「単語カードって効率悪いって聞くけど、本当に意味ないのかな?」と迷っている人は多いです。ですが、結論から言うと、単語カードそのものが悪いわけではありません。問題なのは「作り方」と「使い方」です。
この記事では、なぜ「単語カード=効率悪い」という声が出るのかを分解しつつ、今日から変えられる具体的な改善策をまとめます。紙カード・アプリ・単語帳・赤シートの比較も行い、「自分に合うやり方」まで分かるように解説します。
- 単語カードが「効率悪い」と言われる本当の理由が分かる
- 覚えやすくなる単語カードの作り方・運用ルールを学べる
- 紙カード・アプリ・単語帳・赤シートの長所と短所を比較できる
- 短期対策と長期定着のための「ツールの使い分け方」が分かる
単語カードはなぜ効率悪いのか
まずは、「単語カードは効率悪い」と感じてしまう典型的な原因を整理します。ここで自分のやり方のどこにムダがあるのかをつかんでおくと、次の章からの改善がスムーズになります。
作るだけで終わる問題
多くの人がハマる落とし穴が「作るだけで満足してしまう」問題です。
カードをたくさん作ると達成感があります。けれど、記憶が定着するのは「作ったあとに何度も使ったとき」です。作成に時間とエネルギーを使い切ってしまい、復習の回数が足りなくなると、どれだけきれいなカードでも意味がありません。
特にテスト直前に一気にカードを作るやり方は、かなり危険です。作るだけで数時間かかり、そのあとの反復が1〜2回で終わってしまいがちだからです。人の記憶は、時間をあけて何度も思い出した情報ほど残りやすいことが、心理学の研究でも知られています(忘却曲線の考え方)。
つまり、「カード作り」はゴールではなく、スタートラインです。作る時間を短くし、そのぶん「何周も回す時間」に回せるかどうかが、効率を大きく分けます。
眺めるだけで覚えない問題
次によくあるのが、「カードをただ眺めているだけ」の状態です。
単語カードをめくりながら、表を見てすぐ裏を確認する。通学中にボーッと見ているだけ。これだと「読む作業」にはなりますが、「思い出す練習」にはなっていません。
記憶の定着には、見るよりも「思い出そうとする」ことが重要だと、多くの研究で示されています。たとえば、表の英単語を見たら、すぐ裏を見ず、数秒だけでも「意味なんだっけ?」と頭を働かせる。この「想起(そうき)練習」があるかどうかで、定着率が大きく変わります。
同じく、声を出さずに黙って目だけ動かすやり方も、定着しにくいパターンです。書く・発音する・耳で聞くなど、複数の感覚を使ったほうが、脳に残りやすいことが知られています。文部科学省も、音読や発話を含む学習の有効性を紹介しています(例:文部科学省公式サイト)。
つまり、「眺めるだけ」から「考えて・声に出して使う」カード学習に変える必要があります。
順番固定と短期詰め込み
単語帳やノート、赤シートでの学習は、基本的に並び順が固定されています。そのまま暗記すると、「この単語の次はこれが来るから…」という順番で覚えてしまいやすくなります。
単語カードは本来、この弱点を解決できるツールです。束をシャッフルできるので、順番に頼らず「単語そのもの」を覚えられます。しかし、カードでもずっと同じ順番のまま使っていると、結局は順番暗記になってしまいます。
また、「1週間で500語」など、短期間で大量に詰め込もうとすると、ほとんどが短期記憶で消えてしまいます。たしかに直前のテストには一時的に効くかもしれませんが、数日で抜け落ち、英会話や次の試験にはつながりません。
単語は、「一度に大量」ではなく「少しずつ・何度も再会する」ことで定着します。短時間でもいいので、毎日カードに触れるほうが、長時間の一夜漬けよりずっと効率がよいのです。

効率的な単語カードの作り方
ここからは、「効率悪い単語カード」を「定着しやすい単語カード」に変える作り方を説明します。どの単語を選ぶか、何を書き込むか、いつ・どれくらい作るのかで、あとからの勉強効率が大きく変わります。
単語の選び方と優先度
効率よく覚えたいなら、「すべての単語をカードにする」のはやめたほうがいいです。重要なのは、次の3つの基準でしぼることです。
まずは使っている単語帳や学校のプリントを1周し、「絶対に分かる単語」と「意味があいまい・知らない単語」を分けます。そして、後者だけをカードにします。こうすることで、「もう覚えている単語」に時間を使うムダを減らせます。
また、実際によく出る単語ほど優先したいので、過去問や模試で何度も見かけた単語からカード化していくのも有効です。よく出るのに毎回「あれなんだっけ」となる単語こそ、カードにする価値が高いです。
