IELTSのスコアを上げるには、文法やテクニックだけでなく「どれだけ単語を知っていて、それを実際に使えるか」が土台になります。
ただ、IELTS専用の単語帳やアプリは種類が多く、「どれを選べばいいのか」「TOEICや英検の単語帳でも足りるのか」「どう覚えればスコアにつながるのか」で迷う人がとても多いです。
この記事では、目標バンドスコア別の語彙数の目安から、主要なIELTS単語帳の特徴、紙とアプリの使い分け、試験までのスケジュール例、そしてスピーキング・ライティングで「使える語彙」に変えるコツまでを、順番に整理して解説します。
自分に合った1〜2冊を選び、最短ルートでスコアアップしたい人向けの内容です。
- 目標スコア別に必要な語彙数と、IELTS語彙の特徴がわかる
- IELTS専用単語帳と他試験単語帳の違いと、効率的な組み合わせ方がわかる
- 主要なIELTS単語帳の特徴と、自分に合うタイプの選び方がわかる
- 単語帳・アプリを使った具体的な勉強ステップとスケジュールがわかる
IELTS語彙の全体像と結論
最初に、IELTSで求められる語彙の全体像と、この記事全体の結論を整理します。
先にポイントをまとめると、IELTSでは「語彙の量」と「文脈に合った使い方」の両方が必須であり、単語帳だけで完結させるのではなく、問題演習とセットで進める必要があります。
バンド別の必要語彙数の目安
IELTSでは、公式に「このスコアには何語必要」といった数字は公表されていません。
ただし、多くの専門家や学校が出しているデータから、おおよその目安は見えてきます。
代表的な目安をまとめると、次のようになります。
| 目標バンドスコア | 想定語彙数の目安 | イメージ |
|---|---|---|
| 5.0〜6.0 | 約2,000〜4,000語 | 高校〜大学入試レベルの基礎+少し専門的な語 |
| 6.5〜7.0 | 約5,000〜6,000語 | 新聞・教養書をスムーズに読めるレベル |
| 7.5〜8.0 | 約7,000〜8,000語 | 大学の講義やレポートに概ね対応できる |
| 8.5以上 | 約9,000語以上 | 高度な議論や専門分野にもほぼ対応 |
別のデータでは、「6.0前後までは3,000語レベル、7.5以上では6,000〜7,000語レベル」とするものもあります。
このように数字に幅があるのは、次のような理由があるからです。
そのため、数字はあくまで目安として見てください。
「語彙数を増やす」と同時に、「試験で使える語を増やす」ことを意識するのが重要です。
IELTSで求められる語彙の特徴
次に、IELTSの語彙にはどんな特徴があるのかを整理します。
一般的な英会話やTOEICと比べると、次の4点が大きな違いです。
まず、IELTSは大学進学や移住を前提とした試験です。
そのため、環境問題、教育、医療、テクノロジー、社会問題など、アカデミック寄りのトピックが多く出ます。
同時に、日常生活・仕事・家族などの話題も出るので、どちらか一方だけでは足りません。
また、リーディングでは、設問文の表現と本文の表現が「別の単語で言い換えられて」いることが多いです。
ライティング・スピーキングでは、同じ単語をくり返すと語彙の評価が下がります。
たとえば「大事な」をすべて important で書くのではなく、crucial / essential / significant / vital などを使い分けられると、スコアにつながります。
さらに、英式スペリングにも注意が必要です。
たとえば、アメリカ英語の「color」は、イギリス英語では「colour」です。
単語帳を選ぶときは、IELTSで使われる英式スペリングと発音に対応しているかを確認しましょう。
IELTSの語彙の特徴については、語学学校のコラムなどでも詳しく整理されています。
より全体像を知りたい場合は、たとえば Berkeley HouseのIELTS語彙解説 なども参考になります。
単語帳だけに頼らない前提
単語帳をしっかりやればスコアが伸びそうに思えますが、現実には「単語帳だけ」では頭打ちになりやすいです。
理由はシンプルで、IELTSが求めているのは「単語の意味を知っているか」ではなく「その単語を使って読み・聞き・話し・書きできるか」だからです。
よくある失敗パターンは次の3つです。
これを防ぐには、次の流れを意識する必要があります。
まず単語帳で意味と基本的な用法を押さえます。
そのうえで、公式問題集や過去問、リーディング教材の中で「その単語が実際にどう使われているか」を確認します。
最後に、自分でもその単語を使って、短い文やパラグラフを書いたり、声に出して話したりします。
単語帳=「材料集」、問題演習とスピーキング/ライティング練習=「料理の実践」というイメージを持つと、バランスよく学べます。

IELTS単語帳と他試験帳の比較
ここでは、「IELTS専用単語帳」と「TOEIC・TOEFL・英検など他試験用単語帳」の違いと、紙とアプリの使い分けを整理します。
今すでに手元にある単語帳を活かすのか、新しく買い足すのかを決めるパートです。
IELTS専用単語帳の役割
IELTS専用単語帳の役割は、「IELTSで特によく出る語彙」を集中的に身につけることです。
