IELTSのスコアは、「何点を取ればいいのか」「自分のレベルはどのくらいか」「いつまで有効か」など、知っておきたいことが多い試験です。
この記事では、スコアの仕組みから目標設定、他試験との比較、学習量の目安、スコアの有効期限や再採点までを一つひとつ整理します。
受験前の人も、すでにスコアを持っている人も、「自分は何をどこまで目指せばよいか」が分かる内容にしています。
- IELTSスコアの基本構造とオーバーオールの計算方法が分かる
- 目的別に必要なIELTSスコアの目安を把握できる
- CEFR・TOEFL・英検との対応から自分のレベル感を理解できる
- スコアアップに必要な学習量や有効期限・TRFのルールを理解できる
IELTSスコアの基本と見方
まずはIELTSスコアの「仕組み」をしっかり押さえます。
4技能のバンドスコアとオーバーオールの関係、端数処理、AcademicとGeneralの違いが分かると、目標設定や対策の方針が立てやすくなります。
4技能とバンドスコア範囲
IELTSは、次の4技能をそれぞれ別に測ります。
Listening(リスニング)・Reading(リーディング)・Writing(ライティング)・Speaking(スピーキング)の4つです。
それぞれの技能に1.0〜9.0の「バンドスコア」がつき、0.5刻みで表示されます(例:5.5、6.0、6.5など)。
バンドスコアのざっくりした意味は次のとおりです。
スコアは合否ではなく「どのくらい使えるか」を示す指標です。
特に5〜7のゾーンは、留学や移住でよく条件に出てくるため、自分が今どのあたりにいるかをイメージしておきましょう。
オーバーオールと端数処理
4技能のバンドスコアの平均が、オーバーオール・バンドスコア(総合スコア)です。
計算の流れは次のとおりです。
たとえば、L6.5 / R6.0 / W5.5 / S6.0 の場合、平均は (6.5+6.0+5.5+6.0) ÷ 4 = 6.0 で、そのまま 6.0 になります。
平均値に端数が出たときは、0.25単位のルールで丸めます。
つまり、平均が6.25なら6.5に、6.75なら7.0になるということです。
この端数処理のために、「どの技能をどこまで上げれば、オーバーオールが0.5上がるか」を逆算できるようになります。
ListeningとReadingは40問の正答数で機械的に決まるため、「あと何問正解すれば目標バンドか」も計算しやすい技能です。
AcademicとGeneralの違い
IELTSには、Academic(アカデミック)とGeneral Training(ジェネラル・トレーニング)の2種類があります。
どちらも4技能を測りますが、ReadingとWritingの内容が異なります。
おおまかな違いは次の通りです。
ListeningとSpeakingはどちらも同じ形式です。
Readingは、Generalのほうが題材が日常寄りで読みやすい分、同じバンドを取るのに必要な正答数が多くなります。
たとえば7.0を目指すとき、Academicは約30問正解でよいのに対し、Generalでは34〜35問必要という目安があります。
どちらを受けるべきかは、あとで「どのモジュールを受けるか」の章で整理しますが、基本は「出願先が指定している方」を選びます。
スコアに関する公式情報は、日本英語検定協会のIELTS公式サイトで公開されていますので、一度確認しておくと安心です。詳しいバンドスコア表は、日本英語検定協会のIELTS結果ページで確認できます。

スコアレベルと必要スコア目安
次に、「そのスコアで何ができるのか」「目的ごとにどのくらい必要なのか」を整理します。
バンドスコア別の英語力イメージを持ち、留学・移住・国内進学・就職などの目的から逆算して、現実的な目標を決めていきましょう。
バンド別英語力イメージ
まずは、よく目標になる5〜7あたりのバンドがどんなレベルなのかをイメージしましょう。
IELTS公式説明や各種教育機関の整理をもとに、ざっくりまとめると次のようになります。
8.0以上になると、細かいニュアンスもかなり自由に扱える「非常に優秀なユーザー」となり、9.0ではネイティブ並みとされています。
