「引きこもり」を英語でどう表せばよいか迷う人はとても多いです。
日本では社会問題としてもよく聞く言葉ですが、英語には同じ意味の一語がありません。
そのため、場面や相手に合わせて、いくつかの英語表現を組み合わせて説明することが大切です。
この記事では、「失礼にならない言い方」「社会問題として説明したいとき」「軽いインドア派として話したいとき」など、文脈ごとの表現を整理します。
後半では、「自分や家族の引きこもり状態を英語でどう説明するか」と、「引きこもり期間を使って英語力を伸ばす方法」も具体的に紹介します。
- 「引きこもり」にぴったり同じ意味の英単語がない理由と考え方
- shut-in / homebody など主な英語表現の違いと安全な使い分け
- hikikomori / NEET など関連語の意味と海外ニュースの読み方
- 引きこもり状態でもできる具体的な英語学習法と続けるコツ
引きこもりの英語表現と結論
最初に、全体の結論と「日常会話でとりあえず何と言えばいいか」を整理します。
ここを押さえておくと、その後の細かい説明も理解しやすくなります。
ぴったりの一語がない理由
結論から言うと、日本語の「引きこもり」に完全に一致する英単語はありません。
理由は、「引きこもり」という言葉の中に、いくつもの意味が混ざっているからです。
たとえば、日本語の「引きこもり」は次のような要素を同時に含むことが多いです。
英語では、これらを「一語」でまとめるのではなく、
「どこに住んでいるか」「仕事や学校はどうか」「どのくらい人と会わないか」などを、別々の単語やフレーズで説明するのが普通です。
そのため、「彼は引きこもりです」をそのまま訳すよりも、
状況を短い文で説明する方が、相手に誤解なく伝わります。
日常会話で無難な表現
とはいえ、会話では一言でまとめたい場面も多いです。
無難で使いやすいのは、次のような表現です。
日常会話で「重い話」をしたいときは、
socially withdrawn person や He doesn’t go to school or work and stays home most of the time.
のように、状態を説明する言い方が丁寧です。
一方で、自分のことを軽く「私、週末は引きこもりタイプで」と言いたいときは、
I’m a homebody. や I like staying in. のような柔らかい表現が安全です。
逆に、couch potato や anti-social は「怠け者」「性格が問題」という強いニュアンスが出ることがあります。
知らない人や、当事者を指して使うのは避けた方が安心です。
文脈別の基本的な言い方
ここでは、「とりあえずこれを使えば大きくは間違えない」という、文脈別の基本パターンをまとめます。
| 場面・文脈 | おすすめ表現 | 補足ニュアンス |
|---|---|---|
| 社会問題として話す | social withdrawal / socially withdrawn people | 医学・社会学寄りで中立的 |
| 「家から出ない人」を一語で | shut-in | 物理的に家にこもっているイメージ |
| 軽い「インドア派」 | homebody / I like staying in. | ネガティブでない、日常会話向き |
| 自分・家族の状態を丁寧に説明 | He has been socially withdrawn and doesn’t go to school or work. | ラベルより状態を説明する |
| 日本特有の概念として | hikikomori | 必要に応じて簡単な説明を足す |
まずは、「社会問題としては social withdrawal」「軽い意味では homebody」を基準にし、
必要に応じて shut-in や hikikomori を補う、というイメージを持つと使い分けしやすくなります。

主な英語表現とニュアンス
ここからは、「社会問題として」「軽いインドア派として」「医学・心理の文脈で」という三つの角度から、代表的な英語表現のニュアンスを整理します。
似た単語でも意味がかなり違うので、「どの場面で使うか」を意識して読み進めてください。
社会問題としての表現
ニュースやレポートのように、「社会問題としての引きこもり」を説明したい場合は、感情的な言葉ではなく、中立的な表現を選ぶことが大切です。
このとき、social withdrawal がよく使われます。
social withdrawal は、「社会的なつながりから引き下がること」という意味です。
医学や心理学、教育の文脈でも用いられ、「社会的引きこもり」と訳されることが多いです。
人を指す場合は socially withdrawn people / socially withdrawn youth のように言います。
「引きこもりの若者」なら socially withdrawn young people などが、中立的で説明的な言い方です。
また、「社会から身を引いた人」という意味で、a person who has withdrawn from society という説明的な表現もあります。
辞書や研究では、このように「定義」で示されることも多いです。
具体例や定義は、オンライン辞書(例:Weblio英和辞書)などでも確認できます。
recluse / social recluse も「隠遁者」「世捨て人的な引きこもり」を指す表現です。
ただし、こちらは「自分の意思で孤独を選んでいる」イメージが強く、ニュースや論文よりも、エッセイや物語でよく見られます。
社会問題として話すときに避けたいのは、couch potato のように「怠惰さ」を強調する単語です。
これは「ソファでゴロゴロしているぐうたらな人」という意味で、社会問題の真剣な話にはふさわしくありません。
軽い意味のインドア派表現
次に、「週末は引きこもって Netflix を見る」のような、軽い・冗談まじりの「引きこもり」です。
この場合、「社会問題としての引きこもり」と同じ単語を使うと、重くなりすぎてしまいます。
そこでよく使われるのが、次の表現です。
homebody はポジティブでもネガティブでもなく、「外出より家が好き」というニュアンスです。
自分のことを言うときにもよく使われます。
例としては、次のような使い方です。
I’m a bit of a homebody, so I don’t go out much.
