IELTSは4技能すべてが問われるため、「なんとなく英語ができる」だけではスコアが安定しません。
一方で、正しい勉強法と計画をとれば、社会人でも数か月〜1年で0.5〜1.0アップは十分に狙えます。
この記事では、IELTSの全体像から4技能別の具体的な勉強法、社会人向けスケジュール、独学とスクールの選び方、CBTとペーパーの違い、直前1か月の追い込みまでを一気に整理します。
TOEICや英検との違いも説明しながら、「まず何から始めるか」「どの教材を軸にするか」「どこにお金をかけるべきか」まで具体的に示します。
読み終えるころには、今日から始められる学習プランと、次の試験日までの戦略が明確になります。
- IELTSの基本情報とTOEIC・英検との違いが分かる
- 目標スコアに必要な学習時間と、現実的な学習計画を立てられる
- 4技能別の具体的な勉強法と練習サイクルを理解できる
- 独学・スクール・オンラインの選び方と試験形式の戦略が分かる
IELTS勉強の全体像と結論
まずはIELTSという試験の特徴と、スコアアップの全体像を押さえます。ここを理解しておくと、後の勉強法や教材選びで迷いにくくなります。
IELTSの基本と他試験との違い
IELTSは「International English Language Testing System」の略で、読む・聞く・書く・話すの4技能を総合的に測る試験です。
アカデミックとジェネラル・トレーニングの2種類があり、大学・大学院進学にはアカデミック、移住や就労にはジェネラルが使われます。さらにイギリスのビザ用の「IELTS for UKVI」などもあります。
スコアは各技能1.0〜9.0を0.5刻みで評価され、その平均がオーバーオール・バンドスコアです。
たとえば L6.0 / R6.5 / W5.5 / S6.0 なら平均は6.0になります。
TOEICや英検との主な違いは次の通りです。
公式の試験概要やサンプル問題は、IELTS公式サイトや日本の実施団体のページで確認できます。たとえば日本英語検定協会のIELTS情報ページ(eiken.or.jp)では、試験の種類や構成、スコアの意味が整理されています。
ここで大切なのは、IELTSは「英語力」と「試験慣れ」の両方がないとスコアが出ないという点です。
英語力だけ高くても、形式を知らないと6.0前後で止まりやすくなります。
目標スコアと学習時間の目安
計画を立てるには、「どこからどこまで伸ばすのか」と「いつまでに」が必要です。
一般に、オーバーオール0.5アップには100〜300時間、1.0アップには200〜600時間ほどが目安と言われます(レベルが上がるほど時間は増えます)。
一例として、ケンブリッジ英語検定機構が示す目安を簡単にまとめると、次のようなイメージです。
| 現在 → 目標 | 必要学習時間の目安 | 主な課題 |
|---|---|---|
| 4.5 → 5.0 | 300〜400時間 | 高校レベル文法・基本語彙の定着、形式理解 |
| 5.0 → 5.5 | 100〜200時間 | 語彙・文法の正確さ、L/Rの正答率アップ |
| 6.0 → 6.5 | 200〜300時間 | 弱点補強、時間配分、W/Sの表現力 |
| 6.5 → 7.0 | 300時間以上 | 高度な語彙、自然な言い回し、論理構成 |
たとえば、今オーバーオール5.5で6.5を目指すなら、必要時間はおおよそ300〜500時間ほど。
平日2時間+休日5時間(週約20時間)学べるなら、4〜6か月が現実的なラインになります。
まずは志望校・会社・移民局が求めるスコアを確認し、「今の実力 → 必要学習時間 → 試験日」を逆算して決めましょう。
スコア条件は、大学や移民局の公式サイトや、IELTSの公式スコア説明ページ(ielts.org・英語)などで確認できます。
最初にやるべき三つのステップ
IELTS対策を始めるとき、多くの人が「単語帳から始める」「YouTubeをとりあえず見る」など、行き当たりばったりになりがちです。
ここでは、最初にやると効率が良い3ステップを示します。
ステップ1では、「IELTSとは何か」「各セクションで何分・どんな問題が出るか」「バンドスコアの意味」「よくあるミス」などを日本語で把握します。
これはTOEICや英検と形式が大きく違うためです。いきなり英語だけの公式問題集から入ると、多くの人が挫折します。
ステップ2では、参考書や公認問題集に付いている模試を1セット、本番と同じ時間で解きます。
このとき、点数は気にしなくてかまいません。目的は「自分の現在地」と「一番苦手な技能」を知ることです。
ステップ3で、必要時間の目安から逆算し、「週何時間×何か月」で計画を立てます。
ここで重要なのは、毎日少しでも4技能に触れる前提で計画することです。
週1で5時間まとめて勉強するより、毎日1時間ずつの方が定着しやすく、スコアにも直結します。

4技能別の効果的な勉強法
ここからは、リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの4技能ごとに、具体的な勉強法と演習サイクルを説明します。
共通する軸は、「公式・公認問題集の反復」と「復習に時間をかけること」です。
