「may と can の違いがいまいち分からない」「May I と Can I、どっちを使えば失礼じゃないの?」と迷う人はとても多いです。
しかも、学校で習う説明と、ネイティブが実際に話す英語には少しギャップがあります。
この記事では、許可と可能性という2つの場面で、may と can の「核となる意味」と「安全な使い分け」をまとめていきます。
試験でも会話でもそのまま使えるパターンと例文を中心に解説するので、読み終わるころには迷わずに選べるようになります。
- may と can の「核となる意味」と基本の違いが分かる
- May I / Can I など、許可表現の丁寧さと場面別の使い分けが分かる
- 「〜かもしれない」での may / can の選び方とNGパターンが分かる
- 試験・英会話の両方で使える安全な表現パターンを身につけられる
mayとcanの意味と結論
まずは「may と can は何がどう違うのか」という全体像をはっきりさせます。
ここで大きな方向性をつかんでおくと、あとで細かい用法を見ても混乱しにくくなります。
canの核となる意味と役割
can の中心にある意味は、能力と状況的・一般的な可能性です。
ここから、「〜できる」「〜しうる」「〜してもよい」といういくつかの使い方が生まれています。
代表的な3つのイメージは次のとおりです。
例で見てみます。
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英語:She can swim very fast.
日本語:彼女はとても速く泳ぐことができます。(能力) -
英語:It can be very cold in this city in winter.
日本語:この街では冬、とても寒くなることがあります。(一般的な可能性) -
英語:Can I sit here?
日本語:ここに座ってもいいですか。(状況としてOKかをたずねる許可)
許可の Can I ~? も、「本来その行動が状況的に可能かどうか」を聞いているイメージです。
「ここで写真を撮ることは、ルール的にOKですか?」という感覚に近いです。
mayの核となる意味と役割
may の中心にある意味は、許可と推量的な可能性です。
昔は「〜できる」という意味もありましたが、その多くは今は can に任せています。
イメージは次の2つに絞ると分かりやすくなります。
例文で確認しましょう。
-
英語:You may leave now.
日本語:もう退室してよろしい。(許可を与える、やや公式な感じ) -
英語:He may be late.
日本語:彼は遅れるかもしれません。(推量的な可能性) -
英語:May I use your phone?
日本語:お電話をお借りしてもよろしいでしょうか。(丁寧な許可の依頼)
許可の文では、「許可を出す側」からの公式なお達しのように聞こえることがあります。
一方、疑問文にすると「相手の許しを立てるていねいな頼み方」になります。
許可と可能性のざっくり比較
ここまでの内容を、許可・可能性それぞれでまとめると次のようになります。
| 意味 | can | may |
|---|---|---|
| 許可(疑問文) | Can I ~?(カジュアル・日常的) | May I ~?(丁寧・フォーマル) |
| 許可(平叙文) | You can ~.(「していいよ」カジュアルなOK) | You may ~.(公式な許可・上から目線になりやすい) |
| 可能性 | 一般的・状況的な可能性「〜しうる」 | 個別の出来事についての推量「〜かもしれない」 |
多くの場面では、「能力・一般論・状況なら can」「許可・個別の推量なら may」と考えると整理しやすいです。
ただし、会話では can がとてもよく使われるため、「許可=may」と決めつけないことが大切です。

許可表現の使い分け
ここからは、多くの人が一番迷う「許可」の場面にしぼって、May I / Can I/You may/You can/be allowed to の違いを整理します。
特に、丁寧さと「上から目線」に聞こえるリスクを意識して見ていきましょう。
May I と Can I の丁寧さ
どちらも意味は「〜してもいいですか?」ですが、丁寧さと雰囲気が違います。
結論だけ言うと、フォーマル・礼儀重視なら May I、日常会話全般なら Can Iが基本です。
ざっくりした使い分けは次のようになります。
例文で違いを確認します。
-
英語:May I ask your name?
日本語:お名前をおうかがいしてもよろしいでしょうか。 -
英語:Can I borrow your pen?
日本語:ペン貸してもらえる? -
英語:May I leave early today?
日本語:今日は早退してもよろしいでしょうか。 -
英語:Can I sit here?
日本語:ここ、座ってもいい?
アメリカ英語では、店員がお客さんに声をかけるときも Can I help you? がとても一般的です。
May I help you? も間違いではありませんが、やや古風・かしこまった印象になると言われます。
より詳しい例や解説は、教育サイトの解説も参考になります。
たとえば ベネッセの高校英語の解説ページ では、can / may の歴史的な意味の違いと実際の用法が整理されています。
You may と You can の違い
次は、許可を「与える」立場になったときの表現です。
同じ「〜していいよ」でも、You may と You can ではニュアンスがかなり違います。
感覚としては次のように押さえておくと安全です。
例文を見てみましょう。
-
英語:You can go out and play.