(私は少しインドア派なので、あまり出かけません。)
couch potato は、「家から出ない」というより、「一日中テレビやゲームをしてダラダラしている人」という意味です。
友達同士で軽く自虐するなら使えることもありますが、相手を指して言うときはとても失礼に聞こえることがあります。
また、hermit や recluse を、冗談まじりに「今週末は引きこもる」という意味で使うこともあります。
例:I’ll be a hermit this weekend.(今週末は引きこもります)
この場合は、「一時的にこもる」というニュアンスで、深刻な問題を指しているわけではありません。
医学心理学的な表現
心の不調や病気と関係している「引きこもり」を説明したいときは、
感情的なレッテルではなく、医学・心理の文脈で使われる言葉を選ぶことが大切です。
代表的なのは、先ほども出てきた social withdrawal や socially withdrawn です。
自閉スペクトラム症などの診断基準でも、「社会的な引きこもり」という言葉が使われることがあります。
また、原因が「広場恐怖症」「外出恐怖」のような明確な症状にある場合、
agoraphobia / agoraphobic という専門用語が使われます。
例:
He is agoraphobic and rarely leaves his house.
(彼は広場恐怖症で、ほとんど家を出ません。)
ただ、これらの単語は医師や専門家が診断する言葉でもあります。
本人や家族が「自分は〇〇だ」と断言するよりも、
He has been depressed and has withdrawn from social life.
(彼はうつ状態で、社会生活から身を引いています)
のように、「診断名」ではなく「状態」を説明した方が安全な場面も多いです。
医学的な背景や用語に興味があれば、厚生労働省などの情報も参考になります(例:厚生労働省公式サイト)。

関連語 hikikomori と NEET
ここからは、ニュースやSNSでも時々見かける「hikikomori」と「NEET」について整理します。
どちらもカタカナで見かけますが、意味と範囲が少しずつ違います。
hikikomori の意味と注意点
英語のニュースや記事でも、hikikomori という単語をそのまま使うことがあります。
これは、日本語の「引きこもり」がそのまま外来語になったものです。
BBC などの海外メディアが「Japanese hikikomori」といった形で使い始めたことで、
特に日本文化や社会問題に関心のある人の間では、ある程度知られている言葉になりました。
ただし、英語圏の人すべてが知っているわけではありません。
会話で使うときは、次のように一度たずねたり、簡単な説明を足すと親切です。
-
英語:Do you know the Japanese word “hikikomori”? It means people who withdraw from society and stay at home for a long time.
日本語:日本語の「引きこもり」って知っていますか?社会から離れて長い間家にこもる人のことです。 -
英語:In Japan, “hikikomori” refers to people who don’t go to school or work and rarely leave their homes.
