イギリスは「英語の国」というイメージが強いですが、実際にはいくつもの言語とアクセントが共存する、多言語・多文化社会です。
この記事では、イギリスで使われている言語の全体像から、イギリス英語のアクセントと階級の関係、アメリカ英語との違い、さらに応用言語学分野での留学生活まで、まとめて解説します。
「これからイギリスに留学・滞在したい」「イギリス英語をきちんと学びたい」という人が、事前に知っておくと安心できる情報を、できるだけ具体的に紹介していきます。
- イギリスで使われる主要な言語と、その地域・役割がわかる
- R.P.やコックニーなど、代表的なアクセントと階級との関係がつかめる
- イギリス英語とアメリカ英語の違いと、学ぶときの考え方がわかる
- 応用言語学での博士課程留学と、電話・日常会話への実践的な対策がイメージできる
イギリスの言語と全体像
最初に、イギリスで話されている言語の全体像を整理します。
イギリスは1つの国に見えますが、実は4つの「構成国」と複数の言語から成り立っています。
「英語だけの国」と思って行くと、標識や学校教育の多様さに驚くかもしれません。
UKの構成国と言語地図
イギリスの正式名称は「United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland(グレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国)」です。
大きく次の4つの構成国から成ります。
4つは同じ「国」の一部ですが、歴史も文化もかなり違います。
その差は言語にもはっきり表れています。
イギリスで公的に扱われる主な言語は次の4つです。
英語/ウェールズ語/スコットランド語(スコッツ語)/アイルランド語
これに加えて、スコットランド・ゲール語などの少数言語も存在します。
たとえばウェールズでは、道路標識に英語とウェールズ語が必ず併記されています。
スコットランドや北アイルランドでも、地域によっては英語以外の言語表記が残っています。
イングランドはほぼ英語だけですが、ウェールズ・スコットランド・北アイルランドでは、学校や公的機関で少数言語が重要な役割を持っています。
イギリスを「英語だけの国」と考えると、この多言語の現実とのギャップが大きく感じられるはずです。
英語以外の主要言語
次に、英語以外の3つの主要言語を、役割と使われ方に注目して見ていきます。
まずウェールズ語です。
ウェールズ語は、もともと独自の文字は持たず、ラテン文字で表してきたケルト系の言語です。
一時期は英語だけが公用語とされたため、ウェールズ語は弱い立場に置かれました。
しかし1993年に法律で再び公用語として認められ、現在は学校教育でも第二言語として学ぶことが義務づけられています。
今のウェールズでは、テレビやラジオにもウェールズ語の放送があり、街の標識には英語とウェールズ語が並びます。
発音は母語話者でも難しいと言われるほど複雑で、短期の留学者が話そうとするのはかなり大変です。
スコットランド語(Scots)は、英語と同じ「ゲルマン語派」に属する言語です。
スコットランド低地(ローランド)で発達し、一見英語に近く見えますが、語彙や発音が大きく違う部分もあります。
北部には、ケルト語派のスコットランド・ゲール語も残っており、「スコットランドの英語」と「スコットランド語」と「ゲール語」は別物として理解する必要があります。
アイルランド語は、主に北アイルランドやアイルランド共和国で見られるケルト系の言語です。
日常会話では英語が主流ですが、道路標識や公的な案内には、英語とアイルランド語が併記されています。
使用するアルファベットも英語とは少し異なり、A〜I、L〜Uの18文字にVを加えた計19文字を基本としています。
イギリス国内で暮らすと、こうした少数言語が地域のアイデンティティと強く結びついていることに気づきます。
多言語国家としての実情
では、イギリスの人びとは現実にどのように言語を使い分けているのでしょうか。
結論から言うと、日常生活の多くは英語で行われています。
ただし、ウェールズやスコットランドの一部地域では、家庭や地域コミュニティの中で少数言語が積極的に使われ、学校でも子どもたちは2言語に触れます。