カードに書く情報の絞り方
カードには、つい情報をたくさん書き込みたくなります。しかし、書きすぎると1枚あたりの処理量が増え、「重いカード」になってしまいます。まずは最小限から始めるのがおすすめです。
基本は次の形で十分です。
慣れてきたら、必要に応じて次のような情報を少しずつ追加します。
例として、英単語カードなら、裏面には次のような順番で書くと整理しやすいです。
1行目:品詞(v, n, adj など)+一番よく使う意味
2行目:他に大事な意味があれば2〜3個まで
3行目:発音記号やカタカナ発音(分からなければあとで調べて追記)
覚えにくい単語は、あとから類義語を足したり、自分がしっくり来る日本語訳に書き直してもOKです。単語カードは、あとでいくらでも編集できるのが強みです。
作成量とタイミングの管理
単語カード作りが非効率になりやすいのは、「一気に大量生産」するからです。1日で100枚以上作るようなやり方は、ほとんどの場合、続きませんし、復習も追いつきません。
おすすめは、「毎日少しずつ作る」スタイルです。
カードを作る作業自体も、「書きながら覚える」チャンスです。書くときには、必ず単語を声に出しながら書いてみてください。意味も小さな声でつぶやくだけで、目・手・耳を同時に使えます。
なお、日本語教育や語学教育の研究でも、「書く」と「声に出す」学習の組み合わせが記憶に有効だと報告されています(例:東京外国語大学などの語学教育関連情報)。

効率的な使い方と運用ルール
良いカードができても、使い方が悪ければやはり「効率悪いまま」です。この章では、覚えやすくするためのシャッフルのコツ、反復のペース、束の分け方・捨て方など、運用ルールを具体的に紹介します。
シャッフルと想起練習の工夫
単語カード最大の強みは、順番を自由に変えられることです。この特徴を使い切るための基本ルールを紹介します。
学習の流れは、次のようにすると効果的です。
1回目:表(英単語)を見て、声に出して読み、その後で意味を答える。思い出せなければ裏を見て確認。
2回目以降:カードをシャッフルし、同じようにテスト。ときどき、裏(日本語)から表(英単語)を答える練習も入れる。
ポイントは、「覚えよう」とするより、「思い出そう」とする意識です。少しでも自力で引き出そうとしたほうが、記憶が強くなります。
反復頻度とスキマ時間活用
単語は「どれくらいのペースで、何回くり返せばいいか」が気になるところです。おすすめは、「短時間×高頻度」のスタイルです。
例えば、40枚のカード束なら、5分あれば1周できます。これを1日3周すれば、合計15分ですが、記憶へのインパクトはかなり高くなります。「週に1回、1時間」よりも「毎日15分×4日」の方が定着しやすいのです。
また、スキマ時間でさっと始められるのも紙カードの強みです。スマホアプリだと、起動しているうちにSNSや動画アプリに流れてしまうケースも多いので、「スマホの誘惑が強い人」はあえて紙カードをメインにするのも一つの戦略です。
束分けとカードの取捨選択
効率を高めるうえでとても大事なのが、「束分け」と「カードを捨てる勇気」です。すべてのカードを同じ頻度で回す必要はありません。
おすすめのレベル分けは次の3段階です。
学習の基本ルールは、次のようにします。
A束:週に1〜2回、軽く確認するだけ。さらに安定してきたら、一時的に束から外してもよい。
B束:毎日1〜2回しっかり回す。順番をよくシャッフルして、表⇔裏どちらもテスト。
C束:1日の学習の中で一番時間をかける。意味がしっくり来ないなら、裏の日本語やメモを編集してみる。
そして、A束の中でも「半年以上、間違えたことがない」ようなカードは、思い切ってリングから外して構いません。カードの枚数を減らすことで、今覚えるべき単語に集中できます。

他ツール比較と使い分け戦略
最後に、「紙の単語カード」「暗記アプリ」「単語帳」「赤シート」など、他のツールとの比較をしていきます。それぞれに得意・不得意があるので、自分の目的と性格に合わせて組み合わせるのがポイントです。
紙カードとデジタルの比較
紙の単語カードとデジタル暗記アプリには、それぞれ次のような特徴があります。
| 項目 | 紙の単語カード | デジタル暗記カード(アプリ) |
|---|---|---|
| 記憶の深さ | 手書き・めくる動きで五感を使いやすく、記憶のフックが多い | 入力が浅い操作で済むため、記憶の深さは本人の使い方次第 |
