IELTSリスニングは「一度しか聞けない30分」のテストです。
形式を知らないまま挑むと、実力を出し切る前に時間だけが過ぎてしまいます。
この記事では、試験の仕組みからスコア戦略、問題タイプ別の解き方、効率的な勉強法までを一気に整理します。
自分の目標スコアに合わせて、「どこで点を取り、どこは割り切るか」という現実的な作戦も解説します。
忙しい社会人や学生でも、今日からすぐに取り入れられる練習方法を中心にまとめました。
- IELTSリスニングの形式・時間・4セクション構成が分かる
- 目標バンドスコア別に必要な正答数と得点戦略が立てられる
- 問題タイプごとの具体的な解き方・テクニックを身につけられる
- アクセント対策やシャドーイングを含む効率的な学習プランが作れる
IELTSリスニングの全体像
最初に、IELTSリスニングの「ルール」をはっきりさせます。
時間や問題数、セクション構成を正しく理解すると、勉強の優先順位も見えてきます。
試験時間と問題数
IELTSリスニングは、次のような構成です。
音声はすべて1回だけです。
「聞き逃したら終わり」と感じてしまいそうですが、実際には、先読みとメモの使い方でかなりカバーできます。
テストでは、次のような力が問われます。
話の要点と具体的な事実、話し手の意見や態度、発言の目的、そして話の流れを追う力です。
つまり、「一語一句」よりも、「何について、どう話しているか」をつかむ力が重要です。
4セクション構成と流れ
IELTSリスニングは4つの音源(セクション)から成り、それぞれ特徴があります。
全体の流れは「日常 → 日常の説明 → 学術会話 → 講義」とだんだん難しくなります。
| セクション | 話者数 | 内容・場面 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 1 | 2人 | 日常の会話(予約、問い合わせ、手続きなど) | 数字・名前・住所などの穴埋めが多く、難易度は低め |
| 2 | 1人 | 施設案内・イベント説明などの日常的な説明 | 多肢選択、マッチングが中心。案内放送のイメージ |
| 3 | 2〜4人 | 大学などの学術的な会話(課題、プロジェクトなど) | 複数話者の聞き分けが必要。最も難しいセクション |
| 4 | 1人 | 大学講義・スピーチ(教育、科学、環境など) | 専門語彙あり。だが構成がはっきりしていて流れは追いやすい |
実際の試験では、各セクションの前に「例題」と「設問を読む時間」が与えられます。
ここで何をするかが、得点に大きく影響します。この点は、後の「先読みとメモ」で詳しく説明します。
AcademicとGeneralの違い
IELTSには Academic と General Training の2種類がありますが、リスニングの形式と内容は共通です。
どちらを受ける場合も、リスニングでやることは同じです。
違いが出るのはリーディングとライティングのパートです。
また、音声はイギリス・オーストラリア・アメリカなど、さまざまな英語圏のアクセントで流れます。
特にイギリス英語の比率が高いため、普段アメリカ英語に慣れている人は、早めに対策を始めておくと安心です。
公式対策サイトのサンプル音源を聞くと、実際のスピードやアクセントのイメージがつかみやすいです。
参考として、IDPによる公式練習問題集の一部は日本向けサイトからも確認できます(例:IELTS公式のリスニング練習問題)。

スコアと戦略設計
次に、「何点取ればよいか」と「どこで点を取るか」をはっきりさせます。
必要スコアと必要な正答数を知ると、無駄に完璧主義になることを防げます。
採点方式とバンド換算
IELTSリスニングは「40点満点」を「バンドスコア(1.0〜9.0)」に換算します。
正答数がそのままスコアになるわけではありませんが、目安はあります。
正式な換算表は年度やテストバージョンで少し変わることがありますが、一般的な目安は次の通りです。
重要なのは、「40問全部正解する必要はない」という点です。
たとえばバンド6.0なら、40問中だいたい20台前半〜中盤を取れればよいイメージになります。