例えばウェールズでは、子どもが家では英語、学校ではウェールズ語と英語の両方を学ぶというケースも一般的です。
スコットランド西部では、ゲール語の学校や幼稚園もあり、地域文化を守る取り組みが続いています。
さらに、イギリスには移民ルーツの住民も多く、ロンドンなどの大都市では、アラビア語、ポーランド語、パンジャブ語、中国語など、世界中の言語が飛び交っています。
つまりイギリスは、
「英語を共通語としながら、地域言語と移民の言語が共存する多言語社会」です。
この多様性は、教育や国際理解の面ではプラスに働く一方で、政策や学校現場に負担をかける側面もあります。
詳しい統計や教育制度については、文部科学省やJASSOなどの公式情報も参考になります。
たとえば、留学全般の情報は 日本学生支援機構(JASSO)の公式サイトで確認できます。

留学を考えるなら、行き先の地域でどんな言語が見聞きできるのか、事前にざっくり把握しておくと安心です。
イギリス英語の特徴とアクセント
ここからは、イギリス英語そのものの特徴を見ていきます。
同じ「英語」でも、地域によって発音や語彙がかなり変わります。
さらに、アクセントによって話し手の出身地や社会階級まで推測されることが多く、言語と社会が強く結びついているのがイギリス英語の大きな特徴です。
標準英語RPとその変化
まずは「標準イギリス英語」と言われてきたR.P.から説明します。
R.P.(Received Pronunciation)は、「容認発音」「クイーンズイングリッシュ」とも呼ばれ、長く上流階級やBBCアナウンサーが話す標準的な英語とされてきました。
南東イングランドのホームカウンティズ(サセックスやサリーなど)の発音と近いと言われますが、実際には「地域方言」というより「階級方言」に近いものです。
特徴としては、母音をはっきり平らに発音し、rの音を語尾でほとんど発音しないなどがあります。
たとえば「car」が「カー」に近く聞こえ、「カール」にはなりません。
しかし現代のイギリスでは、R.P.だけが「正しい英語」という考え方は弱まっています。
R.P.は今も「教養ある英語」とは見なされますが、同時に「やや気取っている」という印象を持つ人も増えているためです。
若い世代のアナウンサーや政治家は、完全なR.P.ではなく、地域色の入った発音で話すことも多くなりました。
その中で、「ほどよく中立的」として注目されているのがEstuary English(河口域英語)です。
Estuary Englishは、R.P.とロンドン下町のコックニーの中間くらいに位置するアクセントと言われます。
テムズ川河口周辺の地域を中心に広がり、今ではイギリス南東部の多くの人がこの系統の発音で話しています。
教師やニュースキャスターなど、公共の場で話す人もこのアクセントを使うことが多く、現実的な「標準」に近いモデルと考えることができます。
代表的な地域アクセント
イギリスには数えきれないほどのアクセントがありますが、特に知っておくと役立つものをいくつか紹介します。
ロンドン東部のコックニー(Cockney)は、労働者階級の伝統的な訛りです。
特徴としては、thがfに変わる(think → fink)、語頭のhが落ちる(head → ‘ead)などがあります。
エセックス訛りもロンドン近郊で聞かれ、noが「ナウ」に近くなったり、toやtheなどの短い語が弱くなったりします。
イングランド北部では、ヨークシャー(Yorkshire)やリバプールのスカウス(Scouse)、ニューカッスルのジョーディー(Geordie)などが有名です。
ヨークシャーでは、uの母音が「ウー」に近くなり、cutが「クット」、bloodが「ブロッド」に聞こえることがあります。
スカウスは、aやyの音を強く伸ばし、rを巻き舌で発音することが多いアクセントです。
What’s that? が「woss dtha?」のように聞こえ、慣れないと聞き取りが難しいと言われます。
ジョーディーは、イギリス人にとっても聞き取りが難しいと言われるほどクセが強く、buttonが「ボッタン」のように聞こえます。
スコットランド英語は、ノルド語やゲール語の影響を受けており、「Scotland」が「スコートランド」のように、母音と子音の区切りがはっきり感じられることが多いです。
