「based」は学校英語でも、SNSでもよく目にする英単語です。
ところが「〜に基づく」という意味だけで覚えていると、「based in」「plant-based」やスラングの「Based.」を見たときに戸惑いやすくなります。
この記事では、フォーマルな英語表現とネットスラングの両方を整理し、「based」を場面に合わせて正しく使い分けられるようになることを目指します。
- 「based」のコアイメージと品詞ごとの役割が分かる
- be based on / in / at の意味と使い分けが理解できる
- plant-based など「-based」複合語の読み解き方が身につく
- ネットスラング「based」の意味・語源・注意点が分かる
「based」の基本意味と文法
まずは「based」という単語そのものの正体を整理します。
ここが分かると、あとの be based on / in やスラングもスッキリ理解できます。
コアイメージと品詞
「based」の中心となるイメージは、土台・基盤・拠点です。
「何かの上に成り立っている」「どこかをベースにしている」という感覚を持つと理解しやすくなります。
品詞としては次の3つに分けて考えると整理しやすいです。
どれも根っこにあるイメージは同じです。
「何かを土台にする」「ある場所を拠点にして活動する」と考えると、日本語の「ベース」「〜ベースの」とかなり近い感覚で覚えられます。
動詞「base」の過去形
「based」はもともと動詞 base の過去形・過去分詞です。
base には「〜の基礎を置く」「〜を土台にする」という意味があります。
そのため、「based」は動詞としては次のように使われます。
-
英語:He based his decision on data.
日本語:彼はその決定をデータに基づかせた。 -
英語:The movie was based on a true story.
日本語:その映画は実話に基づいて作られた。
受け身の形「was based on〜」は、見た目は受動態ですが、実際には後で説明する「形容詞 based」とほぼ同じ感覚で使われます。
英語学習では、深く考えすぎず「be based on 〜 で『〜に基づいている』とセットで覚える」と楽です。
形容詞と「-based」接尾辞
「based」は過去分詞がそのまま形容詞として定着した単語でもあります。
形容詞としての主な意味は、次の2つです。
たとえば、
a science-based approach
=科学的根拠に基づいたアプローチ
a Tokyo-based company
=東京を拠点とする会社
のように、前に来る名詞を「ベース」にして意味を作ります。
このとき、「-based」が接尾辞のように働いて「名詞+based」で1つの形容詞になります。
「plant-based」「evidence-based」などの形は、後のセクションでまとめて詳しく見ていきます。

フォーマル英語での主な用法
ここでは、ビジネスやレポート、試験でよく出るフォーマルな「based」の使い方を整理します。
特に「be based on / in / at」と「名詞+based」のパターンをしっかり押さえましょう。
be based on の意味と例
フォーマル英語で最もよく使う形は be based on 〜 です。
意味は「〜に基づいている」「〜を根拠としている」です。
対象になるのは、判断・決定・計画・作品・仕組みなど、何かの「内容」や「考え方」です。
-
英語:Our decision is based on careful research.
日本語:私たちの決定は慎重な調査に基づいています。 -
英語:This policy is based on customer feedback.
日本語:この方針はお客様の声に基づいています。 -
英語:The movie is based on a true story.
日本語:その映画は実話に基づいています。 -
英語:These results are based on a five-year study.
日本語:これらの結果は5年間の研究に基づいています。
「何に基づいているか」を強調したいときは、副詞を足して細かく表すこともよくあります。
たとえば、
largely based on 〜(主に〜に基づいて)
partly based on 〜(一部〜に基づいて)
loosely based on 〜(ゆるく〜に基づいて)
などです。
科学的な根拠に沿った目標設定を示す「Science-based targets(SBT)」のように、「科学に基づいた」という意味で使われることも多く、環境分野では WWF などが詳しい解説を出しています。参考に、SBT の説明ページも確認してみてください。
WWFジャパンによる Science Based Targets の解説(wwf.or.jp)
be based in と be based at
次に、会社や人が「どこに拠点を置いているか」を表す be based in / be based at を見ていきます。
ざっくり言うと、
というイメージです。
-
英語:Our company is based in Tokyo.
日本語:当社は東京に拠点を置いています。 -
英語:She is based in London but travels a lot.
日本語:彼女はロンドン拠点ですが、出張がとても多いです。 -
英語:He is based at our head office.
日本語:彼は本社勤務です。 -
英語:Most of our staff are based at home.
日本語:スタッフの多くは在宅勤務です。
「in は広い場所」「at は点のような具体的な場所」と覚えておくと、ほとんどの場面で困りません。
会社や自分の仕事場所を説明するときに必ず使う表現なので、早めに使い慣れておくと安心です。
名詞+based のパターン
「名詞+based」でできる複合語も、フォーマル英語でとてもよく使われます。
意味は基本的に「その名詞をベースにした」「その名詞由来の」です。
よく見るものをいくつか挙げます。
名詞の種類ごとに、だいたい次のような意味になります。
| パターン | 意味のイメージ | 例 |
|---|---|---|
| 物質+based | その物質を主成分とする | oil-based paint(油性塗料) |
| 場所+based | その場所に拠点を置く | Osaka-based company(大阪拠点の会社) |
| 考え方・情報+based | その情報・考え方に基づく | science-based policy(科学に基づく政策) |
わからない「○○-based」を見つけたら、「○○をベースにした」と一度日本語にしてみると、意味が想像しやすくなります。