リスニング勉強法と演習サイクル
IELTSのリスニングは4セクションで40問、音声は1回のみです。
短期で伸ばすには、次のサイクルを毎回徹底することが重要です。
①では本番と同じ条件で通しで解き、先読みをしながら聞く練習をします。
②で正答率をチェックし、間違えた問題にマークを付けます。
③で、間違えた部分だけ音声を止めながら何度も聞き、スクリプトを見て「どこで聞き落としたか」「どんな音のつながり・言い回しだったか」を確認します。
ここで新しい単語や表現は必ずメモして自作単語帳に入れましょう。
④では、そのスクリプトを使ってシャドーイング(聞こえた音をすぐ真似して発音)を行います。
数字やスペリングが苦手なら、ディクテーション(書き取り)も有効です。
教材は、公式・公認問題集に加え、YouTubeのMock Testも量をこなすのに役立ちます。
多少質にばらつきはありますが、「毎日リスニングを30〜60分は解く」ための材料として割り切って使うと良いです。
また、ニュースやポッドキャスト(TED、BBC、CNBCなど)で、アカデミック寄りの話題やイギリス英語に耳を慣らしておくと、本番の理解がぐっと楽になります。
リーディング勉強法と時間配分
リーディングは3パッセージ60分、40問です。
大切なのは、1パッセージにかける時間を17〜20分に固定し、問題ごとに読み方を変えることです。
基本の流れは次の通りです。
全部を最初から最後までじっくり読む必要はありません。
むしろ、最初はざっと全体像をつかみ、その後は設問に合わせて必要な情報だけを深く読む方が時間を節約できます。
勉強では、「精読」と「多読」を分けて考えると効率的です。
精読では、公式問題集やMini-IELTSのようなオンラインサイトで1パッセージに時間をかけ、文構造・単語の意味・段落の役割まで徹底的に理解します。
多読では、同じ素材を含めて何度も読み返したり、ナショナルジオグラフィックなどの記事をたくさん読んで、速度と背景知識を増やします。
また、チャンクリーディング(意味のかたまりごとに区切って読む)を意識すると、日本語に訳さなくても英語のまま理解できるようになり、スピードが一気に上がります。
ライティング勉強法と添削活用
ライティングは60分でTask1(150語以上)とTask2(250語以上)を書きます。
Task2の配点が高いため、時間配分は20分:40分が基本です。
スコアアップの鍵は、次の3点です。
Task1なら「導入 → 全体概要 → 詳細1 → 詳細2」、Task2なら「導入 → 自分の主張 → 理由と具体例 → まとめ」のように、段落構成を毎回同じパターンで書けるようにします。
書き出しや結論で使えるテンプレ表現(In conclusion, … / Overall, it can be seen that … など)をいくつかストックしておくと、考える時間を節約できます。
ただし、型だけ真似しても、文法ミスや設問とのズレが多いとスコアは伸びません。
自分では気づきにくいミスを洗い出すために、IELTSに詳しい添削サービスを活用するのがおすすめです。
たとえば、IELTS実施団体が提供する「IELTSライティング・アシスト」のような公式系サービスでは、Task1・2を解いて提出すると、採点基準に沿ったフィードバックと改善点のアドバイスがもらえます。
Fiverrなど海外の添削サービスを使う場合も、IELTS経験者・元試験官を選ぶと、採点基準に沿ったコメントを得やすいです。
添削後は、修正版のエッセイを「写経+音読」するのがおすすめです。
書き写しながら表現を体で覚え、声に出して読むことで、スピーキングにもつながる表現ストックが増えていきます。
スピーキング勉強法と練習手段
スピーキングは11〜14分で、Part1(身近な質問)、Part2(1分準備+約2分スピーチ)、Part3(ディスカッション)で構成されます。
大事なのは、「沈黙しないこと」と「論理的に話すこと」です。
Part1は1問あたり10秒前後が目安です。
質問に対して「結論 → 理由・具体例」の順で2〜3文話す練習をしましょう。
Part2は、渡されたトピックカードに沿って約2分間話し続けます。
準備1分で、簡単なメモを作るクセを付けておくと安心です。
話す内容は、「When / Where / Who / What / Why / How(5W1H)」を意識し、時間配分をざっくり決めてから話すと、途中で止まりにくくなります。
練習手段としては、オンライン英会話が非常に有効です。
特に、IELTS専用コースや元試験官・IELTS経験豊富な講師がいるサービスを選ぶと、
といった具体的なフィードバックがもらえます。
また、自分一人のときには「瞬間英作文」やシャドーイングで口慣らしをするのがおすすめです。
通勤中に英語で独り言を言ったり、ニュースの一部を真似して話したりして、英語を話す「口の筋トレ」を毎日少しずつ行いましょう。

学習計画と勉強手段の選び方
ここでは、忙しい社会人でも回せるスケジュール例と、独学・スクール・オンライン講座の選び方、教材構成の組み立て方をまとめます。
自分の状況に合わせて、現実的なプランに落とし込んでいきましょう。
社会人向け学習スケジュール例