ウェールズ英語は、ウェールズ語のリズムとイントネーションが強く影響しており、文全体が歌うように上下するのが特徴です。
留学や旅行でイギリス各地を回ると、「同じ英語なのに、ここまで違うのか」と実感するはずです。
階級と方言の社会的ニュアンス
イギリス英語のアクセントを学ぶときに外せないのが、「階級」との結びつきです。
イギリスでは、発音や語彙から、その人の出身地だけでなく、ある程度の社会階級まで推測されてしまうことが少なくありません。
たとえば、伝統的なコックニーはロンドン東部の労働者階級の英語として知られています。
一方で、古典的なR.P.は、長く上流・中上流階級の「教養ある英語」として位置づけられてきました。
そのため、R.P.に近い発音で話すと「教育を受けた印象」が生まれ、逆に強いコックニーで話すと「くだけた、庶民的」というイメージを持たれることがあります。
ただし、最近はこのような階級による差を嫌う人も多く、アクセントどうしの優劣をつけない考え方が広がっています。
テレビでも、さまざまな地域・階級のアクセントを持つ人が活躍しています。
学習者にとって大切なのは、
「どのアクセントがえらい/ダメ」ではなく、「それぞれがどんな社会的ニュアンスを持つか」を知っておくことです。
ビジネスや学術の場では、R.P.寄り、またはEstuary English寄りの中立的なアクセントが無難なことが多いです。
一方で、映画やドラマを楽しむときは、コックニーやスカウスなど「クセのある英語」を聞き分けられると、登場人物のキャラクターや背景がより深く理解できるようになります。
留学中に自分のアクセントに自信をなくす人もいますが、母語話者同士でもアクセントで悩むことは多いので、あまり気にしすぎないことも大切です。

自分は「聞き取りやすさと中立さ」を重視して、R.P.寄りかEstuary English寄りを目安にすると、実践面で困りにくくなります。
アメリカ英語との違いと学び方
次に、イギリス英語とアメリカ英語の違いを整理します。
「どちらを学ぶべきか」で悩む人も多いですが、ポイントを押さえておけば、そこまで神経質になる必要はありません。
ここでは、語彙や綴り、挨拶表現の違いと、「どの英語をモデルにするか」の考え方をまとめます。
語彙と綴りの主な違い
イギリス英語とアメリカ英語は、基本的な文法は同じですが、細かい部分で多くの違いがあります。
まず覚えておきたいのが、単語そのものの違いです。
たとえば、「休暇」を表す語は次のように変わります。
イギリスで「夏休みはどこか行くの?」と聞く場合は、
“Are you going anywhere for your holiday?” と言うのが自然です。
アメリカなら “for your vacation?” を使うことが多いでしょう。
その他にも、有名な違いがいくつかあります。
| 意味 | イギリス英語 | アメリカ英語 |
|---|---|---|
| エレベーター | lift | elevator |
| 地下鉄 | underground / tube(ロンドン) | subway |
| アパート | flat | apartment |
| サッカー | football | soccer |
綴り(スペル)にも系統的な違いがあります。
代表的なものは、「-our」と「-or」、「-re」と「-er」の違いです。
colour(英)/color(米)、centre(英)/center(米)などが典型例です。
イギリスの学校や大学に行くなら、レポートやメールではイギリス式の綴りを使うのが無難です。
挨拶表現と話し方の差
挨拶やちょっとした会話表現にも、イギリスとアメリカで好みの違いがあります。
もちろん共通して使える表現も多いですが、よく使われるフレーズは少し変わります。
たとえば、「元気?」と聞くカジュアルな表現を比べてみましょう。
-
英語:Are you alright?
日本語:大丈夫?/元気にしてる? -
英語:How are things with you?
日本語:そっちはどう?(最近どう?) -
英語:What’s up?
