「about=アバウト=だいたい」とだけ覚えていないでしょうか。
about は「〜について」「〜のあたりに」「約〜」「今にも〜するところだ」など、とても意味が多い単語です。
ですが、バラバラに暗記する必要はありません。
中心のまわりにふわっと広がる「周辺」のイメージさえつかめれば、ほとんどの意味を1本の線でつなげて理解できます。
この記事では、前置詞・副詞・be about to などの表現、around / on / of / almost など似た語との違いまで、テストと実際の英会話の両方でそのまま使える形で整理します。
- about のコアイメージと意味マップがわかる
- 前置詞 / 副詞 / be about to など品詞ごとの使い方が整理できる
- around / on / of / almost との違いと使い分けが理解できる
- テストでよく出る about の表現と苦手ポイントを一気に確認できる
about の基本意味とコアイメージ
最初に、about の「軸」となるイメージをしっかり作っておきます。
ここを理解すると、このあとの細かい意味がスムーズにつながります。
about のコアイメージ
about の中心にあるイメージは、辞書や英語教育サイトでも共通して、次のように説明されています。
「ある中心の“周辺・そのあたり”を、ぼんやりと指すこと」です。
この「周辺」のイメージが、次のように形を変えています。
つまり「about=アバウトで適当」ではなく、「中心にかなり近いけれど、きっちりピッタリではない“まわり一帯”」というイメージだと考えると、すべての意味がつながります。
主要な意味と意味マップ
コアイメージから広がる主な意味を、分野ごとにざっくりマップにしておきます。
ここでは日本語訳よりも、「どの中心の周辺なのか」に注目して読んでみてください。
| 分野(何の周辺?) | 代表的な意味 | 例 |
|---|---|---|
| 話題・情報 | 〜について/〜に関して | a book about Japan(日本についての本) |
| 場所・空間 | 〜のあたりに/〜の周りに/あちこちに | walk about the town(町のあちこちを歩く) |
| 数量・時間 | 約〜/〜ごろ/だいたい〜 | about 5 minutes(約5分) |
| 感情・性質 | 〜について(感情の対象)/〜には…なところがある | She is happy about it. / There is something strange about him. |
| 行為・状態 | 〜に従事して/今にも〜するところだ | go about your work / be about to start |
この表を頭に入れておくと、「これは話題の周辺だな」「これは数字の周辺だな」と、文を読んだときに意味の方向がすぐに分かります。
前置詞か副詞かの見分け
about は主に「前置詞」と「副詞」として使われます。
意味の多くは似ていますが、「直後に名詞があるかどうか」で見分けるのが一番簡単です。
テストでは「about+数詞」は副詞として扱われることが多いです。
ただし、学習レベルでは「だいたい」の about という意味さえ分かれば、あまり神経質にならなくても解ける問題がほとんどです。

前置詞 about の基本用法
ここからは品詞ごとに、具体的な使い方と例文を整理していきます。
まずは前置詞 about です。
日常会話でも試験でも、いちばん出てくるのがこの用法です。
「〜について」の about
もっとも基本で、いちばんよく使うのがこの意味です。
「話題の周辺=そのことについて全般的に」というイメージです。
よく一緒に使う動詞とセットで覚えると、とても効率的です。
具体的な例文で確認してみましょう。
-
英語:I read a book about space.
日本語:宇宙について本を読みました。 -
英語:We talked about our future.
日本語:私たちは将来について話しました。 -
英語:She is worried about the exam.
日本語:彼女はそのテストのことで心配しています。
「on との違いは?」と気になる人も多いと思いますが、on は「専門的な内容」「きっちりテーマをしぼった内容」に使われやすいと言われています。
この点は、高校英語サイトや辞書でもよく説明されています。たとえば、英語学習サイトの アルクの英辞郎 on the WEB では、about / on / of の用法を多数の例文つきで確認できます。
場所と範囲を表す about
次は「場所の周辺」を表す about です。
ここでも「どこか一点」ではなく、「そのあたり一帯」というイメージが共通しています。
-
英語:There are many trees about the house.
日本語:家の周りにたくさん木があります。 -
英語:He stood about the door.
日本語:彼はドアのあたりに立っていました。 -
英語:Tourists were walking about the town.
日本語:旅行客たちが町のあちこちを歩いていました。
イギリス英語では about、アメリカ英語では around をよく使いますが、意味の重なりはかなり大きく、どちらでも通じます。
違いの詳しい説明は後半の「about と around の違い」でまとめます。
行為や性質を表す about
少しレベルが上がりますが、次の2つのパターンを押さえておくと、長文読解で役立ちます。
1つ目は「〜に従事して/〜に取りかかっている」という意味です。
-
英語:He went about his work at once.
日本語:彼はすぐに仕事に取りかかりました。 -
英語:What are you about?
日本語:何をしているのですか。(何の作業に取りかかっているの?)
ここでも「ある仕事の周辺にいる→その仕事に取り組んでいる」というイメージが生きています。
2つ目は「性質・雰囲気」の about です。
There is something … about 〜 という形で、「〜にはどこか…なところがある」と言いたいときに使います。
-
英語:There is something strange about his story.
日本語:彼の話にはどこか変なところがあります。 -
英語:There is something warm about her smile.
日本語:彼女の笑顔にはどこかあたたかいところがあります。
人や物の「周りにただよう雰囲気」をイメージすると覚えやすくなります。

