「イギリス英語ってなんであんなにかっこいいんだろう」「映画みたいにクールに話せたら…」と感じたことはありませんか。
この記事では、イギリス英語の中でも特に人気のあるRP(標準発音)を中心に、「なぜ世界中でかっこいいと言われるのか」「アメリカ英語との違い」「日本人がどう学べばいいか」を整理して解説します。
ハリー・ポッターやシャーロックが好きな人はもちろん、試験のリスニングでイギリス英語に苦戦している人にも役立つ内容です。
最後まで読めば、どこまでイギリス英語を目指すか、自分なりの現実的なゴールもはっきり決められます。
- イギリス英語が「かっこいい」と言われる背景とイメージが分かる
- イギリス英語とアメリカ英語の違い(発音・綴り・語彙・文法)が整理できる
- イギリス英語っぽく聞こえる具体的な発音のコツと学習ステップが分かる
- 英米どちらを優先して学ぶべきか、自分に合う選び方と目標を決められる
イギリス英語がかっこいい理由
まずは「そもそもなぜイギリス英語はかっこいいと言われるのか」を整理します。
世界の調査結果や、映画・ドラマで作られてきたイメージをもとに、RPの魅力と人気の背景を見ていきましょう。
RPと上品で知的なイメージ
多くの人が「かっこいいイギリス英語」と聞いて思い浮かべるのは、いわゆるRP(Received Pronunciation)と呼ばれる標準発音です。
BBCニュースのアナウンサーや、英国王室関連のスピーチで聞ける英語がこのタイプに近く、落ち着いていて上品、知的で洗練された印象を与えます。
RPが「かっこいい」とされる理由には、次のような背景があります。
特に、日本では学校でアメリカ英語を習うことが多いため、RPのようなブリティッシュアクセントは「普段あまり聞かないレアな英語」として特別視されやすいです。
この「希少さ」と「上品さ」が重なり、イギリス英語=おしゃれ・知的・大人っぽい、というイメージが強くなっています。
世界での評価と人気の背景
イギリス英語の「かっこよさ」は、日本だけの話ではありません。
ロンドンの情報誌 Time Out が世界30カ国・約3.7万人を対象に行った調査では、約4分の1が「イギリス英語が一番セクシーなアクセント」と回答しています。
また、アメリカの学習サイトの調査でも、「最も知的でセクシーなアクセント」としてブリティッシュアクセントが1位に選ばれています。
他の英語とのイメージの違いを見ると、理由が分かりやすくなります。
同じ英語でも、話し方のリズムや音の使い方が変わるだけで、受け取る印象は大きく変わります。
イギリス英語は母音が短めで、子音をはっきり発音するため、スッキリとしたシャープな印象が出やすく、それが「クールさ」「上品さ」につながっています。
イギリス英語が話される国も多く、ヨーロッパや旧英連邦の英語教育はイギリス式がベースのことが多いので、「国際的でスタンダードな英語」と見られている点も人気の理由の一つです。
映画やドラマが与える印象
イギリス英語の「かっこよさ」を強く印象づけているのが映画やドラマです。
たとえば、次のような作品で耳にする英語は、多くがRPか、それに近い上品なアクセントです。
これらの作品では、ロンドン下町のコックニーなまりや、地方なまりも出てきますが、主人公やエリート層のキャラクターは、たいてい上品なRP寄りの英語を話します。
そのため、視聴者の中で「頭が良くて洗練された人=イギリス英語」というイメージが強くなり、「イギリス英語=かっこいい」というイメージ作りに大きく影響しています。
イギリス英語の映画やドラマは、文化や価値観も同時に伝えてくれるので、学習用の素材としても非常におすすめです。

イギリス英語の特徴と違い
ここからは、イギリス英語そのものの特徴と、アメリカ英語との違いを整理します。
まず「RPと地方アクセントの多様性」、次に「発音の違いと日本人の得意・不得意」、最後に「綴り・語彙・文法の違い」という流れで見ていきます。
RPと地方アクセントの多様性
「イギリス英語」と一口に言っても、実はその中身はとても多様です。
イギリスはイングランド・スコットランド・ウェールズ・北アイルランドの4つの国から成り、それぞれに地域ごとのなまりがあります。
イギリス国内のアクセントは40種類以上とも言われ、次のような有名どころがあります。
RPは「教育を受けた中流〜上流階級の話し方」とされることが多く、ニュースやドラマの主人公に使われがちです。
一方で、コックニーのような下町なまりは、労働者階級やカジュアルなイメージと結びつきます。
このように、イギリスではアクセントが、その人の出身地や階級イメージと結びつきやすいと言われます。
ただし、どのアクセントも「間違い」ではなく、コミュニケーションには問題ありません。
学習者としては、まずRPをベースに学びつつ、映画やドラマを通して地方アクセントにも少しずつ耳を慣らしていくとバランスが良いです。
発音の違いと日本人の得意不得意
イギリス英語とアメリカ英語で、特に違いが目立つのが発音です。
代表的なポイントを、日本人の得意・不得意と合わせて見てみましょう。
| ポイント | イギリス英語 | アメリカ英語 | 日本人との相性 |
|---|---|---|---|
