格ラインを安定して超える」ことです。同時に、解答順序や時間配分、エッセイのテンプレ、二次試験の話し方の型も固めていきます。
3ヶ月であれば、各フェーズを1ヶ月ずつ。半年であれば、フェーズ2に3〜4ヶ月かけてじっくり実力を伸ばすイメージです。
独学とスクールの判断軸
準一級は独学でも十分合格可能です。ただし「短期間で確実に取りたい」「ライティング・スピーキングの自己判断が難しい」という場合は、スクールやオンライン英会話の活用も検討する価値があります。
独学の最大のメリットは、費用が安く自由度が高いことです。一方で、勉強法や答案の質に不安が残りやすく、モチベーション維持が課題になりがちです。
スクールや英検対策コースが向いているのは、「勉強のペースメーカーが欲しい人」「ライティングの添削や面接練習をプロに見てもらいたい人」です。特に準一級レベルでは、採点基準を理解した講師からのフィードバックが、ライティングとスピーキングの伸びを大きく左右します。
ただし、一般的な会話中心のオンライン英会話だと試験対策としては弱い場合があります。選ぶなら「英検準一級専用カリキュラム」や「ライティング添削・模擬面接付き」のサービスに絞るとよいでしょう。

技能別の具体的な勉強法
ここからは、リーディング・リスニング・ライティング・スピーキングの4技能ごとに、具体的な勉強法とコツを整理します。「何を、どの順番で、どのくらいの負荷でやるか」をイメージしながら読んでみてください。
語彙とリーディング対策
準一級対策の土台は何と言っても語彙です。長文が読めない、リスニングが聞き取れない、エッセイで言いたいことが書けない、といった悩みの多くは、実は単語不足から来ています。
語彙対策の基本は、準一級レベル専用の単語帳を1冊決めて周回することです。「出る順」や「頻出ランク」が付いているタイプを選ぶと効率が良いです。
2周目以降は、印が付いている単語を中心に何度も見返します。このとき、日本語訳だけでなく、「発音」「品詞」「よく一緒に使われる単語(コロケーション)」もセットで覚えると、リスニングやライティングでも使える語彙になります。
リーディング対策では、「過去問で時間配分に慣れること」と「読み方のコツを身に付けること」が重要です。具体的には、
・設問を先に読み、「何を探すか」を意識してから本文を読む
・パラグラフごとに「一言で言うと何の段落か」を頭の中でまとめる
・however, therefore, in contrast などの接続表現に印を付けて、話の転換点を意識する
といった読み方を習慣にしていきます。最初は時間がかかりますが、慣れてくると自然にできるようになります。
リスニングと音声トレーニング
準一級のリスニングは、音声のスピード自体は極端に速くありませんが、内容が長めで情報量が多いのが特徴です。「知らない単語が少ない」「1回で話の流れを追える」という状態を目指す必要があります。
効果的なトレーニングは次の3つです。
音読に慣れてきたら、音声を再生しながら一緒に読む「オーバーラッピング」、音声の少し後を追いかける「シャドーイング」に進みます。最初は0.75倍速などゆっくりめから始め、慣れたら等速に戻します。
さらに弱点をつぶしたいときは、1文単位で音声を止めながら書き取る「ディクテーション」が有効です。聞き取れないところは、たいてい音のつながり(リエゾン)や脱落、弱く発音される部分です。どこが聞こえていないかを意識しながら、スクリプトと照らし合わせていきます。
解くときは、必ず音声が流れる前に設問と選択肢をざっと読み、「どんな場面か」「何が問われそうか」を予測しておきましょう。特にPart2やReal-Life形式では、選択肢の内容が本文で言い換えられて出てくる(パラフレーズ)ことが多いので、キーワードの言い換え表現にも慣れておくと正答率が上がります。
ライティングとスピーキング
準一級のライティングでは、「要約」と「意見エッセイ」が出題されます。どちらも、あらかじめ型(テンプレート)を決めておき、内容だけ入れ替えることが合格の近道です。
エッセイの基本構成は、
・導入(自分の意見を一文で述べる)
・理由1(理由+具体例)
・理由2(理由+具体例)
・結論(意見の言い直し)
という4段構成が使いやすいです。たとえば、
Introduction:I think that ~.
Body1:First, ~.
Body2:Second, ~.
Conclusion:Therefore, I think that ~.
のような「骨組み」を覚えておき、テーマごとに中身だけ変えていきます。書いたエッセイは必ず誰かに添削してもらい、自分のミスの傾向を把握することが重要です。
スピーキング(二次試験)では、4コマナレーションと意見Q&Aが中心です。ナレーションは、
・起:場所と登場人物の説明
・承:出来事の進行
・転:トラブルや変化
・結:結果・解決
という「起承転結」を意識しつつ、First, Then, After that, Finally などのつなぎ言葉を積極的に使いましょう。Q&Aでは、PREP法(結論→理由→例→結論)で話すと論理的に聞こえます。
練習方法としては、「過去問のカードを使って録音→自分で聞き返す」が効果的です。いきなり話すのが難しければ、まずは英作文として書き起こし、それを読んで録音するところから始めてもかまいません。