副詞と表現での about
ここでは、副詞の about と、be about to など「形容詞的」に使われる表現をまとめて学びます。
特に「約〜」のパターンと be about to / It’s about time は、テストでも頻出です。
数量と程度「約〜」の about
副詞 about の代表は、数字と一緒に使う「約〜/およそ〜」の意味です。
これは 「数字という中心の周辺」を指していると考えると分かりやすいです。
-
英語:It takes about 10 minutes.
日本語:時間は約10分かかります。 -
英語:I have about 3,000 yen.
日本語:私はだいたい3,000円持っています。 -
英語:We arrived at about six.
日本語:私たちは6時ごろ着きました。
頻出のパターンをいくつかまとめておきます。
より正確な数字を言いたいときは approximately や around も使えますが、日常会話では about が一番よく使われます。
be about to などの表現
次に、形容詞的な about を使った定番表現をまとめます。
どれも会話でそのまま使えるので、意味とニュアンスをセットで覚えましょう。
1)be about to do:「今にも〜するところだ」
ある行動の「直前の周辺」にいるイメージです。
-
英語:I am about to leave home.
日本語:私は今、家を出るところです。 -
英語:She was about to cry.
日本語:彼女は今にも泣き出しそうでした。
be going to よりも「すぐこのあと」という近さを強く感じさせます。
過去形の was / were about to は、「〜しようとしていた(が、別のことが起きた)」という含みを持つことも多いです。
2)be not about to do:「〜するつもりは全くない」
こちらは「その行動の周辺に近づく気もない」という、かなり強い拒否の言い方です。
-
英語:I’m not about to pay ten dollars for that.
日本語:そんなものに10ドル払うつもりなんて全くありません。
3)be about:「起きて動き回っている」「(病気などが)流行している」
これは「活動の周辺にいる→動き回っている」というイメージです。
-
英語:She is up and about now.
日本語:彼女はもう起きて動き回れるようになっています。 -
英語:There is a bad cold about.
日本語:ひどい風邪が流行しています。
4)It’s about time …:「そろそろ〜してもよいころだ」
It’s about time (to … / that S 過去形) で、「もう〜してもいいころだ」「いいかげん〜しなさいよ」という気持ちを表します。
that 節では 過去形を使いますが、これは「もうすでにそうなっていてもいいのに、まだなっていない」という、仮定法の考え方が入っているためです。
-
英語:It’s about time we went home.
日本語:そろそろ家に帰ってもいいころだね。 -
英語:It’s about time you cleaned your room.
日本語:もういいかげん部屋を片づけなさい。
会話でよく使うイディオム
会話で非常によく耳にする about のイディオムを、意味が似ているものごとにまとめておきます。
1)How about ~?(提案・勧誘)
「〜はどう?」「〜しない?」と、相手にやさしく提案するときに使います。
-
英語:How about pizza for dinner?
日本語:夕食はピザにしたらどう? -
英語:How about going to the movies?
日本語:映画に行くのはどう? -
英語:I like baseball. How about you?
日本語:私は野球が好きです。あなたはどうですか。
2)What about ~?(問題提起・心配)
「〜はどうするの?」「〜はどうなっているの?」と、気になる点を取り上げる表現です。
How about よりも、「まだ片づいていない問題」を指すことが多いです。
-
英語:We can go by car. What about the cost?
日本語:車で行けるよ。でも費用はどうするの? -
英語:You finished your homework, but what about your room?
日本語:宿題は終わったけど、部屋はどうするの?
3)そのほか覚えておきたいイディオム
これらの多くも、辞書サイトや英語情報サイトでよく紹介されています。たとえば、オンライン英会話スクールのブログ DMM英会話ブログ では、コアイメージから about のイディオムをまとめて解説しているので、あわせて参考になります。