| 語末の r | ほとんど発音しない(car → カー) | しっかり発音(カーr) | イギリスの方が近く感じて発音しやすい |
| t の音 | はっきり「タ行」。ときどき「ッ」で消える | 母音に挟まれると「ラ/ダ」に近い | イギリスはローマ字寄りで真似しやすい |
| 母音 | 短めで種類が多い。「オ」「ア」の違いが細かい | 長めで鼻に抜ける音も多い | 「近いけど違う」ため、思ったより難しい |
例として、「water」の発音を比べてみます。
このように、イギリス英語はローマ字読みとそこそこ近く、「日本人には発音しやすい」と感じる人が多いです。
一方で、母音は「ア」「オ」だけでも細かく種類があり、本物に近づけようとすると、かなり繊細な練習が必要になります。
そのため、「なんとなくそれっぽく話す」のは簡単でも、「本格的なブリティッシュアクセント」を目指すと難易度はかなり高いと言えます。
綴り・語彙・文法の代表的な差
イギリス英語とアメリカ英語は、見た目の綴りや、使う単語、文法にも違いがあります。
代表的な例だけでも押さえておくと、映画や文章を読むときに混乱しにくくなります。
綴りの違い(スペリング)
意味は同じなので、どちらも理解できれば問題ありません。
単語そのものの違い
旅行などでは、「subway=地下通路」(英)、「pissed=酔っている」(英)など、意味が変わる単語に注意が必要です。
文法の違い
文法面で覚えておきたいのは、次の2つです。
アメリカ英語では、これが「I just ate.」「Do you have a pen?」のように、シンプルな過去形・haveを好む傾向があります。
どちらも正しい英語ですが、試験やビジネスでどちらを優先して使うかは、後半の「メリット比較」の章で詳しく見ていきます。
なお、こうした英米の違いは、文部科学省や大学の入試問題解説などでも触れられることがあります。
より詳しい用例が必要な場合は、例えば 大学付属語学センターのコラム(AC.JP ドメインの例) など、教育機関の情報も参考になります。

かっこいい発音と学習ステップ
ここからは、イギリス英語っぽく聞こえるための具体的な発音のコツと、効果的な学習ステップを紹介します。
音の特徴を押さえたうえで、ドラマを使ったリスニング練習、フレーズを使ったスピーキング練習へと進めていきましょう。
イギリス英語っぽく聞こえる発音
イギリス英語らしさを出したいなら、全部の音を完璧にする必要はありません。
/t/・/p/・語末の /r/・「オ」「ア」の母音の4つを意識するだけでも、かなり雰囲気が変わります。
1. /t/ を意識する
イギリス英語らしさを一番出しやすいのが /t/ です。
まずは「water」「better」「computer」などで、tをしっかり意識して発音してみてください。
2. /p/ を息多めに出す
/p/ の音を出すとき、唇をしっかり閉じて、破裂させるように息を出します。
possible, people, party などで、少しオーバーなくらい「プッ」と息を乗せて発音すると、上品でメリハリのある音になります。
3. 語末の /r/ を落とす+linking r
イギリス英語(特にRP)は、語末の /r/ をあまり発音しません。
car, more, here などは「カー」「モー」「ヒア」ではなく、「カー」「モー」「ヘァ」に近い音で終わります。
ただし、直後に母音が続くと「r」が復活します(linking r)。
例:car engine → カーレンジン、more apples → モーラポゥズ、のようなイメージです。
4. 「オ」と「ア」の母音
イギリス英語では、綴りが o のとき、「オ」の口をしっかり作ることが多いです。
spot, possible, box などで、口を細くすぼめて「オ」とはっきり言う意識を持つと、かなりイギリスっぽくなります。
また、can などの「ア」の音は、口を大きく縦に開けて、喉の奥まで開くように「アー」と出すと、RPに近づきます。
ドラマを使ったリスニング強化
かっこいいイギリス英語を身につけるには、耳を慣らすことがとても大切です。
おすすめは、「何度見ても飽きないイギリス作品」を1〜2本決めて、くり返し視聴する方法です。
たとえば、次のような順番で見ると、音と意味が同時に頭に入りやすくなります。
作品選びの例としては、「シャーロック」「ブリジット・ジョーンズの日記」「ハリー・ポッター」あたりが、イギリス英語のアクセントやユーモアを楽しみやすくおすすめです。
リスニング素材の選び方や、多様な英語アクセントへの慣れ方については、英語教育関連のサイトでもよく解説されています。
例えば、NHKの語学講座ページ NHKゴガク(NHK.OR.JP) では、ニュース仕立ての音声などもあり、教材として参考になります。
フレーズ練習とスピーキング法
聞くだけで終わらせず、実際に自分の口で「かっこいいイギリス英語」を言えるようにするには、フレーズ単位の練習が有効です。
特に、日常でよく使えそうで、イギリスらしさが出るフレーズを少数選び、集中的に練習しましょう。
例えば、次のような流れです。
練習するフレーズとしては、次のようなイギリスらしい表現がおすすめです。
-
英語:Fancy a cuppa?
