「more or less=多かれ少なかれ」とだけ覚えていて、実際の英文に出てくると「これ、本当にそう訳していいの?」と迷う人は多いです。
実は、more or less の一番大事なイメージは「きっちりではなく、基準の前後に少し幅をもたせること」です。
そこから「だいたい」「ほぼ」「約」「多少」「まあね」といった訳が生まれます。
この記事では、コアイメージから具体的な例文、almost / about などとの違いまで、more or less を一気に整理します。
- more or less の一番コアな意味と、覚えるべきメインの訳がわかる
- 「だいたい」「多かれ少なかれ」「約」などのニュアンスの違いが整理できる
- 会話・ビジネスでそのまま使える自然な例文・定型表現が身につく
- almost / about / approximately との使い分けと注意点が理解できる
more or less の基本意味
まずは、more or less のコアイメージと代表的な日本語訳を整理します。
ここを押さえると、あとの細かい意味も自然につながっていきます。
コアイメージと覚え方
more or less のコアは、基準値から見て「少し多い〜少し少ない」までをまとめて指すイメージです。
たとえば「10」を基準にすると、9〜11くらいのゆるい幅をひとまとめにして「だいたい10」と言っている感じです。
この「幅をもたせて、大まかにそうだと言う」というイメージから、次のような意味が生まれます。
大事なのは、どの場合も「きっちりではないが、大きくは外れていない」という点です。
つまり more or less を見たら、まず「ピッタリではなく、少しゆるめに言っている」と考えると理解しやすくなります。
代表的な日本語訳一覧
more or less に対応する日本語はいくつかありますが、よく使うのは次のグループです。
それぞれ「どんな場面と相性がよいか」も合わせて覚えると便利です。
この中で、まず覚えるべき「メイン訳」は、「だいたい」「おおよそ」です。
文脈に合わせて「約」「多少」「まあね」に微調整する、と考えると混乱しにくくなります。
多かれ少なかれの位置づけ
学校で「more or less=多かれ少なかれ」と教わることが多いですが、それだけだと実際の英文で不自然な訳になりがちです。
「多かれ少なかれ」は、日本語では「多くても少なくても、程度の差はあっても」という意味が強く、次のような「一般論」っぽい文と相性がよいです。
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英語:A man is more or less what he looks.
日本語:人は多かれ少なかれ見かけどおりのものだ。
ここでは、「人によってどのくらい当てはまるかは違うが、大筋ではそうだ」という一般的な話なので、「多かれ少なかれ」がぴったりです。
一方で、次のような文ではどうでしょうか。
-
英語:I’ve more or less finished the book.
日本語:本はだいたい読み終えた。
ここで「多かれ少なかれ読み終えた」とすると、かなり不自然になります。
このように、数量・時間・状態にかかるときは「だいたい」「ほぼ」系、人の性質・一般論にかかるときは「多かれ少なかれ」系、と使い分けるのがコツです。

意味別ニュアンスと用法
ここからは、more or less の代表的な意味ごとに、ニュアンスと使い方を整理します。
同じ「だいたい」でも、場面ごとの感じ方が少しずつ違うので、その違いをつかむと理解が一気に深まります。
だいたいほぼの意味
一番よく使うのが、この「だいたい・ほぼ」の意味です。
動作の完了や、何かの状態が「完全ではないが、それにかなり近い」ときに使われます。
代表的には次のような形です。
例文で確認してみましょう。
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英語:I’ve more or less finished the book.
日本語:その本はだいたい読み終えたよ。 -
英語:The job has more or less finished.
日本語:その仕事はほぼ終わった。 -
英語:His argument is more or less correct.
日本語:彼の主張は概ね正しい。
ここでは、「完全に100%そうだ」とは言い切らずに、少し弱めて言っているのがポイントです。
特に意見や評価に使うと、断定しすぎない柔らかい言い方になります。
多少ある程度の意味
次に多いのが、「多少〜だ」「ある程度〜だ」という意味です。
このときの more or less は、程度を弱めたいときに使うので、訳としては「ちょっと」「いくぶん」「まあまあ」のようなイメージになります。
よくあるパターンは次の通りです。
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英語:I was more or less drunk.