この感覚を持っておくと、「全部分からなかったらどうしよう」という不安が和らぎます。
代わりに、「ミスしやすいところを減らす」「取りやすい問題を確実に取る」といった、具体的な行動に集中しやすくなります。
目標スコア別の正答数目安
目標スコアごとに、どれくらいの正答数を狙うべきかをイメージしておきましょう。
以下はあくまで「ざっくりした目安」ですが、戦略を立てる指標になります。
バンド5台を目指すなら、まずはセクション1と2で「取りこぼしを減らす」ことが重要です。
バンド6台を目指すなら、セクション3・4も含めて「半分以上は取る」意識が必要になります。
バンド7以上を狙う場合は、「難しい問題にもある程度ついていく力」と、「語数制限やスペルミスをほぼしない正確さ」の両方が必要になります。
セクション別の得点戦略
すべてのセクションで完璧を目指すのではなく、「どこを得点源にするか」を決めると学習が効率的です。
一つのモデルとして、次のような戦略があります。
たとえば、バンド6.0を目指す場合の一例は次のようなイメージです。
セクション1で8〜10点、2で6〜7点、3で4〜5点、4で6〜7点というように、トータルで23〜27点を目指します。
自分の模試結果から、どのセクションが弱いかを見て、重点的に補強していきます。

問題形式別の解き方
IELTSリスニングでは、いくつか決まった問題形式が繰り返し出題されます。
形式ごとの「聞き方・考え方」を知っているかどうかで、得点が大きく変わります。
先読みとメモの基本
リスニングでスコアを伸ばすには、音声が流れる前の「先読み」と、聞きながらの「メモ」の使い方がカギになります。
基本の流れはどのセクションでも同じです。
先読みで必ずやっておきたいのは、次の3つです。
1つ目は、場面のイメージです。
「ホテル予約」「大学の課題」「施設案内」など、おおまかなシチュエーションを頭に描きます。
2つ目は、空欄の前後から「答えの種類」を予測することです。
たとえば “on ___ Street” なら通りの名前、 “the reason is ___” なら理由を表す名詞やフレーズだと分かります。
3つ目は、語数制限の確認です。
“NO MORE THAN TWO WORDS AND/OR A NUMBER” などの指示を見て、何語まで書けるのかをはっきりさせます。
メモは、すべてを書き写そうとする必要はありません。
数字や固有名詞、聞き慣れない単語など、「後で思い出せなさそうなもの」だけ、カタカナでもいいので一瞬で書きとめます。
あとでスペルを整える時間はあるので、この段階では正確さより「とりあえず残す」ことを優先します。
設問形式ごとのコツ
ここでは、代表的な問題形式ごとのポイントを整理します。
多肢選択では、音声の中で選択肢のキーワードがそのまま出てくるとは限りません。
very expensive → costly のように、言い換え(パラフレーズ)されることが多いです。
コツは、「選択肢をすべて細かく読む」というより、「どこが違いになっているか」をおさえておくことです。
たとえば、場所が違うのか、理由が違うのか、人数が違うのか、といったポイントです。
マッチング問題では、リストにある名前や項目を「音で聞いた瞬間に分かるようにしておく」ことが大切です。
プレビューのときに、イニシャルを書き込んでおく、下線をひくなどして、視覚的に分かりやすくしておきます。
図面・地図問題では、方向を表す表現に注目します。
“go straight on, turn left, opposite, next to, at the corner” などの表現が聞こえたら、すぐに目線を対応する場所に移せるようにします。
フォームや表の穴埋めは、セクション1で特に多く出ます。
住所、電話番号、郵便番号、メールアドレス、日付などが定番です。
数字の聞き取りとアルファベットのスペル読み上げに慣れておくと、大きな武器になります。
頻出パターンと時間配分
IELTSリスニングでは、ひっかけパターンもある程度決まっています。
よくあるのは、次のようなものです。