類似表現と誤用・注意点
ここからは、「based on」に近い表現や、学習者がよく迷う「based off(of)」、そしてメールでの使い方をまとめます。
同じ意味でもフォーマル度やニュアンスが違うので、整理しておくと安心です。
based on 周辺の類義語
「〜に基づいて」という意味を表す英語表現はいくつかありますが、もっとも無難で幅広く使えるのはbe based onです。
他のよく使われる表現と比べてみましょう。
たとえば、次のようなニュアンスの違いがあります。
-
英語:Our policy is based on scientific research.
日本語:私たちの方針は科学的研究に基づいています。(一番ニュートラル) -
英語:Our policy is founded on democratic values.
日本語:私たちの方針は民主的な価値観に立脚しています。(理念・価値観を強調) -
英語:Her argument is grounded in reality.
日本語:彼女の主張は現実にしっかり根ざしています。(現実から離れていないことを強調)
レポートやメールで迷ったときは、be based on を使っておけばまず問題ありません。
based off(of) は正しいか
SNS や会話で「based off」「based off of〜」という表現を見ることがあります。
意味はほぼ「based on〜」と同じで、「〜に基づいて」という意味で使われます。
しかし、これは多くの辞書や文法書では口語的・非標準とされています。
ネイティブ同士のカジュアルな会話ではよく使われますが、テストやビジネス文章では避けた方が安全です。
文章にするときの目安はシンプルです。
※英語学習者のうちは、「based on」だけ覚えておけば十分です。「based off〜」は「そう言うネイティブもいる」くらいの理解で大丈夫です。
メールで使える定番表現
ビジネスメールやレポートでよく使う「〜に基づいて」「〜に拠点を置く」の定番フレーズをまとめます。
このまま型として覚えてしまうと、とても便利です。
-
英語:Based on your request, we have updated the schedule.
日本語:ご要望に基づき、スケジュールを更新しました。 -
英語:Based on the contract, payment is due by the end of this month.
日本語:契約に基づき、お支払いは今月末までとなります。 -
英語:Our office is based in Osaka.
日本語:当社のオフィスは大阪にあります。 -
英語:I am based in Tokyo and in charge of the Japanese market.
日本語:私は東京拠点で、日本市場を担当しています。
文頭の Based on 〜, … はビジネスメールでとてもよく使われる定番の形です。
「〜に基づき、……します」ととても日本語に訳しやすく、そのままテンプレートとして使えます。

スラング「based」の意味と使い方
最後に、ネットやSNSでよく見るスラングとしての「based」を取り上げます。
フォーマルな「〜に基づいた」とはまったく別物なので、意味と使う場面をしっかり分けて覚えましょう。
スラングの意味と語源
スラングとしての「based」は、「ブレずに信念を貫いていてかっこいい」「他人の目を気にせず本音を言っていて最高」というような意味で使われます。
たとえば、
That’s so based.
=それ、めちゃくちゃ筋が通っててかっこいい。
という感じです。
語源にはいくつか説がありますが、よく言われるのは次の流れです。
ただし、いくつかのオンラインコミュニティでは、政治的・社会的な話題の中で使われ、「政治的に正しくない意見でもハッキリ言う人」を称賛するようなニュアンスを持つこともあります。
そのため、文脈によってはかなり強いメッセージになる点には注意が必要です。
Based. 単体の用例
SNS やコメント欄では、「Based.」と一語だけでコメントする場面をよく見ます。
これは「その意見に強く賛成」「よく言った」という意味の短い相づちです。
-
英語:A: I think people should be free to say what they believe.
B: Based.
日本語:A:人は自分が信じることを自由に言えるべきだと思う。
B:それ、based(=全力で同意)。 -
英語:A: I’ll never pretend to like something just to fit in.
B: That’s based.
日本語:A:周りに合わせるためだけに何かを好きなふりは絶対しない。
B:それは based だね(=信念があってかっこいい)。
また、ほめ言葉として人に対しても使われます。
He’s so based.
=彼は本当にブレない。かっこいい。
一方で、皮肉として逆の意味で使われることもあります。
たとえば、極端な意見に対して「はいはい、based ですね」といったニュアンスで書かれる場合です。
文脈次第で「本気の称賛」か「バカにしているのか」が変わるので、読み取るときも注意が必要です。
使う場面とリスク
スラング「based」は便利で流行している言葉ですが、使用にはいくつかリスクがあります。
特に次の点を意識しておくと安全です。
※特に英語学習者が「cool」「awesome」の代わりに何でも「based」を使うのはおすすめできません。文脈によっては、特定の政治的スタンスを持っているように誤解される可能性があります。
どう使ってよいか迷う場合は、ほめ言葉としては That’s cool. / That’s awesome. / I respect that. など、より中立的で安全な表現を使うのが無難です。
英語スラング全般については、海外メディアの記事や大学の英語教育ページなどでも注意が呼びかけられています。たとえば、スラング使用のリスクに触れた大学のガイドラインなども参考になります。
東京大学の学生向けガイドライン(u-tokyo.ac.jp) などを読むと、「場にふさわしい言葉選び」の重要性も実感しやすくなります。

まとめ
最後に、この記事の内容をポイントで整理します。
復習するときや、自分の英文を書くときのチェックリストとして使ってください。
これらを押さえておけば、「based」を見ても意味に迷いにくくなり、自分でも安心して使い分けられるようになります。
まずは be based on / in / at と、よく目にする ○○-based の形から、日常の英文に少しずつ取り入れてみてください。