日本語:私はいくぶん酔っていた。(=まあ酔ってたかな) -
英語:We are all more or less selfish.
日本語:私たちはみんな、多かれ少なかれ利己的だ。 -
英語:The data reflect more or less the public opinion.
日本語:そのデータは、世論を多少なりとも反映している。
ここでは、「かなり〜」ではなく、「ゼロではないけれど強くもない」くらいの中間的な感じを出しています。
相手を傷つけたくないときや、言い切りを避けたいときに便利な表現です。
返答でのまあねの意味
会話でとてもよく出てくるのが、返答としての “More or less.” です。
これは、相手の質問に対して、「Yes ほど強くない、あいまいな肯定」を表します。
ニュアンスとしては、「完全にそうではないけれど、だいたい合っている」「まあそんなところかな」という感じです。
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英語:“Are you ready?” — “More or less.”
日本語:「準備できた?」—「うん、まあね。」 -
英語:“Did you understand my explanation?” — “More or less.”
日本語:「説明わかった?」—「うん、だいたいね。」 -
英語:“Is that what you wanted to say?” — “Yeah, more or less.”
日本語:「それが君の言いたかったこと?」—「うん、だいたいそんな感じ。」
「Yes」だと「完全にそう」と聞こえますが、「More or less.」なら少し余地を残した言い方になります。
ネイティブの日常会話で本当によく出てくるので、そのままフレーズで覚えてしまうのがおすすめです。

具体例とよくある表現
ここでは、実際によく使われるパターンを「数量・時間」「状態・性質」「定型句・フレーズ」に分けて紹介します。
そのままマネできるものを中心に取り上げるので、会話やライティングで即戦力になります。
数量時間での使い方
数字や時間と一緒に使う more or less は、ほぼ「約〜」「〜くらい」と考えて大丈夫です。
このときは「10 を基準にして 9〜11 くらい」というような、ゆるい幅を表しています。
定番の形は次の通りです。
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英語:He won 50 pounds, more or less.
日本語:彼は約50ポンドもうけた。 -
英語:It’s an hour’s ride, more or less.
日本語:そこまでは車で1時間くらいです。 -
英語:They have more or less the same number of students.
日本語:両校はほぼ同じ数の生徒がいる。
厳密なデータを扱う論文などでは、よりフォーマルな approximately を使うことが多いです。
ビジネス文書や統計の書き方については、たとえば総務省統計局の文書などを参考にするとよいでしょう(例:総務省統計局)。
状態性質での使い方
人や物の状態・性質に使う more or less は、「ほぼ〜だ」「多かれ少なかれ〜だ」といったニュアンスになります。
よく出る組み合わせをまとめて覚えておくと、読むときも書くときも楽になります。
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英語:After the accident, the car was more or less intact.
日本語:事故のあとも、その車はほぼ無傷だった。 -
英語:I’m more or less broke this month.
日本語:今月はほぼ無一文だよ。 -
英語:We are more or less dependent on imported food.
日本語:私たちは多かれ少なかれ輸入食品に頼っている。
ここでも、「完全にそう」とは言い切らずに、少し幅を残しているのが共通点です。
特に「多かれ少なかれ〜に依存している」のような表現は、ニュースや論説文でよく見かけます。
頻出フレーズと定型句
最後に、試験や実際の英会話で「セット」で出てくる頻出フレーズを紹介します。
これらはひとまとめの表現として覚えてしまうと、とても使いやすくなります。
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英語:These two proposals are more or less the same.
日本語:この2つの提案は、ほとんど同じだ。 -
英語:This is nothing more or less than fraud.
日本語:これは詐欺に他ならない。 -
英語:The meeting passed more or less uneventfully.