日本語:日本では「引きこもり」は、学校や仕事に行かず、ほとんど家から出ない人を指します。
このように、hikikomori は「日本特有の社会現象の名前」として使うのが基本です。
単に「インドア派」という意味で使うと、相手が誤解する可能性があります。
NEET との違いと重なり
もう一つ、関連してよく出てくるのが NEET(ニート)です。
これは Not in Education, Employment or Training の頭文字を取った言葉で、「学校にも仕事にも、職業訓練にも属していない若者」という意味です。
日本では「働いていない若者」全般に対して「ニート」と言うことがありますが、本来は「15〜34歳」など年齢の条件を含む定義があります。
hikikomori と NEET の関係を、簡単に整理すると次のようなイメージです。
つまり、「引きこもりの多くは NEET でもある」が、「NEET だからといって必ずしも引きこもっているわけではない」と考えると分かりやすいです。
日常会話では、わざわざ NEET という単語を出さずに、
He’s unemployed at the moment.(今は無職です)
のように言うほうが自然な場面が多いです。
海外ニュースの理解ポイント
海外ニュースや記事で、hikikomori や NEET がどう使われているかを見るときは、次の三つを意識すると理解しやすくなります。
たとえば、「Italian hikikomori」「Korean hikikomori」のように、日本以外の国でも hikikomori という言葉が使われることがあります。
この場合、「日本で生まれた概念が、他の国の似た現象にも当てはめられている」という理解になります。
一方、「NEET rate」「youth NEETs」のような表現は、
統計上の「教育も雇用も訓練もない若者の割合」という経済・労働の話が中心です。
ここでは、必ずしも「家から出ない引きこもり」だけを指しているわけではない点に注意が必要です。

具体フレーズと英語学習法
最後に、「自分や家族の状態を説明するときの実用フレーズ」と、
「引きこもり状態でもできる英語学習法」について具体的に紹介します。
ここは、読んだあとにすぐ使える・試せる内容を中心にまとめます。
自分や家族を説明する例文
ここでは、「私は引きこもりです」「弟が引きこもり状態です」など、
少し重い内容を英語で伝えるときに使える例文を、状況別にまとめます。
ポイントは、“He is a hikikomori.” のようにラベルで言い切らず、「状態」を説明することです。
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英語:I’ve been staying at home most of the time and I hardly meet anyone.
日本語:私はほとんど家にいて、ほとんど誰とも会っていません。 -
英語:My brother has been socially withdrawn and doesn’t go to school or work.
日本語:弟は社会的に引きこもった状態で、学校にも仕事にも行っていません。 -
英語:My son rarely leaves his room and avoids meeting other people.
日本語:息子はめったに自分の部屋から出ず、人に会うのを避けています。 -
英語:She has been depressed and has withdrawn from social life.
日本語:彼女はうつ状態で、社会生活から身を引いています。 -
英語:In Japan there is a social issue called “hikikomori”, where people stay at home for months or years.
日本語:日本には「引きこもり」と呼ばれる社会問題があり、数か月から何年も家にこもる人たちがいます。
医師やカウンセラー、英会話の先生などに状況を説明したいときは、
このように「どのくらい家にいるか」「学校や仕事はどうか」「人付き合いはどうか」を、短い文で分けて話すと伝わりやすくなります。
ラベルを避ける言い換え
「引きこもり」という言葉そのものに、傷つきやすさを感じる人もいます。
英語でも、できるだけラベルを避けて、「状態」「気持ち」「行動」をそのまま描写する言い方がよく使われます。
たとえば、次のような言い換えが考えられます。
このような言い方なら、「あなたは引きこもりだ」と決めつけるのではなく、
今の様子や気持ちを落ち着いて共有することができます。
また、自分について軽く話したいときは、
I’m kind of a homebody.(ちょっとインドア派なんです)
のような柔らかい言い方も便利です。
引きこもり状態での英語勉強
最後に、「引きこもり状態の時間を、英語学習にどう活かすか」という話です。
実際に、家からあまり出られない時期に、英語力を大きく伸ばした人もいます。
ここでは、家で一人でもできる「多読・多聴+声出し練習」の流れを、シンプルなステップで紹介します。
家から出られない時期は、どうしても気持ちが落ち込みがちです。
そんなときは、「今日は1ページ読むだけ」「ドラマを10分だけ見る」といった、ごく小さな目標から始めるのがおすすめです。
また、対面で話すのがつらいときでも、ドラマのセリフを真似する「一人シャドーイング」なら、誰にも見られずに口を動かす練習ができます。
これは、実際に海外で引きこもり状態を経験した人の体験談にも登場する、効果的な方法です。
気分がどうしても乗らない日は、無理に勉強しなくてもかまいません。
「少し元気な日に、少しだけ英語に触れる」を積み重ねることが、長い目で見ていちばん大切です。