そのため、「最初に聞こえたもの=正解」とは限らないと意識して聞くことが大切です。
選択肢にチェックを入れるときも、「今の発言は本当に最終決定だったか?」と一瞬だけ確認するクセをつけましょう。
時間配分については、各セクションで与えられる「設問を読む時間」と「見直し時間」をフルに使うのが基本です。
プレビュー時間に前の問題の見直しをするのはおすすめできません。
前の問題は、セクションの終わりにまとめて見直した方が、安全です。
もし1問分からない問題があっても、そこで止まり続けないことが大切です。
空欄のままにはせず、とりあえず仮の答えを入れて、すぐに次の設問に進みましょう。

効率的な学習法と注意点
最後に、日々の勉強をどう組み立てるかを考えます。
アクセント対策、シャドーイング、公式問題集の使い方、ミスを減らす工夫をセットで行うと、数か月でもスコアを伸ばしやすくなります。
アクセント対策と素材選び
IELTSでは、イギリス、オーストラリア、アメリカなど、さまざまなアクセントが出ます。
日本でよく触れるのはアメリカ英語なので、そのままだとリスニング本番で戸惑うことがあります。
アクセント対策には、次のような素材が役立ちます。
BBCの「6 Minute English」は、イギリス英語の自然な会話が6分前後で聞ける教材です。
スクリプトも公開されているので、聞き取れなかった部分を確認しやすく、シャドーイングにも向いています。
また、国内の大手予備校が出している IELTS リスニング対策書も、試験に近いアクセント・スピードで作られています。
たとえば、トフルゼミナールの『パーフェクト攻略 IELTSリスニング 新装版』のような教材は、設問形式の解説と豊富な演習がセットになっています(書籍紹介ページ例:トフルゼミナール公式サイト)。
こうした素材を組み合わせて、「毎日15〜30分は英語音声を聞く時間」を確保できると、耳が徐々に慣れていきます。
シャドーイング活用法
リスニング力を一気に底上げしたいなら、シャドーイングは非常に効果的です。
シャドーイングとは、音声を聞きながら、少し遅れて声に出してまねをする練習です。
やり方の一例を紹介します。
素材は、IELTSの公式問題集、BBC 6 Minute English、IELTS対策Podcast(例:IELTS Energy English など)がおすすめです。
通勤・通学中にイヤホンで流しながら小声でつぶやくだけでも、耳と口が英語のリズムに慣れていきます。
ポイントは、「完璧に言えなくても、音の高低やリズムをまねする」ことです。
自分で出せる音は、聞き取りやすくなります。
反対に、自分がうまく発音できない音は、聞いても区別しづらいままになりがちです。
ミス削減と学習プラン
実力がついてきても、語数制限やスペルミス、転記ミスで落としてしまうのはもったいないです。
ここでは、「ミスを減らす仕組み」と「数か月単位の学習プラン」のイメージをまとめます。
学習プランの一例(3か月でスコアアップを目指す場合)は次のようになります。
1か月目は、公式問題や信頼できる対策書を使って、形式に慣れることを重視します。
各セクションを1つずつ解き、間違えた問題の原因を分析します。
2か月目は、弱点の問題タイプをYouTubeや追加教材で集中的に練習します。
並行して、BBC 6 Minute English やPodcastでシャドーイングを続け、耳を鍛えます。
3か月目は、模試形式で通し練習を増やします。
週末に1セット、本番と同じ時間で解き、セクション別の得点バランスをチェックします。
この時期には、「ミスのパターンをつぶすこと(語数制限・スペル・転記)」に特に注意します。
※スコアアップのスピードには個人差があります。焦らず、「毎週これだけはやる」という最低ラインを決めて積み重ねることが大切です。

総括
ここまで、IELTSリスニングの全体像から戦略、解き方、勉強法までを一気に見てきました。
最後に、行動に移しやすいように要点をまとめます。
大切なのは、「量」だけでなく「やり方」です。
毎回の演習で、「なぜ間違えたか」「次はどう直すか」をはっきりさせながら、少しずつ改善していきましょう。