日本語:外に出て遊んでいいよ。 -
英語:You may go out now.
日本語:今から外出してよろしい。(先生や上司がいうイメージ) -
英語:You can use my computer if you want.
日本語:よかったら僕のパソコン使っていいよ。
ふつうの会話では、OK を出すときは You can ~ の方が自然でやわらかいです。
You may ~ は、先生がテストで「ペンを出してよろしい」と言う場面など、公式な感じが合うときに限って使うとよいでしょう。
※上司が部下に Vacation の話をしていて You may take a vacation next week. と言うと、「特別に許してあげる」という上から目線に聞こえることがあります。
be allowed to との役割分担
許可の表現では、be allowed to もよく登場します。
これは「〜することが許されている(ルール上OK)」という意味で、個人ではなく「規則」が許しているイメージです。
次のように使い分けるときれいに整理できます。
例文をいくつか見てみましょう。
-
英語:Am I allowed to take photos in the theater?
日本語:この劇場の中で写真を撮ることは許されていますか。(ルール上の許可) -
英語:Are we allowed to smoke in this building?
日本語:この建物の中で喫煙することは認められていますか。 -
英語:Can I smoke here?
日本語:ここでタバコを吸ってもいいですか。(今、この相手にOKか聞く)
be allowed to を使うと、「個人の気分」ではなく「決まりとしてどうか」を聞いていることがはっきり伝わります。
海外ではルール違反に厳しい場所も多いので、公共の場では Am I allowed to ~? を覚えておくと安心です。

可能性を表すときの違い
次は、「〜かもしれない」という意味での may / can の違いです。
この部分は、日本語訳がどちらも「〜かもしれない」になりやすいので特に混乱しやすいところです。
mayの推量的な可能性
可能性の may は、「〜かもしれない」「たぶん〜だろう」といったその場の推量を表します。
話し手の感覚や予想が中心で、確信はあまり強くありません。
イメージとしては、確信度40〜50%くらいの「ありそうだけど、よく分からない」という感じです。
実際の会話では、might とほぼ同じように使われることも多いです。
例文で確認してみましょう。
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英語:She may pass the exam.
日本語:彼女は試験に受かるかもしれません。 -
英語:He may be at home now.
日本語:彼は今、家にいるかもしれません。 -
英語:It may rain tonight.
日本語:今夜は雨が降るかもしれません。
このように、「今夜の天気」「彼女の合否」など、一度きりの具体的な出来事の予想には may を使うのが基本です。
「たぶん〜だと思うよ」と言いたいときはとりあえず may を選んでおけば、大きく外すことはありません。
canの一般的な可能性
can の可能性は、「〜しうる」「〜することもある」といった一般的・状況的な可能性を表します。
特定の1回の出来事ではなく、「そういうことも起こり得る」と説明するときに使うことが多いです。
次のような文が典型的です。
もう少し見てみましょう。
-
英語:The road can be very dangerous at night.
日本語:その道は夜、とても危険なことがあります。 -
英語:She can pass the exam if she studies hard.
日本語:一生懸命勉強すれば、彼女は試験に受かることができます。(条件つきの可能性)
ポイントは、「今この一回がそうなると思う」ではなく「そういうこともあり得る」と言っていることです。
ですから、天気予報のように「来週の修学旅行の日は晴れると思うよ」のような個別の予想に can を使うと、不自然になります。
It may be と It can be
「It may be ~」と「It can be ~」はどちらもよく見かける形ですが、意味合いはかなり違います。
ここを押さえておくと、天気や状況説明の文がぐっと作りやすくなります。
簡単にまとめるとこうです。
例文で比べてみましょう。
-
英語:It may be sunny next week.
日本語:来週は晴れるかもしれません。(来週という1回の予想) -
英語:It can be very sunny in this area in summer.
日本語:この地域では夏、とてもよく晴れることがあります。(一般的な傾向) -
英語:It may be difficult, but I’ll try.
日本語:難しいかもしれませんが、やってみます。(今回のことについての予想) -
英語:It can be difficult to find a taxi at night.
