IELTSのリーディングは「英語力」だけでなく、「時間との戦い」と「解き方の戦略」が大きくスコアを左右します。
全文をじっくり読もうとすると、ほぼ確実に時間切れになります。
この記事では、特にアカデミック・モジュールでバンド6.0〜6.5を目指す方に向けて、「60分で3パッセージ40問を解き切り、必要な点を取り切るためのコツ」をまとめます。
問題形式ごとの解き方、時間配分、NOT GIVENの見極め方、そしてスコアアップのための勉強法まで、順番に整理していきます。
- IELTSリーディングの基本仕様と、全文精読が危険な理由が分かる
- 60分で解き切るための時間配分と「捨て問」の考え方が分かる
- 問題タイプ別の具体的なコツとNOT GIVENの判定基準が分かる
- 6.0〜6.5を取るための学習計画と教材の使い方が分かる
IELTSリーディングの全体像
まずは試験の全体像を押さえます。
形式や出題意図を知らないまま解き方だけ真似しても、安定してスコアは出ません。
ここでは、形式、測られているスキル、そして多くの人がやりがちな「全文精読」がなぜ危険なのかを整理します。
形式と問題タイプ整理
この記事は、IELTSアカデミック・モジュールのリーディングを前提に説明します。
基本仕様は次の通りです。
出典は本・雑誌・新聞・学術書などからの抜粋で、内容はやや学術寄りです。
トピックは環境、科学、教育、社会問題、歴史など、幅広い分野から出ます。
主な問題タイプは次のようなものです。
ジェネラル・トレーニングのリーディングも時間と問題数は同じですが、文章の長さやスコア換算が少し異なります。
ジェネラルでは短めの実用文が多く、6.0を取るにはアカデミックよりも多く正解する必要があります(目安として30/40程度)。
形式の詳しい仕様は、ブリティッシュ・カウンシル日本事務所が運営する公式サイトでも確認できます。
必要に応じて、出題形式の説明ページも参考にしてください。
IELTSリーディングの戦略解説(IELTS公式パートナーサイト)
測られている読解スキル
IELTSリーディングは、単に「英単語をどれだけ知っているか」を測るテストではありません。
主に次のような読解スキルが問われています。
また、IELTS全体の特徴として、パラフレーズ(言い換え)が多いことも重要です。
設問や選択肢には、本文と同じ単語はあまり出てきません。
たとえば、本文に「increase」とあれば、設問には「go up」や「rise」が使われる、といった形です。
そのため、「単語が一致しているか」ではなく、「意味が一致しているか」で判断する力が必須になります。
全文精読が非効率な理由
多くの受験者がやりがちなのが、「最初から最後まで丁寧に読む」やり方です。
しかし、IELTSリーディングでこれはほぼ確実に時間オーバーになります。
理由はシンプルで、語数に対して時間が足りないからです。
パッセージは合計で約2,700〜3,000語あります。
60分で40問を解く必要があるので、「読む時間」と「設問を考える時間」と「マークする時間」がすべてこの60分の中に入ります。
もし3,000語をすべて精読すると、1語あたりをかなりのスピードで処理しなければならず、さらに設問を解く時間が足りなくなります。
さらに、出題設計としても「全文を完全に理解していなくても、設問には答えられる」ようになっています。
設問ごとに必要な情報は本文の一部にしかないので、他の部分は「軽く読む」か「ほぼ飛ばす」読み方で問題ありません。
だからこそ、実戦では次のような流れが基本になります。
この「設問先読み+スキミング+スキャニング」の組み合わせが、時間内に解き切るための核となる読み方です。

時間内に解き切る戦略
試験の全体像が分かったら、次は「60分をどう使うか」です。
同じ英語力でも、時間配分や問題への向き合い方でスコアは大きく変わります。
ここでは、具体的な時間配分モデル、設問先読みの順番、そして「捨て問」と「仮マーク」の基準を示します。
60分の時間配分モデル
おすすめの基本モデルは、次のような配分です。
| パッセージ | 目安時間 | コメント |
|---|---|---|
| Passage 1 | 15〜17分 | 難易度が比較的低いことが多い。ここで貯金を作る。 |
| Passage 2 | 20分 | 中くらいの難易度。焦らず、しかし引きずらない。 |
| Passage 3 | 23〜25分 | 最も難しいことが多い。残り時間を全投入するつもりで。 |
合計するとおよそ60分です。
実際には、本番や模試を通して「自分はどこに時間がかかるか」を知り、微調整していきます。
大事なのは、1パッセージに時間をかけすぎて、最後のパッセージにほとんど時間が残らない状態を避けることです。
また、6.0前後を目指す場合は、難しいPassage 3で全問を完璧に取る必要はありません。
Passage 1と2で確実に取りやすい問題を取り切る戦略も有効です。
設問先読みと読む順番
時間内に解くためには、「読む順番」を決めておくことが重要です。