具体的には、次のような点で有利になります。
一方で、次のようなデメリットもあります。
試験がIELTSに限られるので、「汎用性の高い英語力」よりも「IELTS特化」が中心になります。
また、価格は一般的な単語帳と大きく変わりませんが、冊数が少ないぶん、選択肢は限られます。
それでも、「数か月〜1年以内にIELTSスコアを確実に伸ばしたい」人には、IELTS専用単語帳を1冊は持つことを強くおすすめします。
TOEIC等単語帳の流用範囲
では、すでに持っているTOEIC・TOEFL・英検などの単語帳は、どこまで役立つのでしょうか。
結論から言うと、「基礎固め」には十分使えますが、「IELTS特有の語彙」をカバーするには足りません。
試験ごとのざっくりした違いは次の通りです。
このため、おすすめの流れは次のようになります。
まず、TOEICや英検の単語帳で「基本的な語彙」を固めます。
英検準1級レベルやTOEIC800点レベルの語彙があると、IELTSの基礎がかなり楽になります。
その上で、IELTS専用単語帳で、頻出トピックの語彙・英式スペリング・言い換え表現を補強します。
「他試験単語帳=土台」「IELTS専用単語帳=仕上げ」という役割分担で考えると、無駄がありません。
紙とアプリのメリット比較
単語学習では、「紙の単語帳」と「アプリ」のどちらを使うかも大きなテーマです。
両者の特徴を整理すると、次のようになります。
| タイプ | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 紙の単語帳 | 集中しやすい/書き込み・付せんでカスタマイズしやすい/全体の進み具合が一目でわかる | 持ち歩きが少し重い/発音は別途音声が必要 |
| アプリ | スマホ1台でどこでも学べる/自動で復習タイミングを管理してくれるものが多い/音声が簡単に聞ける | 通知などで集中が切れやすい/書き込み・ページの見返しがしにくい |
多くのスクールや教材では、「紙メイン+アプリ補助」をすすめています。
たとえば、「実践IELTS英単語3500」を紙で進めつつ、音声は旺文社のアプリ「英語の友」で再生する、という使い方です。
このスタイルは、反復学習の効果について解説している教育機関のページとも整合しています。
学習の仕組みを知りたい場合は、たとえば 国立教育政策研究所(nier.go.jp) の資料なども参考になります。

主要IELTS単語帳の選び方
ここからは、具体的なIELTS単語帳の特徴と、レベル別の選び方を紹介します。
有名どころを知っておけば、書店やネットで迷う時間をかなり減らせます。
代表的な単語帳の特徴
日本語で手に入れやすいIELTS単語帳の中から、特に利用者が多いものをピックアップします。
収録語数やスタイルを比較しながら、自分に合うものをイメージしてみてください。
1. 実践IELTS英単語3500(旺文社)
もっとも定番と言ってよい1冊です。
レベル別に進められるので、「まずは5.5レベルまで」「次に6.5レベルまで」と、目標に合わせて計画が立てやすいです。
2. IELTS必須英単語4400(ベレ出版)
よりボリュームのある1冊です。
熟語までしっかり押さえたい人や、7.0以上を視野に入れている人に向く本です。
3. 文脈で覚える IELTS英単語(学研)
「単語の一覧が苦手」という人向けの文脈型単語帳です。
リーディングが苦手な人や、例文の中で覚えたい人にとって、とても相性が良い本です。
4. IELTS必ず☆でる単スピードマスター
比較的コンパクトにまとまった単語帳です。
短期間で頻出語だけを押さえたい人や、表現のまとまりで覚えたい人におすすめです。
5. 解いて極めるIELTS英単語
問題演習とセットで語彙を覚えるタイプの本です。
「ただ単語を眺めるだけの暗記が苦手」という人には特に向いています。
レベル別おすすめ構成
どの単語帳をどの順番で使うかは、現在のレベルと目標スコアで変わります。
ここでは、日本の学習者に多いパターンをもとに、目安となる組み合わせを示します。
目標5.5〜6.0前後(初中級〜中級)
この段階では、まず「知らない基本単語を減らす」ことが優先です。
目標6.5〜7.0(中級〜上級入り口)
このあたりから、スピーキング・ライティングでの「言い換え力」も重要になります。
目標7.5以上(上級)
ここまで来ると、単語帳に加え、英字新聞・学術系の記事や、英語版の「Cambridge Vocabulary for IELTS」なども併用したいレベルです。
文脈型かリスト型かの選択
単語帳には、大きく分けて「文脈型」と「リスト型」があります。
どちらが良いかは、性格と目的で変わります。
リスト型(単語+意味の一覧)
例:「実践IELTS英単語3500」「IELTS必須英単語4400」など。
文脈型(長文やストーリーの中で覚える)
例:「文脈で覚えるIELTS英単語」「DUO 3.0(IELTS専用ではないが近いタイプ)」など。
どちらか一方だけにこだわる必要はありません。
たとえば、最初はリスト型で全体をざっとカバーし、そのあと文脈型で「使える形」にしていく、という流れもおすすめです。