日本語:紅茶一杯どう? -
英語:That’s rubbish!
日本語:そんなのバカげてるよ。 -
英語:It’s lovely to see you.
日本語:会えてうれしいよ。 -
英語:Do you fancy going out tonight?
日本語:今夜出かけない?
このように、「かっこいい単語+簡単な文」で覚えると、会話でも使いやすくなります。
最初から難しい長文を覚えるより、「短くて言いやすいフレーズ」を確実に自分のものにしていった方が、実戦で役立ちます。

メリット比較とよくある疑問
最後に、「イギリス英語を学ぶメリット・デメリット」と、「英米どちらを優先するべきか」という疑問に答えていきます。
また、イギリス英語のスラングを使うときの注意点や、現実的な目標の立て方についても触れます。
英米どちらを優先すべきか
「イギリス英語がかっこいいのは分かったけど、最初からイギリス英語を狙うべき?」と迷う人は多いです。
結論から言うと、多くの日本人にとっては、まずアメリカ英語で基礎を固め、その後イギリス英語を追加するのが現実的です。
理由は次のとおりです。
一方で、イギリス英語には次のようなメリットがあります。
そのため、おすすめの流れは「まず英米どちらでも通じる中立的な発音を身につける → 学びたい文化や将来の計画に合わせて、イギリス寄り・アメリカ寄りを少しずつ調整する」という方法です。
ただし、将来イギリス留学予定がある、仕事でイギリスと関わる機会が多いなど、明確な理由がある場合は、最初からイギリス英語寄りで進めても問題ありません。
スラング使用の注意点
イギリス英語のスラングや決まり文句は、とてもかっこよく聞こえます。
ただし、使い方を間違えると失礼になったり、意味が逆になったりするので注意が必要です。
代表的な注意ポイントをいくつか挙げます。
学習者が安全に使いやすいのは、次のような、比較的マイルドな表現です。
※スラングは「誰に対して・どんな場面で使うか」がとても大事です。ドラマで聞いたからといって、職場や初対面の人にそのまま使うのは避けましょう。
現実的な目標設定とQ&A
最後に、多くの学習者が気になるポイントを、Q&A形式でまとめます。
Q1. 日本人がRPレベルのブリティッシュアクセントを身につけるのは可能?
A. 完全にネイティブ同等のRPを身につけるのは、かなり難しいです。
幼少期からイギリスに住んでいるなど、特別な環境がない限り、母語の影響はどうしても残ります。
そのため、現実的なゴールは、「イギリス英語の発音を聞き取れる」「自分の英語にイギリスっぽい要素を少し取り入れる」くらいに設定しておくのがおすすめです。
Q2. イギリス英語だけを最初から狙うのはアリ?
A. イギリス留学や仕事など、はっきりした理由があるならアリです。
ただし、日本の受験や教材とのギャップが出やすいので、高校生や大学受験生は、まずアメリカ英語ベースで進めた方が安全です。
Q3. 日本語訛りのまま、イギリスっぽい雰囲気だけ出すのは変?
A. 全く問題ありません。
実際、世界中の人が、それぞれの母語のアクセントを少し残した英語を話しています。
大切なのは、「相手に伝わること」と「自分が楽しめること」です。
イギリス英語のエッセンス(/t/の出し方、lovely や cheers のような単語)を少しずつ取り入れて、自分なりのスタイルを作っていけば十分です。
Q4. TOEICや英検対策として、イギリス英語はどれくらい必要?
A. 特にリスニングでは、イギリス英語の音に慣れておくと有利です。
Part 2(短い応答)などは一瞬で終わるので、アクセントに慣れていないと取りこぼしが増えます。
週に数回、イギリスのニュースやドラマを聴く習慣をつけるだけでも、かなり聞き取りやすくなります。

まとめ
最後に、本記事の内容をポイントでまとめます。
イギリス英語は、知れば知るほど奥深く、文化も含めて楽しめる魅力的な世界です。
今日紹介した発音のコツや学習ステップを参考に、「自分なりのかっこいいイギリス英語」を少しずつ育てていってください。
