英検準一級は「大学中級程度」の英語力が目安とされ、難関大学入試や教員採用、就職でも高く評価される資格です。とはいえ、2級とのギャップも大きく、語彙・長文・ライティング・スピーキングのどこから手をつければよいか迷う人も多いはずです。
この記事では、英検準一級のレベルや試験形式、CSEスコアの合格ラインから、具体的な勉強法、受験方式の選び方までを一気に整理します。2級レベルから合格を目指す人が「何を・どの順番で」進めればよいかが分かる内容です。
自分の現在地を知り、無理のない計画を立てれば、準一級は決して「一部の人だけの資格」ではありません。着実にステップを踏めば、社会人でも学生でも十分に到達できます。
- 英検準一級のレベル感と、2級・1級・TOEICなどとの対応関係
- 一次・二次試験の形式とCSEスコアの合格ライン目安
- 2級レベルから合格するまでの学習ステップと技能別勉強法
- 英検準一級を取るメリットと、従来型・S-CBTの選び方
英検準一級のレベルと価値
まずは「準一級とはどんなレベルなのか」「取る価値はどのくらいあるのか」をはっきりさせましょう。ここを押さえておくと、自分にとって現実的な目標かどうかを判断しやすくなります。
公式レベルと想定力
英検協会は準一級を「大学中級程度」のレベルと位置づけています。目安としては、次のような力が求められます。
扱うトピックも、日常会話レベルをこえた内容が増えます。たとえば、政治・経済・環境問題・医療・テクノロジー・文化・歴史など、新聞やニュースでよく目にするテーマが中心です。
語彙レベルは7,500〜9,000語程度とされ、2級まででよく出る単語にくわえて、時事・学術寄りの単語が多く登場します。単語の意味だけでなく、「どんな文脈で使われるか」までセットで覚える必要があります。
公式の試験情報や過去問は、日本英語検定協会のサイトで公開されています。試験内容の最新情報は、必ず公式ページも確認してください。
2級や1級との違い
準一級は「2級と1級の間」と言われますが、特に2級から準一級へのギャップが大きく感じられます。主な違いは次の3つです。
語彙については、2級から1,800語前後増えると言われます。高校教科書や共通テストには出てこない単語も多く、ここが最初の壁になります。
長文では、2級は「高校生の日常や進路」「身近な社会問題」が中心ですが、準一級では「経済政策」「医療制度」「環境保護の制度」といった、より専門的な話題が増えます。文章も長く、文構造も複雑になるため、読み慣れていないと途中で疲れてしまいがちです。
ただし、文法そのものは2級と大きく変わるわけではありません。分詞構文や関係詞、仮定法など、2級で出た内容を、より長く複雑な文章の中で正しく処理できるかどうかが問われます。
1級との違いについては、1級は「大学上級レベル」で、さらに専門的・抽象的なテーマを扱います。準一級が「難関大学入試〜教養レベル」なら、1級は「専門書や学術的議論にも踏み込むレベル」というイメージです。
TOEIC等との対応
英検準一級のレベルを他の試験と比べると、次のような目安になります(あくまで目安であり、完全に同じではありません)。
| 試験・指標 | 英検準一級の目安 | コメント |
|---|---|---|
| CEFR | B1〜B2 | 上位はB2相当 |
| TOEIC L&R | 約785〜945点 | ビジネス場面で十分に通用するレベル |
| TOEFL iBT | おおよそ80〜89点 | 海外大学出願の目安帯 |
ただし、TOEICはビジネス寄り、英検は日常〜社会問題〜アカデミックまで幅広い場面が出題されます。同じスコア帯でも、「得意・不得意の分野」が違うことが多いです。
たとえば、TOEICで高得点でも、英検準一級のライティングで「社会的テーマの意見文を書く」のに苦戦する人もいます。逆に、英検で鍛えた人は、TOEICでも安定して点数が出ることが多いです。
英検準一級がしっかり取れる力があれば、「大学での英語授業」「海外留学」「英語を使う職場」で、最低限困らない土台ができていると考えてよいでしょう。

試験形式と合格ライン
次に、準一級の試験形式と合格ラインを整理します。「どの技能で何割くらい取ればよいか」が分かると、勉強の優先順位が立てやすくなります。
一次試験の構成と配点
一次試験は、「リーディング(R)・ライティング(W)・リスニング(L)」の3技能を測ります。試験時間とおおまかな構成は次の通りです。
リーディングは、2024年度から問題数や構成が一部変わりました。
一次試験の内訳イメージは、次のようになります。
【リーディング】
【ライティング】
【リスニング】
一次試験のCSEスコアは、各技能満点750点で合計2250点です。実際の設問ごとの配点は非公開で、年ごとに統計処理も行われるため、「この点数なら絶対合格」という素点は決められていません。
二次試験の流れと評価