ただし、同じ7.0でも、4技能の内訳が「L8.0・R8.0・W6.0・S6.0」の人と「すべて7.0」の人では得意・不得意が違います。
出願要件では「オーバーオール7.0かつ各技能6.5以上」などの条件が出ることも多いので、平均だけでなく各技能のバランスも意識しましょう。
目的別に必要なスコア
具体的な目的ごとに、よく出てくるスコアの目安を整理します。
あくまで一般的な目安ですが、自分のゴールを考える材料になります。
たとえば、有名大学の一例では次のような水準が多く見られます(学部・専攻で変動あり)。
イギリスのオックスフォード・ケンブリッジ:多くの専攻で7.0前後。
カナダのトロント大・UBC:6.5〜7.0前後。
オーストラリアの主要大学:6.5前後が目安です。
重要なのは、「出願条件をギリギリ満たす」だけだと、授業や仕事についていくのが大変になりやすいという点です。
余裕を持たせて+0.5くらいを目標にするのがおすすめです。
どのモジュールを受けるか
AcademicかGeneralかで迷う人は多いですが、決め方はシンプルです。
求人や大学案内に「IELTS(Academic)6.5以上」などと明記されている場合は、その指示に従う必要があります。
どちらでも良いと書かれている場合、一般的にはAcademicのほうが「学術的な場面もこなせる」と評価されやすいです。
一方で、移住を主目的にするなら、移民局が要求しているのはほぼGeneralなので、そちら一択になります。
※出願後にモジュールを間違えていることが判明すると、受け直しが必要になることもあります。必ず志望先・移民局の公式情報を確認してから申し込みましょう。

他試験との比較と日本人の位置
ここでは、IELTSスコアをCEFR・TOEFL・英検など他の指標と対応させながら、日本人受験者の平均値や弱点を見ていきます。
自分の今のスコアや他試験の結果から、「IELTSではどのくらいが目安か」を知ることができます。
CEFRやTOEFLとの対応
CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)は、A1〜C2で語学レベルを示す国際的な基準です。
IELTSとCEFRのおおまかな対応は次のように整理されています。
| CEFRレベル | IELTS目安 | レベル感 |
|---|---|---|
| C2 | 8.5〜9.0 | ほぼネイティブ並み |
| C1 | 7.0〜8.0 | 高度な運用が可能 |
| B2 | 5.5〜6.5 | 多くの場面で実用的に使える |
| B1 | 4.0〜5.0 | 身近な内容なら何とかこなせる |
TOEFL iBTとの目安換算もよく使われます(公式なものではありません)。
よく引用されるレンジは次のとおりです。
たとえば、TOEFL iBT 80点前後なら、IELTS 6.5前後が目安、というイメージです。
出願条件が「CEFR C1」や「TOEFL iBT 80点以上」などと書かれていても、IELTSに置き換えるとどのくらいかを把握しておくと、試験選びや目標設定に役立ちます。
英検など他試験との比較
日本国内では英検やTOEICのほうがなじみがあります。
目安レベル感は次のように整理されることが多いです(あくまで参考)。
国内の企業ではTOEICスコアしか見ない会社も多く、IELTSスコアだけではレベルをイメージしてもらえない場合があります。
その場合は、履歴書などで「IELTS 6.5(≒英検準1級レベル)」のように、国内試験の目安も添えると伝わりやすくなります。
逆に、海外の大学や企業では英検の知名度が低く、IELTSやTOEFLのほうが評価されやすいです。
国内外どちらで使うかを考え、必要に応じて複数のスコアを組み合わせて活用するのも一つの戦略です。
日本人平均スコアと弱点
日本人受験者の最新の平均スコアは、おおよそ次のとおりです(Academic)。
多くの海外大学が求める6.5と比べると、平均的な日本人は約1.0ポイント足りない計算です。
特徴としては、ReadingとListeningは相対的に高めで、WritingとSpeakingが弱いというパターンがはっきり出ています。
これは、日本の学校教育が「読む・聞く」に偏っていて、「書く・話す」の練習が少なかったことが主な理由と考えられます。