日本語:夜はタクシーをつかまえるのが難しいことがあります。(よくある状況の説明)
「来週の修学旅行、晴れると思うよ」を It can be sunny next week. と言ってしまうと、「天気が晴れに“できる”能力を持っている」ような、変な響きになります。
このように、具体的な1回の未来についての予想は may、一般論や傾向は canと覚えておきましょう。
可能性を表す助動詞全体の確信度などを詳しく見たい人は、オンライン英会話のコラムなども役立ちます。
たとえば レアジョブ英会話のコラム では、may / can を含むさまざまな推量表現が確率のイメージと一緒に整理されています。

実際の会話・試験での使い分け
最後に、ネイティブの実際の会話と、日本の学校英語・試験とのギャップを整理します。
ここをおさえておくと、「テストではどっちが無難?」「会話ではどう聞こえる?」という不安がかなりなくなります。
ネイティブ会話と学校英語
多くの日本人は学校で「許可=may」「能力=can」と習います。
ところが、実際のアメリカ英語の日常会話では、許可の場面でも can がとても多く使われています。
よくあるギャップを整理すると次のようになります。
具体的な会話のイメージを見てみましょう。
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英語:(レストランで店員が)Can I take your order?
日本語:ご注文をお伺いしてもよろしいですか。(実際の会話では can が普通) -
英語:(先生が生徒に)You can start now.
日本語:始めていいですよ。(テスト開始の合図) -
英語:(アナウンス)You may not smoke in this building.
日本語:この建物内は禁煙です。(公式なルールとしての禁止)
試験では、「丁寧さの説明」として May I ~? が模範解答になりやすい一方、会話では Can I ~? を多用するのが現実です。
このギャップを理解しておくと、「教科書と違うからダメなのかな?」と不安になることが減ります。
場面別の安全な選び方
ここからは、「この場面ならこれを使えばまず安全」という実践的なパターンをまとめます。
細かいニュアンスよりも、「失礼にならないか」「上から目線に聞こえないか」を基準にすると選びやすくなります。
場面ごとのおすすめは次のとおりです。
具体的な言い回しのセットを、例文でまとめておきます。
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英語:May I leave the room?
日本語:部屋を出てもよろしいでしょうか。(授業中・会議中など) -
英語:Can I try this on?
日本語:これ、試着してもいいですか。(洋服店など) -
英語:Are we allowed to use our phones here?
日本語:ここでは携帯電話を使ってもいいことになっていますか。(ルール確認) -
英語:You can go home now.
日本語:もう帰っていいですよ。(上から目線になりにくい許可)
「丁寧にしたいけど、堅すぎたくない」というときは、May I ~? の代わりに Could I ~? を使うのもよい手です。
Could I ~? は、Can I ~? より少しだけ丁寧で、may ほどかしこまりません。
よくある誤解とQ&A
最後に、may / can についてよくある勘違いや質問を、Q&A 形式で整理します。
こうしたポイントをあらかじめ知っておくと、「ネイティブ的に変ではないか」「テストで減点されないか」という2つの不安をうまく両立させることができます。

まとめ
最後に、この記事で扱った may / can のポイントを一覧でまとめます。
復習や暗記用に、この部分だけ読み返しても理解できるように整理しました。
- can の核は「能力・状況的/一般的な可能性」で、「〜できる」「〜しうる」が基本イメージ。
- may の核は「許可・推量的な可能性」で、「〜してもよい」「〜かもしれない」が基本イメージ。
- 許可の疑問文では、May I ~? は丁寧・フォーマル、Can I ~? はカジュアル・日常的な言い方。
- 許可を与える文では、You can ~. が自然な「していいよ」、You may ~. は公式で上から目線になりやすい。
- be allowed to ~ は「ルール・規則上の許可」を表し、Am I / Are we allowed to ~? で規則を確認できる。
- 可能性の may は、個別の出来事についての「〜かもしれない」という主観的な推量に使う。
- 可能性の can は、「〜しうる」「〜することもある」という一般論・条件付きの可能性に使う。
- It may be ~ は今回・一度きりの予想、It can be ~ は「そうなることがある」という一般的な性質を述べる。
- アメリカ英語の日常会話では、許可でも can が主流で、may はやや堅く・よそよそしく感じられることがある。
- 試験では丁寧さの問題で May I ~? が無難。会話では Can I ~?、You can ~. を基本にし、公式な場だけ may を使うとバランスがよい。
may / can は用法が多く見える一方で、「能力 vs 許可」「一般論 vs 個別の推量」という軸で整理すると、ぐっとシンプルに見えてきます。
この記事の例文から、自分がよく使いそうなパターンだけでも声に出して練習し、実際の会話や英作文で少しずつ使ってみてください。