社会人で「平日も残業気味」という前提なら、平日3〜4時間+休日10時間前後を目指すと、数か月でまとまった学習時間を確保できます。
一例として、以下のようなメニューがあります。
平日(合計3〜4時間)
休日(合計8〜12時間)
受験生のように、平日メニューの「量を増やす」イメージです。
同時に、飲み会やSNSの時間を減らし、睡眠を十分に確保することも大切です。
夜更かしで集中力が落ちると、同じ1時間でも学習効果が大きく変わってしまいます。
独学とスクールの比較と選び方
勉強手段は大きく「独学」「通学スクール」「オンライン(英会話・添削)」の3つに分けられます。
それぞれの特徴を整理します。
レベルや目的別のおすすめは次のようなイメージです。
オーバーオール5.0前後で、基礎もあやふやな人
→ 文法・語彙の基礎を日本語教材で固めつつ、独学+オンライン英会話からスタート。
スクールに行くなら、一般英語とIELTSの基礎を教えてくれるコースが向いています。
5.5〜6.0で、6.5〜7.0を短期間で狙いたい人
→ リーディング・リスニングは独学中心で、ライティング・スピーキングだけスクールやオンライン添削を併用するのがコスパが良いです。
「独学+オンライン添削+オンライン英会話」の組み合わせが現実的です。
7.0以上を目指す人
→ IELTS専門スクールや、元試験官・IELTS講師からの個別指導を取り入れた方が効率的です。
特にライティング・スピーキングは、採点基準に沿った細かい指摘がスコアを分けます。
独学中心で進める場合も、少なくともライティングは数回、第三者の添削を受けることを強くおすすめします。
教材選びの軸とおすすめ構成
教材は増やしすぎると消化不良になります。
基本は「公式・公認系を1〜2冊軸にして、足りない部分だけ補う」形がベストです。
おすすめの構成は次の通りです。
たとえば、IDP Education監修の公認問題集や公認模試は、本番に近い問題と解説がまとまっているため、形式慣れと実戦力アップに向いています。
日本語解説があるタイプを1冊やり込み、次に英語だけのケンブリッジ公式問題集に進む流れもよく使われています。
無料のオンライン問題やYouTube模試は、質にばらつきがあります。
「本番と完全に同じ」とは限らないので、あくまで「量をこなすための補助教材」として使い、解き方や採点基準の基礎は必ず公認・公式系で学んでおきましょう。
教材選びや学習法の解説は、IDPやブリティッシュ・カウンシルなどが運営する情報ページも参考になります。たとえば、IDP JapanのIELTS勉強法解説ページ(ieltsjp.com)では、スキル別勉強法やおすすめ問題集が整理されています。

戦略的な受験と失敗回避
最後に、CBTとペーパーの選び方、直前1か月の追い込み方、やってはいけない勉強法や誤解について整理します。
「戦略的に受験する」ことで、同じ実力でもスコアの出方が変わります。
CBTとペーパーの違いと選択
IELTSはコンピューター試験(CBT)とペーパー試験の2形式があります。
主な違いは次の通りです。
基本的には、ブラインドタッチで1分間に40〜50語以上打てる人はCBTの方が有利です。
タイピングなら修正もしやすく、文字数も自動で表示されるため、語数不足のリスクを減らせます。
一方で、タイピングが非常に遅い人や、紙に直接マークしたい人はペーパーの方が安心かもしれません。
どちらにしても、本番形式と同じ環境で一度は模擬演習をしておきましょう。
直前1か月の追い込み方
試験1か月前からは、「新しいことを増やしすぎない」「弱点と本番シミュレーションに集中する」ことがポイントです。
文法は、問題を解きまくるというより、「自分が曖昧な文法だけをターゲットに短時間で復習する」方が効率的です。
ライティングでは、時間を測ってTask1・2を通しで書き、その中から数本を選んで添削に出すと、本番を想定したアウトプット練習になります。
スピーキングは、過去問や予想問題を使って、毎日Part1〜3を通しで録音し、自分で聞き返します。
内容は同じでも構わないので、「決まりきったテーマはスラスラ話せる状態」にしておくと、本番でのメンタル負荷が大きく下がります。
非効率な勉強法と誤解
最後に、IELTS勉強で陥りやすい落とし穴をいくつか挙げます。
これらを避けるだけでも、学習効率とスコアの伸びが変わります。
また、「英語力が高ければ自然にIELTSのスコアも高いはず」という考え方も危険です。
IELTSにはIELTSの「解き方」があり、特にライティング・スピーキングは採点基準を知っているかどうかでスコアが大きく変わります。
逆に言えば、英語力がそこまで高くなくても、形式理解と戦略次第で6.0〜6.5は十分に狙えます。
自分のレベルに合った目標を決め、正しい勉強法でコツコツ続けることが一番の近道です。

総括
最後に、本記事の要点を箇条書きでまとめます。復習や学習計画の見直しに使ってください。
「毎日少しずつ4技能に触れる」「同じ教材を深くやり込む」「ライティングとスピーキングは必ずフィードバックを受ける」。
この3つを軸に、自分の生活リズムに合った計画を立てて、次の試験日に向けて着実にスコアを積み上げていきましょう。