日本語:調子どう?(主にアメリカでよく使われる)
イギリスでは、「Are you alright?」がとてもよく使われます。
直訳すると「大丈夫?」ですが、実際には「こんにちは」「元気?」に近い軽い挨拶です。
アメリカでは、What’s up? や How’s it going? が日常的に使われます。
イギリス人もまったく使わないわけではありませんが、頻度はやや低めです。
話し方全体の印象としては、イギリス英語はイントネーションがやや控えめで、ユーモアや皮肉をこめた言い回しが好まれる傾向があります。
アメリカ英語は、感情表現が少しオープンで、フレンドリーな言葉がストレートに出てくることが多いイメージです。
どちらが良いというより、「文化」とセットで理解すると違いがわかりやすくなります。
どの英語をモデルにするか
「イギリス英語とアメリカ英語、どちらを目指すべきか」という悩みは、多くの学習者が通る道です。
結論としては、
行き先や目的に合わせて「ベース」を決めつつ、相手にあわせて柔軟に切り替えられるのが理想です。
イギリスに留学・就職する予定があるなら、発音や綴り、語彙はイギリス英語をベースにしたほうが自然です。
IELTSやケンブリッジ英検など、イギリス発祥の試験に挑戦する場合も同様です。
一方で、TOEFLや多くの映画・ドラマ、IT分野の資料などはアメリカ英語が中心なので、この分野に強くなりたい人はアメリカ英語をベースにするのも良い選択です。
ただし、どちらか一方だけを完璧にしようとするより、
という方針のほうが、実用的でストレスも少なくなります。
イギリスに行く予定がある人は、まずイギリス英語の基本表現や綴りを押さえ、その上でアメリカ英語にも慣れておくと、どの国の人ともスムーズにやりとりしやすくなります。

どちらかを選んだあとも、もう一方の表現を「聞いてわかるレベル」で広げていくのがおすすめです。
留学生活と実践的な英語運用
最後に、実際にイギリス(特にヨーク大学)で博士課程に留学したケースをもとに、研究環境と生活、そして電話や日常会話への対策をまとめます。
応用言語学や第二言語習得の分野でイギリス留学を考えている人は、自分の数年後をイメージするつもりで読んでみてください。
応用言語学研究と大学環境
イギリスは、応用言語学や第二言語習得研究の重要な拠点が多い国です。
その中でも、ヨーク大学は言語・言語科学分野で高い評価を受けています。
ある留学生は、ヨーク大学の教育学・言語科学系の博士課程に4年間在籍し、英語・韓国語話者による日本語習得をテーマに研究しました。
指導教員は日本語第二言語習得で実績のある研究者で、月1〜2回の個別面談を通して、研究計画や論文の書き方などを細かく指導しました。
博士課程といっても、最初の1年目は修士レベルの授業を聴講し、先行研究の読み方や統計・研究法の基礎を固めることが多いです。
同時に、学内の他の専門家にも気軽に質問できる環境があり、セミナーや研究会も盛んです。
ヨーク大学のような研究大学では、
「教員に教わる」だけでなく、「自分で問いを立て、データを集めて分析し、国際学会で発表する」ことが当たり前とされています。
そのため、英語力だけでなく、自分で考え、計画を立てて動く力が大きく伸びていきます。
学術的な位置づけやランキングなど、より詳しい情報は各大学や文科省のサイトで確認できます。
たとえば、文部科学省が運営する 日本人の海外留学支援情報サイトも参考になります。
博士課程留学と生活の実情
ヨーク大学での博士課程留学(4年間)のケースを例に、年次ごとの流れと生活の実情を見てみましょう。
1年目は、研究計画を具体化する準備期間です。
修士レベルの授業を取りつつ、関連する論文や専門書を集中的に読み、自分の研究テーマを絞り込んでいきます。
2年目には予備調査を始め、国内外の学会で研究計画や最初の結果を発表し始めます。
この段階で、質問を受けたりコメントをもらったりしながら、研究の方向性を修正していきます。
3年目は本格的なデータ収集の年です。
日本語学習者に協力してもらい、他大学にも出向いて調査を行い、その後に統計分析や質的分析を重ねます。
同時に、論文の執筆もスタートします。
4年目は論文執筆と仕上げの期間です。
半年ほどで博士論文を書き上げ、提出した後に口頭試問(viva)を受けます。
この口頭試問に合格すると、晴れて博士号取得となります。
生活面では、ある留学生の場合、JASSOの「海外留学支援制度」から約1,088万円の奨学金を受け取り、家族帯同で4年間を過ごしました。
住居費は月約10万5千円、生活費は月約9万円が目安で、単身よりかなり負担は大きくなります。
さらに、コロナ禍でデータ収集が遅れ、当初3年の予定が4年に延びたため、最後の年は日本の家族からの援助で乗り切ることになりました。
この経験から、「博士課程留学では、予定より1年延びても耐えられるくらいの資金計画が理想」という教訓が得られています。
また、イギリスの公共交通機関や業者の時間感覚は、日本とはかなり違います。
電車やバスは15分程度の遅れは日常茶飯事で、ときには予定より早く出てしまい乗れないこともあります。
電気修理などの業者が時間通りに来ない、さらには来ないまま終わるケースもあり、「相手に日本レベルの時間厳守を期待しない」スキルが、メンタル面でとても重要になります。
電話と日常会話の対策
イギリス生活で、多くの日本人が苦労するのが「電話」と日常の実務会話です。
ネットで完結しない手続き(本人確認や緊急時の連絡など)では、どうしても電話が必要になります。
しかし、電話は音質が悪く、相手の顔も見えないため、相手のアクセントや早口に一気に不安が高まります。
特にイングランド北部のヨークシャー訛りや、スコットランド・ウェールズなどの地域アクセントは、留学当初の日本人にはかなり聞き取りづらく感じられます。
これに対処するためには、事前準備がとても大切です。
たとえば、子どもの病院予約の電話をかける場合、次の情報は必ず聞かれます。
・自分と子どもの名前、続柄
・子どもの生年月日
・現在の症状や困っていること
-
英語:Hi, I’d like to make an appointment for my son.