自分のスコア表を見たとき、ReadingとListeningが6.0以上なのにWriting・Speakingが5台にとどまっている場合、平均的な日本人と同じ傾向だと言えます。
この場合、オーバーオールを上げる近道は、すでに得意なReading・Listeningではなく、WritingとSpeakingを重点的に伸ばすことです。
多くの人が苦手とするエリアを伸ばせば、同じ学習時間でもオーバーオールを上げやすくなります。

スコア達成戦略と運用ルール
ここからは、「どうやって目標スコアに届かせるか」「取ったスコアをどう活用するか」に焦点を当てます。
目標スコア別の学習量の目安、Listening/Readingの正答数とバンドスコアの関係、スコアの有効期限やTRF・再採点のルールをまとめていきます。
目標スコア別学習量の目安
もちろん個人差は大きいですが、一般的によく言われる目安として、オーバーオールを0.5上げるには100〜300時間程度の学習が必要とされています。
具体例を挙げると、次のようなイメージです。
5台から6台前半までは、過去問演習やテンプレート学習など「IELTS対策」が効きやすく、勉強量に比例してスコアが伸びやすいです。
一方で、6.5以上を目指す場合は、語彙や読解力、論理的なライティング、自然なスピーキングなど、英語力そのものを底上げする時間も必要になります。
短期の詰め込みよりも、毎日少しずつでも継続するほうが、長期的に見てスコアが安定して上がりやすいです。
リスニングとリーディング配点
ListeningとReadingは、それぞれ40問で構成され、正解1問につき1点が加算されます。
合計点(0〜40点)をバンドスコア(1.0〜9.0)に換算します。
おおよその目安は次の通りです。
Listening(Academic/General共通)
Reading Academic
Reading General
たとえば、Academic Readingで7.0を取りたいなら、40問中30問は正解したい、ということになります。
問題を解くときに「今は20問正解くらいだから6.0前後」「あと5問増やせば6.5〜7.0が見える」といった感覚が持てると、弱点分析もしやすくなります。
なお、WritingとSpeakingは、人間の試験官が4つの評価軸(タスク達成度・一貫性・語彙・文法/発音など)で採点します。
評価基準の詳細はIELTS公式サイトで公開されているので、1度は目を通しておくと、「何を意識して書き・話すべきか」がはっきりします。
有効期限とTRF再採点
IELTSのスコアは、受験日から2年間が有効期限です。
公式の成績証明書は「Test Report Form(TRF)」と呼ばれ、紙で1通だけ本人に郵送されます。
TRFには、オーバーオールと各技能のバンドスコアが記載されています。
重要なポイントは次の通りです。
スコアに納得できない場合、「Enquiry on Results(EOR)」という再採点制度を利用できます。
WritingやSpeakingなど、納得がいかない技能だけを再採点してもらうことも可能です。
主な注意点は次のとおりです。
再採点でスコアが上がれば、手数料は返金されます(国内口座など条件あり)。
ただし、必ず上がるとは限らず、変化なし・下がる可能性もゼロではありません。
※出願の締切直前にEORを出すと、「スコアが一時無効の期間」と「出願締切」が重なり、間に合わなくなるリスクがあります。締切まで余裕がない場合は、再採点より再受験を検討したほうが安全です。
TRFの扱いや再採点の詳細は、日本英語検定協会の公式ページに詳しくまとまっています。最新情報は必ず協会公式のスコア案内ページで確認してください。

総括
最後に、この記事の要点を整理します。
ここまでの内容を踏まえたうえで、次にやるべきことは「目的から逆算した目標スコア設定」と「現在値とのギャップの確認」です。
すでに他試験のスコアを持っているなら、本記事の対応表を使ってIELTSでの目安を出し、そこから学習時間や受験回数の計画を立ててみてください。
まだどの試験を受けるか迷っている場合は、海外大学や移民局など、最終的にスコアを提出する相手が何を求めているかを確認し、IELTSが最適かどうかを判断するとよいでしょう。