一次試験に合格すると、二次試験(面接形式のスピーキング)に進みます。時間は約8分と短いですが、内容はぎゅっと詰まっています。流れはおおよそ次の通りです。
評価の観点は公式に示されており、主に以下がチェックされます。
特に多くの受験者が苦戦するのは、イラストのナレーションです。単に質問に答えるだけではなく、「状況を説明し、ストーリーとして話す」力が必要になります。
ただし、評価では「難しい単語を使えるか」よりも、簡単な文でもよいので、論理的に、はっきりと話せるかが重視されます。緊張して口数が少なくなると、内容量と積極性の両方で損をしてしまうので注意が必要です。
CSEと合格ライン目安
英検準一級のCSEスコアの合格基準は、次のように公表されています。
どの技能も満点は同じですが、問題数が違うため、1問あたりの重みは技能ごとに違います。また、CSEスコアは統計処理にもとづいて計算されるため、正答数からピッタリのスコアを逆算することはできません。
英検協会は、「各技能でおおよそ7割正答すれば、多くの受験者が合格している」と説明しています。経験的にも、各技能7割前後を目標にするのが安全です。
よくある誤解として、「○点取れば必ず合格」という素点ラインを信じてしまうケースがあります。これは年度や問題の難易度で変わるため危険です。あくまで「バランスよく7割以上」を意識しましょう。
※一つの技能だけ高得点で、他が大きく低い場合、総合CSEが足りず不合格になることがあります。得意技能で稼ぐのではなく、4技能を底上げすることが大切です。

合格までの勉強法と計画
ここからは、2級レベルから準一級に合格するまでの具体的な勉強ステップを解説します。必要な学習時間の目安や、技能別の対策、2024年度以降の形式変更への対応もまとめていきます。
学習時間と全体ステップ
2級合格レベルから準一級合格までに必要な学習時間は、目安として約1,600時間と言われます。もちろん個人差はありますが、「それなりの時間がかかる大きなステップ」だと考えておいた方が安全です。
学校の授業や宿題も英語学習に含めて考えれば、高校生なら1〜2年、大学生・社会人なら半年〜1年くらいを見ておくと現実的です。
勉強の全体ステップは、次の流れがおすすめです。
特に①の現状把握は重要です。全く歯が立たない場合は、2級レベルの復習や語彙の基礎固めに時間を多く割る必要があります。
技能別の具体的対策
次に、技能別の勉強法をポイントだけ押さえていきます。
【語彙】
準一級専用の単語帳を1冊決めて、繰り返し周回するのが基本です。おすすめの進め方は次の通りです。
単語は、一度で完璧に覚えようとせず、「忘れる前提で何度も見る」ことが大切です。
【リーディング】
リーディングは「語彙」と「読み方」の両方を鍛える必要があります。大問ごとのイメージは次の通りです。
過去問を解いた後は、「設問だけでなく、本文全体」をもう一度読み直し、不明な単語や構文を整理しましょう。多読用に、ニュースサイトや英語学習者向けの長文教材を日常的に読むのも効果的です。
【リスニング】
リスニングは、過去問とスクリプトを使った「解き直し」が鍵です。
特にPart3は、聞く前の「SituationとQuestionの読み込み」が得点のカギです。誰の立場で、何を聞かれているのかを10秒の準備時間でしっかり把握しましょう。
【ライティング】
ライティングは、「要約」と「意見論述」で少し性質が違いますが、共通して大切なのは次の2点です。
要約では、各パラグラフの主張を1文にまとめ、それをつなげていくイメージです。自分の意見は書かず、「原文の内容を忠実に短くする」ことに集中しましょう。
意見論述では、与えられた4つのPOINTから2つを選び、それぞれに例や理由をつけて書きます。「トピック→自分の立場→理由1+例→理由2+例→まとめ」の型を決めて、何度も練習しましょう。
【スピーキング】
二次試験対策では、「声に出して話す練習量」がほぼそのままスコアに直結します。おすすめは、次のような練習です。
緊張してもいいので、とにかく途切れず話し続ける意識が大切です。沈黙が長くなると、内容も積極性も評価が下がってしまいます。
語彙強化と形式変更対応
2024年度から、準一級の一次試験は次のような変更が行われました。
問題数が減ったとはいえ、1問あたりの重みは相対的に大きくなっています。特に語彙問題(大問1)は、難度の高い単語も多く、「満点を狙う」よりも「6〜7割を確実に取り、他でカバー」する戦略が現実的です。
語彙強化のポイントは、次の3つです。
要約問題への対応としては、「段落ごとに主張を1文で言い換える練習」が有効です。過去問や他の英文記事を使い、各パラグラフの要点を英語で短くまとめるトレーニングを繰り返しましょう。
形式変更の詳細やサンプル問題は、公式サイトや教材会社の解説も参考になります。たとえば、旺文社の準一級まとめページは、形式別のポイントが整理されていて便利です。