似た語との違いと注意点
ここでは、about とよく比べられる around / on / of / almost / nearly などとの違いを整理します。
置き換えられるところと、ニュアンスが変わってしまうところを知っておくと、より自然な英語が話せます。
about と around の違い
どちらも「〜の周りに」「〜のあたりに」という意味があり、多くの場合は置き換えが可能です。
ですが、次のような傾向があります。
例を比べてみましょう。
-
英語:There were many people sitting about the table.
日本語:テーブルのあたりに多くの人が座っていました。(その場に散らばっているイメージ) -
英語:There were many people sitting around the table.
日本語:多くの人がテーブルを囲んで座っていました。(テーブルの周りをぐるっと囲んでいるイメージ)
また、副詞としての「あちこちに」「ぶらぶら」の意味では、イギリス英語が about、アメリカ英語が around を好む傾向があります。
ですが、学校英語や試験レベルでは、「だいたい同じ」で問題ありません。
about と on・of の違い
「〜について」と言いたいとき、about 以外にも on や of が使えることがあります。
ここでは、ざっくりとした選び方をまとめます。
1)about:最も一般的。広く、その話題全体について。
a book about dogs(犬についての本)など、話題が広いときに基本となる前置詞です。
2)on:より専門的・フォーマルな話題
研究・レポート・講演など、「あるテーマにしぼった内容」のときに使われます。
-
英語:a report on climate change
日本語:気候変動に関する報告書
同じ内容でも、about を使うと「もう少し一般的な話」、on を使うと「専門的・詳細な話」というイメージの差が出ます。
3)of:〜についての「一部」「情報の中身」
of は「〜の一部」「〜から生まれたもの」というイメージがあるので、次のような場合に使われます。
-
英語:a story of his life
日本語:彼の人生についての物語(彼の人生から生まれた物語) -
英語:a picture of a cat
日本語:猫の絵(猫を描いた絵)
テストでは、次のように意識しておくと選びやすくなります。
about と almost などの違い
数量や程度を表すとき、about と almost / nearly をどう使い分けるかも、よく聞かれるポイントです。
イメージの違いは次の通りです。
例を比べてみます。
-
英語:It’s about 10 o’clock.
日本語:10時ごろです。(9:50〜10:10 くらいを含むイメージ) -
英語:It’s almost 10 o’clock.
日本語:もうすぐ10時です。(9:58 など、ほとんど10時) -
英語:He ate nearly all the cake.
日本語:彼はケーキをほとんど全部食べました。(残りはごくわずか)
つまり、
おおよそ・ざっくり → about/かなり近い・ほとんど → almost / nearly
と考えるとすっきり整理できます。

試験頻出パターンと整理法
最後に、英検・TOEIC・学校テストで狙われやすい about のポイントと、効率的な覚え方をまとめます。
実際の問題でよく出るコロケーション(単語の組み合わせ)も、ここで確認しておきましょう。
試験で狙われる定番表現
ここでは、英検・TOEIC・定期テストでよく出る about の表現を、用途別にまとめます。
これらは、長文中の意味を問う問題や、文法問題、会話文完成問題などでよく出されます。
間違えやすいポイント
about で多くの学習者がつまずきやすいポイントを、いくつか挙げておきます。
1)前置詞か副詞か分からない
→ 基本は「直後に名詞があれば前置詞」と考えれば十分です。
2)was about to の解釈
was / were about to は、「そのとき、今にも〜するところだった」という意味です。
「結局しなかった」という含みがある場合もありますが、文脈次第なので、必ずしも「しなかった」と決めつけないようにしましょう。
3)It’s about time の後ろの時制
It’s about time + S + 過去形 となるのは仮定法のルールの一部です。
テストでは「現在のことでも過去形になる」点がよく問われます。
4)“bout” の使い方
歌詞やSNSで “thinking bout you” のように、about の a を省いた “bout” を見ることがあります。
これはとてもカジュアルな書き方なので、テストやビジネス文書では使わないようにしましょう。
多義語 about の覚え方
最後に、多義語の about を効率よく覚えるための整理法を紹介します。
バラバラに意味を暗記するのではなく、次のステップでまとめると頭に残りやすくなります。
このように、「イメージ → 分野 → フレーズ」という順番で整理すると、初めて見る文でも意味の見当がつきやすくなります。
※ 辞書で細かい意味を全部覚えようとするより、「周辺」という一本の線でつなげて覚えた方が、長期的にはずっと楽になります。

まとめ
最後に、この記事全体の要点をまとめます。