教材選びと挫折しない工夫
準一級の参考書は種類が多く、あれもこれも買ってしまいがちです。しかし、多冊買いはほとんどの場合逆効果です。この章では、必須教材のセットと選び方、過去問の使い方、よくある失敗パターンをまとめます。
必須教材と選び方
準一級合格を目指すなら、次の3種類は必須と考えて良いでしょう。
過去問集は、実力診断・時間配分の確認・本番シミュレーションに使います。付属の音声とスクリプトを使えば、リスニングのシャドーイングやディクテーションにも活用できます。
単語帳は、頻出語をレベル順・出る順で並べた専用のものを1冊だけ選びましょう。「アプリと連携しているか」「音声が付いているか」もチェックポイントです。通学時間などにスマホで復習できると定着率が上がります。
総合対策本は、リーディング・リスニング・ライティング・スピーキングの「出題傾向」「出題形式別の解き方」「時間配分の目安」がまとまっているものがおすすめです。できれば動画解説付きだと、独学でも戦略が立てやすくなります。
弱点がはっきりしてきたら、分野別の問題集(リスニング専用、長文特化、ライティング・面接特化など)を1〜2冊だけ追加で選ぶと良いでしょう。教材数は、
・メイン3冊(過去問・単語帳・総合対策)
・弱点用1〜2冊
に絞るのが目安です。
過去問活用と演習法
過去問は、「最初の現状診断」と「最後の仕上げ」の両方で使います。使い方を間違えると、ただ解くだけで終わってしまうので注意が必要です。
診断のあとは、しばらくは総合対策本と単語帳、必要に応じて分野別問題集で力をつけていきます。試験まで1〜2ヶ月になったら、再び過去問に戻り、本番形式で解きながら「時間配分」「解答順序」「メンタル」の練習をします。
復習では、
・不正解の問題は「どこが根拠か」「なぜその選択肢になるか」を説明できるまで解説と本文を読み込む
・語彙問題は、選択肢の他の単語も含めて意味・品詞・例文を確認する
・リスニングは必ずスクリプトを読み、シャドーイングや音読までセットで行う
ことを徹底しましょう。特にリスニングと語彙は、「復習でどれだけ掘り下げるか」で伸び方が大きく変わります。
時間配分については、公式サイトや各種ガイドでも目安が示されています。たとえば、日本英語検定協会の解説ページでは、パートごとの問題数や形式が整理されているので、公式の出題仕様を見ながら自分なりの配分を決めておくと安心です。
よくある失敗とQ&A
準一級対策でよくある失敗パターンと、その対処法をいくつか挙げます。
A. 教材は「メイン3冊+弱点用1〜2冊」に絞り、1冊ごとの「やり切りライン」を決めましょう。たとえば、「単語帳は3周して、Aランク語はテスト形式で9割取れるまで」「過去問は6回分を2周して、2周目は解説を見ずに7割超え」など、具体的なゴールを設定します。
Q. 単語がなかなか覚えられません。どうすればいいですか?
A. 1回で覚えようとせず、「見る回数を増やす」発想に切り替えましょう。1日に新しい単語を100個覚えるより、すでに学んだ単語を何度も見返す方が定着します。アプリや単語カードを使い、通学時間・待ち時間・寝る前などにさっとチェックする習慣をつけてください。
Q. 学校や仕事が忙しくて、勉強が続きません…
A. 「英語ゼロの日」を作らないことを最優先にしましょう。たとえ5分でも単語アプリを見る、ニュース英語を1本聞く、という小さな行動を毎日続けることで、勉強が途切れにくくなります。勉強時間や過去問の正答率をノートやアプリで記録し、「自分の成長が見える」状態を作ることも大きな助けになります。
なお、入試や資格としての英検準一級の活用例は、多くの大学・自治体のサイトでも紹介されています。たとえば、大学入試の英語資格利用制度の一覧などを見ておくと、「合格後のメリット」を具体的にイメージしやすくなり、モチベーション維持につながります(例:文部科学省(MEXT)の情報など)。

総括
最後に、英検準一級対策の要点を整理しておきます。復習や計画づくりのチェックリストとして活用してください。
- 準一級は大学中級レベルで、必要語彙は約7,000〜9,000語。2級より明確に一段難しい。
- 試験は一次(R/L/W)+二次(S)の2段階で、目安として各技能7割前後取れれば合格圏。
- 勉強開始時に、必ず過去問1〜3回分を時間通りに解き、「技能別の正答率」を数値で把握する。
- 2級レベルから準一級合格までの必要時間は約400〜600時間。1日の勉強時間から3〜10ヶ月の期間を逆算する。
- 教材は「過去問集+準一級単語帳+総合対策本」を軸にし、弱点別に分野特化の問題集を1〜2冊だけ追加する。
- 語彙対策は単語帳1冊を周回し、「頻出語の取りこぼしゼロ」を目標に反復する。発音・品詞・コロケーションもセットで覚える。
- リーディングは設問先読みと段落要約、リスニングは音読→シャドーイング→ディクテーションの3ステップで力を伸ばす。
- ライティングとスピーキングは「構成テンプレート(型)」を決めて練習し、必ず添削か録音チェックでフィードバックを得る。
- 独学でも合格は十分可能だが、「短期合格」や「スピーキング・ライティングの不安」が大きい場合は、専用コースや模擬面接の活用も検討する。
- 「英語ゼロの日を作らない」「勉強時間と正答率を記録する」ことで、モチベーションと学習の継続性を高められる。