| 作成コスト | 書く手間はかかるが、その分「書きながら覚える」効果がある | コピペなどで大量登録しやすいが、作成時の記憶効果は低め |
| 携帯性・管理 | 束ごとに物理的に分けられ、進捗を「厚み」で実感しやすい | 大量のカードを1台に保存でき、検索機能も使える |
| 集中力 | スマホの通知などに邪魔されない | 他アプリの誘惑が強いと、勉強からそれやすい |
| 出題の最適化 | 自分の手で束分け・シャッフルを行う | 忘却曲線に合わせた自動出題などの機能が使える場合もある |
紙カードは、五感を使うぶん、長期記憶に残りやすいというメリットがあります。一方で、アプリは自動シャッフルや出題スケジュールなど、「管理の効率」が高いのが強みです。
タイプ別にまとめると、次のような人には紙カードがおすすめです。
逆に、次のような人にはアプリも有力な選択肢です。
・タイピングが速く、手書きが苦手な人
・スマホでも誘惑に負けず、集中して使える人
・PCやタブレット中心で学習していて、デジタルにまとめたい人
単語帳や赤シートとの違い
単語帳・赤シート・ノートなども、単語学習ではよく使われます。それぞれの特徴を簡単に整理してみましょう。
単語カードと比べると、次のような役割分担がイメージしやすいです。
・単語帳:学習の「地図」。どの単語を扱うかのベースになる。
・赤シート:テスト直前の総復習や、「抜け」がないかのチェックに向く。
・ノート:文法・読解・長文の中での使い方をまとめる場所。
・単語カード:単語単体の意味・発音を素早くテストし、シャッフルして定着させる道具。
どれか一つにしぼるのではなく、それぞれを「いつ、何のために使うか」をはっきりさせておくと、ムダな重複が減ります。
短期対策と長期定着の使い分け
最後に、「テスト直前」と「ふだん」の戦略を分けて考えてみます。この2つを同じやり方でやろうとすると、「間に合わない」か「すぐに忘れる」かのどちらかになりやすいからです。
おすすめの使い分けは、次のようなイメージです。
ふだんから単語カードで語彙の土台を作っておけば、テスト前は「抜けの確認」に集中できます。逆に、ふだん全く単語カードを作らず、テスト直前に一気にカード化しようとすると、ほぼ確実に時間が足りません。
また、英会話や将来に使える語彙を増やしたいなら、「長期定着」を重視したふだんの学習が何より大事です。単語カードと、読書・リスニング・会話などのインプット/アウトプットを組み合わせて、覚えた単語と何度も再会する場面を作りましょう。

総括
最後に、本記事の内容を振り返りつつ、「単語カードは効率悪いのか?」への答えをまとめます。
- 単語カードが「効率悪い」と言われる主な原因は、「作るだけで満足」「眺めるだけ」「順番固定」「短期詰め込み」といった誤った使い方にある。
- カードそのものはあくまで工具であり、正しく使えば「必要な単語だけを抽出し、順番を変えながら何度もテストできる」非常に効率的なツールになる。
- 効率的なカード作りの基本は、「即答できない単語だけを選ぶ」「英単語+日本語+品詞+簡単な発音メモに絞る」「1日10〜20枚を上限に、毎日少しずつ作る」ことである。
- 使い方のポイントは、「1周ごとにシャッフル」「表⇔裏の両方向で想起練習」「1回5〜10分を1日数回」「A・B・C束にレベル分けして、苦手カードに時間を集中する」こと。
- 紙カードは五感を使いやすく、スマホの誘惑も少ないため、長期記憶に向きやすい。一方、アプリは大量管理や自動出題などが得意で、タイピング派には相性がよい。
- 単語帳・赤シート・ノートは、「地図」「直前チェック」「文脈理解」としての役割が強く、単語カードは「単語単体の定着とシャッフル学習」に特化している。
- 短期記憶用のテスト対策と、長期記憶としての「使える語彙づくり」は分けて考え、ふだんはカード中心、直前は赤シートや単語帳で全範囲をチェックする戦略が有効。
- 覚えた単語を「使える語彙」にするには、カードで覚えるだけでなく、読書・リスニング・会話などで何度も再会し、自分でも積極的に使ってみることが欠かせない。
- 暗記が苦手な人ほど、「毎日5〜10分のカードタイム」「カードのレベル分け」「覚えたカードはどんどん外す」など、挫折しにくい運用ルールを決めてしまうと続けやすい。
「単語カードは効率悪い」と感じていたとしても、多くの場合はカードのせいではありません。今日から「選び方」「作り方」「使い方」を少しずつ変えていけば、同じカードでも定着力が大きく変わってきます。まずは1束、10〜20枚からでも、自分なりの運用ルールで回してみてください。