「とにかく早く1周したい人」はリスト型中心、「暗記が苦手な人」は文脈型を多めにすると考えると、自分に合うバランスが決めやすくなります。

効率的な勉強法と活用術
最後に、単語帳やアプリをどう使えば「覚えたつもり」で終わらず、本番でスコアにつながるのかを整理します。
ここでは、暗記の手順、期間別スケジュール例、そして「話す・書く」で使えるようにする工夫を紹介します。
暗記と復習の具体ステップ
単語を覚えるときに一番大事なのは、「反復」と「文脈」です。
ここでは、1日の基本的な流れを具体的に示します。
1. 1日の新出単語数を決める
目安としては、平日なら30〜50語程度が現実的です。
仕事や学校が忙しい人は、まずは20〜30語でもかまいません。
2. 新しい単語をざっと3周見る
1周目は、日本語の意味とざっくりしたイメージだけでOKです。
2周目で、音声を聞きながら発音をまねし、例文も軽く目を通します。
3周目で、赤シートや隠し機能を使って、意味を思い出せるか確認します。
3. 復習を「新出と同じかそれ以上」の時間をかける
2日目以降は、「前日に覚えた単語」を最優先で復習します。
単語学習時間の半分以上は復習に使うイメージです。
4. 苦手単語リストを作る
何度見てもピンとこない単語には印をつけ、「苦手リスト」にまとめます。
週末などに、この苦手リストだけを集中的に見直すと、定着が一気に上がります。
5. 同義語・反義語・コロケーションもセットで押さえる
特にIELTSでは言い換えが重要なので、可能な範囲で類義語や反義語も一緒に覚えます。
たとえば important を学ぶときに、crucial, essential, significant などをメモしておきます。
また、「make progress」「play a vital role」など、よく一緒に出てくる組み合わせ(コロケーション)も意識しましょう。
期間別学習スケジュール例
ここでは、「試験まであと3か月」というケースを想定した、語彙学習のスケジュール例を示します。
自分の生活リズムに合わせて、数字は調整してください。
試験3か月前〜2か月前
この期間は「語彙を増やすメイン期間」です。
試験2か月前〜1か月前
ここでは、「新規インプット+過去分の総復習」を平行します。
3か月前に覚えた単語を週1でまとめて復習し、覚えている単語はリストから外し、忘れていた単語には印をつけます。
新出のペースは維持しつつも、「忘れていた単語の再定着」に時間を多めにとります。
試験1か月前〜1週間前
この時期は、「新しい単語を増やしすぎない」ことがポイントです。
1日50語のペースを続けるとしても、その中身は「過去2か月で出会った単語の復習」が中心になります。
直前に新単語をどんどん増やすと、どれも中途半端になりやすいからです。
同時に、公式問題集や模試で、実際に文章を読みながら、知っている単語だけでどこまで理解できるかを確認します。
試験1週間前〜前日
この期間は、「新しい単語はほぼ増やさない」くらいの気持ちで大丈夫です。
自分の語彙ノートや苦手リストだけを見返し、スピーキング・ライティングでよく使いそうなフレーズを声に出して練習します。
不安で直前に詰め込みたくなりますが、直前期は「量」ではなく「安定感」を優先しましょう。
話す書くまで使える化する
多くの人が悩むのが、「単語帳で見れば分かるけれど、スピーキング・ライティングで出てこない」という問題です。
これを解決するには、「見るだけの単語」を「自分で使ったことのある単語」に変える必要があります。
具体的な方法を3つ紹介します。
1. 例文を声に出してまねる(シャドーイング)
単語帳や音声の例文を聞きながら、少しあとを追いかけて声に出します。
「目+耳+口」を同時に使うことで、記憶に残りやすくなります。
2. 自分の例文を1文だけでもいいので書いてみる
たとえば、environmentally friendly(環境にやさしい)を覚えたら、自分で1文書いてみます。
例:My city should use more environmentally friendly buses.
完ぺきな文でなくてもかまいません。
「自分の生活や考え」で使ってみることで、本番のスピーキング・ライティングでも出しやすくなります。
3. トピック別にまとめて覚える
IELTS頻出のトピック(教育・環境・テクノロジーなど)ごとに、よく使う単語やフレーズを10〜20個ずつまとめます。
そして、そのトピックについて短いエッセイや意見スピーチを練習します。
たとえば「環境」のトピックなら、pollution, renewable energy, emissions, recycle, sustainable などをまとめて覚え、その語を使ってスピーチを作ります。
こうすると、試験本番で同じトピックが来たときに、一気にその単語群が出てきやすくなります。
※スピーキング・ライティングでは、「難しい単語を無理に詰め込む」よりも、「そのレベルに合った語彙を正しく、自然に使う」ことの方が高く評価されます。

総括
ここまで、IELTS単語帳の選び方から勉強法まで、一通り整理してきました。
最後に、実践するときに意識してほしいポイントをまとめます。