基本的な流れは次のようになります。
問題形式ごとの「先読みする/しない」の目安は、のちほど詳しく説明します。
ここでのポイントは、「必ず設問を確認してから本格的に本文を読む」ということです。
理由は二つあります。
一つ目は、「何を探すのか」が分かっていると、情報の取捨選択がしやすくなるからです。
二つ目は、多くの形式で、設問の答えは本文中におおよそ順番通りに現れるからです。
例えばQ1の答えが本文の前半にあり、Q2はその少し後…という形です。
この性質を利用して、「設問1 → 該当箇所を探す → 設問2 → その先を読む」というように、1問ずつ前から進めていくと効率がよくなります。
捨て問と仮マークの基準
バンド6.5を狙う場合、40問中すべてを正解する必要はありません。
一般的な目安では、アカデミック・リーディングでバンド6.5を取るには、およそ27〜29問程度の正解で届くことが多いとされています。
6.0なら23問前後が目安です。
つまり、10〜15問程度は落としてもよい範囲だと考えることができます。
この前提があると、「1問にこだわりすぎない」メンタルを持てます。
具体的な捨て問・仮マークの基準の一例は次の通りです。
重要なのは、「分からない問題に時間をかけるほど、後ろの取りやすい問題を落とす」という意識です。
特に選択問題やマッチング問題は、完全に白紙よりも、とりあえずマークしておけば当たる可能性があります。
リーディングではマイナス点はありません。
最後まで粘っても分からないときは、「どれか必ずマークして先に進む」ルールを自分の中で徹底しましょう。

問題タイプ別の具体的コツ
ここからは、それぞれの問題形式ごとに、具体的な解き方のコツを整理します。
同じ「先読み」といっても、形式によってやるべきことが少しずつ違います。
得意・不得意に合わせて、優先的に練習する形式を決めていきましょう。
穴埋めと抜き出し問題
穴埋めや、本文から語句を抜き出す問題は、慣れるとスピードと正答率を両方上げやすい「得点源」です。
代表的なのは、要約文の空欄補充、表・図の完成、短答式などです。
解き方の手順は、次のような流れが基本です。
特に大切なのは、語数制限の厳守です。
「NO MORE THAN TWO WORDS AND/OR A NUMBER」とあれば、次のパターンだけが許されます。
3語以上書いてしまった場合、意味が合っていても不正解になります。
また、答えは必ず本文からそのまま抜き出します。
スペルや単数・複数も、本文に書かれている形と完全に一致させる必要があります。
紙の場合は自分で書き写すのでスペルミスに注意し、コンピュータ受験ならコピペを活用してミスを減らしましょう。
選択肢問題とヘディング
選択肢から答えを選ぶ形式は、一見するとTOEICなどと似ていますが、IELTS特有のコツがあります。
まず、「本文内容に関する選択肢」と「本文のタイトルを選ぶ問題」は、解き方が異なります。
本文内容に関する選択問題の場合は、次の手順が有効です。
このとき、選択肢の表現と本文の表現はほぼ必ず言い換えられています。
たとえば、本⽂に 「children are more likely to…」とあれば、選択肢には「it is common for young people to…」のような形で出てくることがあります。
単語レベルの一致ではなく、文全体の意味を比べる意識を持ちましょう。
一方で、「本文のタイトルを選ぶ問題」と「ヘディング問題」は、先読みをしない方が効率的なことが多いです。
これらは、細部ではなく「全体の主張」や「段落のメインアイデア」を問う形式だからです。
ヘディング問題の基本的な進め方は次の通りです。
読むのが苦手な場合は、各段落の最初と最後の文だけを読み、全体のイメージをつかんでから選ぶ方法もあります。
ただし、例外や対比が最後に出てくることもあるので、できれば中ほども軽く目を通せるように慣れていきましょう。
TFNGとマッチング攻略
TRUE / FALSE / NOT GIVEN や YES / NO / NOT GIVEN の問題は、多くの受験者が苦手とする形式です。
特に「FALSE」と「NOT GIVEN」の区別が難しく感じられます。
ここでは、判断基準をはっきりさせておきましょう。
ポイントは、「書いてあるかどうか」です。
本文全体の雰囲気から「たぶんこうだろう」と推測して選ぶと、NOT GIVEN を FALSE と誤って判断しがちです。
たとえば、設問文に「A国はB国よりも多くのエネルギーを輸入している」と書かれている場合を考えます。
本文に「A国は多くのエネルギーを輸入している」とだけ書かれていて、B国については何も書かれていないとします。
この場合、「Aの輸入が多い」という情報はありますが、「Bと比べて多いかどうか」は分かりません。
したがって、正解は FALSE ではなく NOT GIVEN になります。
NOT GIVEN を選ぶときのルールは、次の一文で表せます。