メリット比較と受験方式選び
最後に、「準一級を取ると具体的にどんなメリットがあるのか」と、「従来型とS-CBTのどちらで受けるべきか」を整理します。ここがはっきりすると、「いつ・どの形式で受験するか」の計画を立てやすくなります。
入試就職でのメリット
英検準一級は、入試や就職活動での活用度が非常に高い級です。主なメリットは次の通りです。
たとえば、上智大学・明治大学・同志社大学など、多くの大学が準一級を「出願条件」や「得点換算」の基準として利用しています。また、立教大学のように、CSE2300点以上で共通テストの英語得点に換算する例もあります。
高校入試では数は多くないものの、難関校や私立中高一貫校で「英語満点扱い」「最大加点」といった優遇が設定されている場合があります。
注意点として、英検の級・CSEスコア自体は原則「有効期限なし」ですが、入試で使う場合は「何年○月以降の取得のみ有効」など、大学ごとに制限があることが多いです。志望校が決まっている人は、必ず大学公式サイトの入試要項を確認しましょう。
教員採用や就職でも、準一級は「実務で使える英語力がある」証明になります。特に教育・観光・商社・ITなど、英語を使う機会がある職種を目指す場合、大きなプラス材料になります。
従来型とS CBTの違い
英検準一級は、「従来型」と「英検S-CBT」の2つの方式で受験できます。出題範囲や級の認定、CSEスコアはどちらも同じですが、形式や日程に違いがあります。
主な違いを整理すると、次のようになります。
| 項目 | 従来型英検 | 英検S-CBT |
|---|---|---|
| 試験方式 | 紙+鉛筆/対面面接 | PC受験/録音式スピーキング |
| 実施日 | 年3回、指定された日 | 年3回の検定期間内で、毎週末など複数日から選択 |
| 受験回数 | 1検定回につき同一級は原則1回 | 1検定回につき同一級を最大3回まで受験可 |
| 試験順 | 一次(R→W→L)→別日で二次(S) | 1日でS→L→R→Wの順に受験 |
| スピーキング形式 | 試験官と対面の面接 | PCに向かって音声を録音 |
従来型は、「紙の試験」「対面の面接」に慣れている人には取り組みやすい形式です。一方で、一次・二次が別日になるため、スケジュールが長期にわたります。
英検S-CBTは、「1日で4技能を一気に受けられる」「同一検定回で最大3回チャレンジできる」というメリットがあります。そのかわり、PC操作やヘッドセットでの受験に慣れておく必要があります。
公式サイトでは、従来型・S-CBTともに試験日程や申込方法がまとめられています。最新の実施日や検定料などは、必ず公式で確認してください。
向いている人と注意点
どちらの方式を選ぶかは、「自分の性格」と「環境(PC操作・会場までの距離など)」で決めるのが現実的です。それぞれ向いているタイプをまとめると、次のようになります。
注意しておきたいのは、どちらの方式でも「問題のレベル・合格基準は同じ」という点です。「S-CBTの方が簡単」「従来型の方が難しい」といった噂を信じる必要はありません。
また、英検は4技能のバランスを重視する試験です。語彙や読解にばかり時間を使い、ライティングやスピーキングを後回しにすると、CSEが伸びずに苦戦するケースが多く見られます。
特に入試利用を考えている人は、「いつまでにどの方式でスコアを取るか」を逆算しておきましょう。出願直前に慌てて受験しても、準備不足で本来の力が出せないことがあります。

まとめ
最後に、この記事の要点をまとめます。復習や計画づくりに役立ててください。
- 英検準一級は「大学中級程度」で、社会的テーマを読み書き・聞き話しできるレベルが求められる。
- 必要語彙は7,500〜9,000語程度で、2級から語彙・長文テーマ・アウトプットの負荷が大きく増える。
- 一次はR/W/L、二次はSで、CSE合格ラインは一次1792点・二次512点・総合2304点が目安。
- 合格を狙うなら「各技能7割前後」をターゲットにし、4技能のバランスを重視することが重要。
- 学習時間の目安は2級レベルから約1,600時間で、現状把握→語彙・基礎→過去問→アウトプット→形式慣れの順で進めると効率的。
- 語彙は準一級単語帳+過去問の間違い単語の徹底復習で伸ばし、リーディングは多読と設問パターンの研究で安定させる。
- ライティングは要約と意見論述の型を身につけ、添削を通じて論理展開と文法をブラッシュアップすることが不可欠。
- リスニングはスクリプトを使った「解き直し」と音読・オーバーラッピングで、耳と口を同時に鍛えると効果が高い。
- スピーキング(二次)はイラストのナレーションと質問応答を繰り返し口に出して練習し、内容量と積極性を意識する。
- 準一級は入試・就職での評価が高く、従来型かS-CBTかは自分のスタイルとスケジュールに合わせて選べばよい。