日本語:息子の予約を取りたいのですが。 -
英語:He has had a high fever since yesterday.
日本語:昨日から高い熱があります。 -
英語:Could you say that again more slowly, please?
日本語:もう少しゆっくりもう一度言っていただけますか。
このようなフレーズを、電話の前にメモしておき、何度か声に出して練習しておくと、実際の場面でかなり気持ちが楽になります。
また、聞き取れなかったときに、「Sorry?」だけでなく、
“I’m not familiar with this accent yet. Could you say that again?” のように、アクセントに慣れていないことを正直に伝えるのも一つの方法です。
相手が非英語話者との会話に慣れていない場合も多いので、「ゆっくり・はっきりお願いしたい」というこちらのニーズを早めに示したほうが、結果的にスムーズに進みます。
留学生活が進むにつれて、こうした電話や実務会話の場数を踏むことで、耳が慣れ、自信もついていきます。
最初は怖く感じても、必ず「できるようになるタイミング」が来るので、少しずつチャレンジを重ねていきましょう。

電話や予約の場面は、事前準備と練習で不安をかなり減らせます。最初から完璧を目指さず、少しずつ慣れていきましょう。
まとめ
最後に、この記事の要点をまとめます。
- イギリスはイングランド・ウェールズ・スコットランド・北アイルランドの4構成国から成る連合王国で、公的には英語・ウェールズ語・スコットランド語・アイルランド語が扱われる多言語国家である。
- ウェールズ語やスコットランド・ゲール語などの少数言語は、標識や学校教育、地域アイデンティティの面で今も重要な役割を持っている。
- イギリス英語にはR.P.、コックニー、ヨークシャー、スカウス、ジョーディー、スコティッシュ英語など多様なアクセントがあり、地域と社会階級のイメージと強く結びついている。
- R.P.は歴史的な標準・上流階級の英語だが、現代では「やや気取った」印象もあり、実用的なモデルとしてはEstuary Englishのような中立的アクセントが意識されている。
- イギリス英語とアメリカ英語は、holiday / vacation など語彙や綴り、挨拶表現に違いがあるが、目的や行き先に合わせてどちらかをベースにし、もう一方も聞き取れるようにしておくのが現実的である。
- ヨーク大学のようなイギリスの大学は、応用言語学・第二言語習得研究の重要拠点であり、博士課程では1〜4年目を通じて研究計画、データ収集、論文執筆、口頭試問へと進んでいく。
- 博士課程留学では、奨学金や生活費に加え、予定より1年延びても対応できる資金計画を立てることが、安全な留学実現の鍵となる。
- イギリスの時間感覚やサービス品質は日本と大きく違い、電車の遅延や業者の遅刻も多いため、「自分は時間を守りつつ、他人に過度な期待をしない」姿勢がストレス軽減に役立つ。
- 電話予約や問い合わせなど生活の英語は、多くの留学生にとって難所だが、想定問答を作って練習することで、アクセントやスピードにも徐々に慣れ、終盤には自信を持って対応できるようになる。
- イギリスの言語事情やアクセントの多様性を理解しておくと、留学や旅行中に出会う人びとの背景が立体的に見え、英語学習そのものもより深く、楽しいものになっていく。