「何度読んでも、本文のどこにも根拠が見つからなければ NOT GIVEN」
このルールを守ると、迷う時間を大きく減らせます。
マッチング問題(人名と主張、情報と段落の対応付けなど)では、「人名」「年号」「専門用語」など、スキャンしやすいキーワードを頼りに、関連する部分だけを集中的に読むのがコツです。
人名と主張のマッチングでは、次の手順が使いやすいです。
人名は本文中に何度か出てくることがあるので、1か所だけで判断せず、関連箇所をすべて見てから決めるようにしましょう。

スコア別戦略と学習法
最後に、目標スコアごとの戦略と、日々の学習法についてまとめます。
特に6.0〜6.5を目指す場合、「どれくらい正答すればよいのか」「どのレベルの教材をどう使うべきか」を具体的にしておきましょう。
6.0〜6.5の必要正答数
まずは、スコアと必要正答数の関係を整理しておきます。
アカデミック・リーディングでは、年度やフォームによって多少の差はありますが、おおよそ次のような目安があります。
| 正答数(40問中) | 目安バンドスコア |
|---|---|
| 約15問 | 5.0前後 |
| 約23問 | 6.0前後 |
| 約27〜29問 | 6.5前後 |
| 約30問 | 7.0前後 |
| 約35問 | 8.0前後 |
6.0〜6.5を狙う場合、「40問中11〜17問程度は間違えてもよい」と考えられます。
この数字を知っておくと、難問に出会ったときに、「これは落としてもスコアには致命的ではない」と割り切りやすくなります。
そして、戦略としては次のような方針が現実的です。
ジェネラル・トレーニングのリーディングでは、同じ6.0でも必要な正答数がアカデミックより多い(30問前後)設計になっています。
どちらの受験でも、「自分の目標スコアに対して、何問落とせるのか」を一度数字で確認しておきましょう。
語彙文法と多読の鍛え方
解き方のテクニックだけでは、一定以上のスコアは伸びません。
語彙・文法・構文力という「土台」がないと、そもそも本文の意味が取れず、設問の意味も曖昧なままになってしまいます。
語彙については、IELTS専用単語帳を1冊決めて使うのが効率的です。
IELTSではよく出る単語と、あまり出ない単語があります。
自作ノートで何でもかんでもメモしていると、出題頻度の低い単語に時間を使いすぎてしまうことがあります。
単語帳では、まずは「意味」と「発音」に集中しましょう。
スペリングや派生語、コロケーションは、その後の復習で少しずつ追加していけば十分です。
文法は、「中学〜高校基礎レベル」の文法を1冊で総復習するイメージで進めます。
特にリーディングでは、次のポイントをしっかり理解しておくと読みやすくなります。
さらに重要なのが、「構文解析(SVOC)」です。
長い英文を読むとき、主語(S)と動詞(V)がどこか、どこからどこまでが一つのかたまりなのかが分からないと、何度読んでも意味が入ってきません。
構文トレーニング用の参考書を1冊決めて、1文ずつ主語・動詞・目的語・補語を振る練習をすると、リーディング全体のスピードと安定感が変わります。
多読については、IELTSに近いジャンルの英文に日常的に触れておくと、本番のトピックに対する抵抗感が減ります。
たとえば、環境問題や科学、社会問題などの英文記事を読むことで、英語力だけでなく背景知識も一緒に増やすことができます。
日本の大学や教育機関のサイトにも、英語学習やIELTSに関する情報がまとまっているページがあります。
学術的な背景を知るために、こうした教育系ドメインの情報を活用するのも有効です。
教材選びと復習手順
最後に、具体的な教材の組み合わせと、1つの教材をどのように「やり込むか」を説明します。
IELTSリーディング対策の軸になる教材は、次のようなものです。
教材の数を増やしすぎるよりも、少数を何周も回す方が効果的です。
特に公式問題集と長文問題集は、「解いて丸付けして終わり」ではなく、次のステップまで行うことをおすすめします。
音読は、英語を前から理解する癖をつけるのに非常に効果があります。
1つの文章を30回程度音読すると、その文章の構造や表現が自分の中にかなり定着します。
その結果、別の文章を読むときも、「似た構造だからこういう意味だろう」と予測しやすくなります。
アカデミックとジェネラルの違いについては、リーディングの形式やトピックは少し異なるものの、ここまで説明した「時間配分」「設問先読み」「スキミング・スキャニング」「構文解析・音読」といった対策は、どちらにも共通して有効です。

総括
ここまで、IELTSリーディングで時間内に点を取るためのコツを、形式理解から問題タイプ別の解き方、学習法まで一気に整理しました。
最後に、実戦で意識しておきたいポイントをまとめます。
これらを一度に完璧にこなす必要はありません。
まずは「設問先読み」と「時間配分」の2つだけでも意識して模試を解き、少しずつ自分のやり方を調整していきましょう。
やり方が固まってくると、同じ英語力でもリーディングスコアは安定して上がっていきます。

