「IELTSの過去問ってどこにあるの?」「ケンブリッジIELTSは本当に過去問なの?」と迷っている人は多いです。
実は、IELTSは英検や大学入試のように、本番で使われた問題をそのまま公開していません。
その代わりに、公式機関が作った「本番そっくりのサンプル問題」や「公認問題集」があり、これらをどう組み合わせるかで、スコアの伸びやすさがかなり変わります。
この記事では、「過去問」という言葉に振り回されず、最短でスコアにつながる教材と勉強の順番を、できるだけシンプルに整理します。
- IELTSに本当の意味での「公開過去問」がない理由と、その代わりに使うべき教材が分かる
- 無料サンプル・公認問題集・ケンブリッジIELTSの違いと、目的別の選び方が分かる
- Academic / General Training・ペーパー / コンピューター別の最適な「過去問的教材」が分かる
- 過去問的教材を使った4ステップ学習計画と、レベル別のおすすめ組み合わせが分かる
IELTSに過去問はあるのか
まずは、「IELTSに過去問はあるのか」という一番の疑問から整理します。
他の試験と同じ感覚で「過去問」を探すと、選び方を間違えやすいので、ここで一度考え方をそろえましょう。
公開過去問がない理由
IELTSには、公式が本試験の問題をそのまま公開した「過去問集」はありません。
これはIELTSという試験の性質と運営の仕方が、日本の試験と少し違うからです。
主な理由は次のようなものです。
つまり、「一度出した問題をどんどん公開して入れ替える」方式ではなく、「問題プールを管理しながら少しずつ更新していく」方式なので、受験者向けに本試験そのものを配ることはしていません。
その代わりに、公式機関が本番とほぼ同じ形式・レベルのサンプルや模試を作り、「過去問の代わり」として提供しています。
過去問的教材の種類整理
IELTSでは、本当の意味の「過去問」ではなく、次のような「過去問的教材」を組み合わせて使います。
それぞれの役割を簡単にまとめると、次のイメージです。
無料サンプルは「形式を知るための試し打ち」。
公認問題集は「形式+勉強の仕方を日本語で学ぶ教科書」。
ケンブリッジIELTSは「本番レベルの実戦模試」。
オンライン模試は「本番前にスコアと弱点を測る診断テスト」です。
この記事では、これらをまとめて「過去問的教材」と呼びます。
よくある誤解と注意点
「IELTS 過去問」で検索すると、いろいろな本やサイトが出てきますが、いくつか注意したいポイントがあります。
特に意識してほしいのは、この2つです。
「過去問」と書かれていても、ほとんどは本試験そのものではなく「模擬問題」であること。
そして、古い情報や終了したサービスの紹介にそのまま従わないことです。
たとえば、
こうした点に気づかずに教材を選ぶと、「思ったより本番と違う」「お金をかけたのに使えなかった」といったことが起こります。
このあとで、公認・公式かどうか、最新版かどうか、どこを見て見分ければいいかも具体的に説明します。

公式サンプルと問題集の選び方
ここでは「どの公式サンプル・問題集を使えば、過去問代わりになるのか」を整理します。
無料で使えるものと、市販の公認問題集・ケンブリッジシリーズの違いを知ると、ムダな出費を減らせます。
無料公式サンプルの使い方
まずは、お金をかけずに使える「公式サンプル」を押さえましょう。
代表的なのは、日本の試験運営団体JSAFの無料練習ページと、IDPのコンピューター版サンプルです。
ペーパー版の無料問題は、たとえば JSAF の公式サイトから一括でダウンロードできます。
JSAFの無料練習問題ページでは、次のような教材が手に入ります。
コンピューター版については、IDPの公式サイトで、本番とほぼ同じ画面で解けるサンプルテスト(IELTS Familiarisation Tests)が提供されています。
IELTS Familiarisationテストでは、リスニング・リーディング・ライティング(Academic中心)を、時間無制限で体験できます。
これらは次のように使うのがおすすめです。
無料サンプルだけでは問題数は足りませんが、「形式理解」と「本番イメージ作り」には十分役立ちます。
公認問題集と公式本の違い
次に、市販されている「公認問題集」や「公式ガイド」の役割を整理します。
ここを整理しておかないと、「似た本を何冊も買ってしまう」ということが起こりやすいです。
代表的なものは次のタイプです。
公認問題集の主な特徴は、
「本番形式のテストが数回分+日本語での解説・学習アドバイス」がセットになっていることです。
たとえば、IDP Educationやブリティッシュ・カウンシル公認の問題集には、
・本番と同じフォーマットの模試が2〜4回分
・解答・音声
・ライティングやスピーキングのモデルアンサー
・日本語での攻略ポイントや勉強法
がまとまっています。
一方で、ケンブリッジの公式ガイド本(The Official Cambridge Guide to IELTS など)は、
・各技能の解き方の解説
・例題・演習問題
・模試数回分
という構成で、「教科書+問題集」のような位置づけです。
初受験や独学で不安な人は、
①公認問題集(日本語解説付き)または日本語の総合対策本で、全体像と基本戦略をつかむ
②そのあとで「ケンブリッジIELTS」や追加の模試で実戦量を増やす
という順番がやりやすいです。
ケンブリッジIELTSの位置づけ
「IELTS 過去問」といえば、多くの人が思い浮かべるのがケンブリッジIELTSシリーズです。
Amazonなどでは「Authentic Practice Tests」「Authentic Examination Papers」と書かれており、実戦に最も近い問題集として世界中で使われています。
ケンブリッジIELTSシリーズのポイントは次の通りです。
ただし、ここも大事な点があります。
ケンブリッジIELTSは「本試験そのものを再録した公式過去問集」と明言されているわけではないということです。
とはいえ、作問元のケンブリッジが作った本番同等レベルのテストであることは確かなので、世界的には「実質的な過去問集」として扱われています。
目安としては、
・オーバーオール6.0前後を目指す中級レベル:最新巻を中心に2〜3冊
・7.0以上を狙う上級レベル:15〜19などを複数冊解きこむ
くらいが一つのゴールになります。

試験形式別の最適な過去問選択
次は、「自分が受けるIELTSに合わせて、どの過去問的教材を選ぶか」です。
Academic / General Training、ペーパー / コンピューターで、選ぶべき本やサンプルが変わります。
AcademicとGTの選び方
まず一番大事なのは、自分が受けるモジュールが「Academic(学術)」なのか「General Training(一般)」なのかをはっきりさせることです。
2つの違いは、次の通りです。
そのため、過去問的教材を選ぶときに、一番気をつけたいのは Reading と Writing です。
自分が受けるモジュールと同じ版(Academic版か GT版か)を必ず選ぶようにしてください。
たとえば、ケンブリッジIELTSには Academic と General Training の両方がありますが、
・留学や大学進学目的 → Academic版
・移住・就労・研修目的 → General Training版
というように、目的に合わせて選びます。
よくあるミスは、
・「安かったから」とAcademic版を買ったが、実際はGT受験だった
・総合対策本のWriting Task1解説がAcademic向けで、GTの手紙の書き方を学べていない
といったケースです。
本を買うときは、表紙や商品説明に「Academic」「General Training」のどちらが書かれているかを必ずチェックしましょう。
ペーパー版とCBT対応教材
次に、ペーパー版(紙)かコンピューター版かによって、慣れるべきポイントが少し変わります。
Listening / Reading / Writingは画面か紙かで感覚がかなり違うので、形式に合ったサンプルを触っておくことが重要です。
形式別のおすすめは次のような組み合わせです。
| 受験形式 | 最低限やっておきたい過去問的教材 |
|---|---|
| ペーパー版 | JSAFの無料ペーパー版サンプル+公認問題集(紙ベース)+ケンブリッジIELTSを印刷または紙で解く |
| コンピューター版 / IELTS Online | IDPのFamiliarisationテストで画面操作に慣れたうえで、ケンブリッジIELTSなどを「時間を測って」解く |
特にコンピューター版では、
などに慣れておくと、本番で焦りにくくなります。
IDPのFamiliarisationテストは時間無制限ですが、自分でタイマーをセットして本番と同じ制限時間で解けば、「疑似模試」としても使えます。
公式模試と代替サービス
最後に、「本番前にスコアの目安を知りたい」ときの模試についてです。
以前は、IDPが「IELTS Progress Check」という有料オンライン模試を提供していました。
特徴は、
ただし、このサービスは2024年6月10日で販売終了しています。
今は新規購入ができないため、古い記事を見て申し込もうとしても使えません。
では、代わりにどうするか。
現実的な代替案は次のようなものです。
本番受験料は高いので、少なくとも1〜2回分は「時間を測った本気の模試」をこなし、結果をきちんと分析したうえで本試験に挑むようにしましょう。

過去問的教材を使った勉強法
最後に、「どの順番で過去問的教材を使えば、スコアが一番伸びやすいか」をまとめます。
ここでは、4ステップの学習計画と、セクション別・レベル別のおすすめ組み合わせを紹介します。
4ステップ学習計画
IELTS対策は、「いきなりケンブリッジIELTSを解きまくる」よりも、段階を踏んだ方が効率が良いです。
おすすめは、次の4ステップです。
ステップ1では、公式サイトや総合対策本で、試験時間・問題数・タスクの種類をざっくり把握します。
この段階では、「完璧に覚える」より「全体像を知る」ことが目的です。
ステップ2では、JSAFやIDPの無料サンプルを使って、1技能ずつ実際に解いてみます。
ここで、「どのセクションが特に難しく感じるか」「時間が足りないのはどこか」をメモしておきましょう。
ステップ3では、公認問題集やケンブリッジIELTSを使って、本番と同じ時間で模試をします。
1週間に1セットでも良いので、Listening〜Reading〜Writing〜Speakingをまとめて解くと、本番の負荷に近い体験ができます。
ステップ4では、模試で見えた弱点を、技能別問題集や語彙本で集中的に補強します。
このとき、大学や公的機関が出している英語学習情報もヒントになります。
たとえば、多くの大学では留学準備の一環としてIELTS情報を発信しています(例:ある大学の国際教育センターのIELTS解説ページなど、大学の留学支援サイト)。
こうしたページも、勉強の方向性を確認する材料として参考になります。
セクション別の練習方法
4技能それぞれに特徴があるので、過去問的教材の使い方も少しずつ変えた方が効きます。
簡単にポイントをまとめます。
特にWritingとSpeakingは、「自己流」だとバンドが上がりにくい技能です。
モデルアンサーやスクリプトをよく観察し、
・段落の組み立て方
・意見の述べ方
・つなぎ言葉の使い方
・典型的なトピック(教育・環境・テクノロジーなど)
を、過去問的教材からどんどん盗んでいきましょう。
レベル別おすすめ組み合わせ
最後に、レベルや目標スコア別に、「どの教材をどう組み合わせるか」の一例を示します。
あくまで一例ですが、迷ったときのたたき台になるはずです。
① 初受験〜英検2級レベル(目標5.5〜6.0)
② 中級(目標6.0〜6.5)
③ 上級(目標7.0以上)
どのレベルでも共通して大切なのは、
「過去問的教材は、解いたあとが本番」という意識を持つことです。
答え合わせだけで終わらせず、
・なぜ間違えたのか
・どんな単語が分からなかったのか
・別の言い方ではどう書けるか
をノートにまとめると、1セットの価値が何倍にもなります。