日本語:会議は大体何事もなく終わった。
特に「nothing more or less than ~」は、「それ以上でもそれ以下でもなく、まさに〜だ」という強い言い方です。
元の「幅を持たせる」イメージとは少し違い、「ちょうどそれ」と強調する決まり文句なので、形で覚えてしまうのがよいでしょう。

似た表現との違いと注意点
最後に、学習者が特に迷いやすい almost / about / approximately との違いと、誤解しやすいポイントを整理します。
ここを押さえておくと、試験でも実務でも more or less を安心して使えるようになります。
almostとの違いと比較
almost と more or less は、どちらも「ほとんど」という訳になることがありますが、イメージが少し違います。
| 表現 | イメージ | 典型的な訳 |
|---|---|---|
| almost | ゴールのすぐ手前まで来ている | ほとんど〜だ/もう少しで〜 |
| more or less | 全体をざっくり見て大体そう | だいたい〜だ/おおよそ〜だ |
つまり、almost は「あと一歩」、more or less は「ざっくり見て大体」と覚えると区別しやすくなります。
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英語:I’ve almost finished the book.
日本語:その本はほとんど読み終えた。(あと少し残っているニュアンスが強い) -
英語:I’ve more or less finished the book.
日本語:その本はだいたい読み終えた。(ざっくり言えば終わった)
とはいえ、日常会話ではこの2つがかなり近い意味で使われることも多く、文脈によっては入れ替えても問題ない場面もあります。
ただし、「試験などで微妙なニュアンスを問われるとき」は、この差が重要になります。
aboutapproximatelyとの違い
about / around / approximately も、「約〜」「およそ〜」という意味で more or less と近い表現です。
違いは主に、フォーマルさと、使える場面の広さです。
たとえば、どれも「約100人」と言えますが、ニュアンスは少し違います。
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英語:About 100 people came to the event.
日本語:イベントには約100人が来た。 -
英語:Approximately 100 people participated in the survey.
日本語:その調査にはおよそ100人が参加した。(フォーマル) -
英語:There were 100 people there, more or less.
日本語:そこには100人くらいいたかな。(話し手の体感まじり)
ビジネスメールやレポートで正確さが重視される場面では、more or less よりも about / approximately を選ぶ方が無難です。
アカデミックな書き方やフォーマルな表現については、大学のライティングガイド(例:東北大学公式サイト内の英語ライティング指針など)を参考にするとよいでしょう。
誤解しやすい点とQ&A
最後に、more or less で特に誤解しやすいポイントを Q&A 形式でまとめます。
Q1:全部「多かれ少なかれ」と訳しても大丈夫?
A:だめです。数量・時間・仕事の進み具合など、「目に見える量や状態」にかかるときは「だいたい/ほぼ/約」が自然です。「多かれ少なかれ」が合うのは、人の性質・一般論など「程度に幅がある話」のときが中心です。
Q2:これは熟語 more or less? それとも「more A or less B」?
A:まず形をチェックします。
たとえば、
Industries become more or less attractive over time. のように「more or less attractive」とあれば熟語ですが、
Industries become more attractive or less attractive over time. のように more と less のあとに同じ形容詞が来ているなら、「より魅力的になったり、そうでなくなったり」という単純な比較の対比として読むべきです。
Q3:ビジネスメールや論文で使ってもいい?
A:カジュアル〜セミフォーマルな場面なら問題ありませんが、数値を正確に扱う報告書・論文などでは、よりはっきりした about / approximately / nearly などを使う方が一般的です。
Q4:返事での “More or less.” はどれくらい肯定?
A:「Yes」より弱く、「まあ、だいたいそう」というレベルの肯定です。「完全にそうだとまでは言わないけれど、大筋では合っている」というニュアンスだと考えてください。

総括
最後に、この記事の内容を一気に復習できるよう、要点を一覧でまとめます。
- more or less のコアイメージは「基準より少し多い〜少し少ないまでをまとめて指す」ことで、メイン訳は「だいたい・おおよそ」
- 主な意味カテゴリは「だいたい・ほぼ」「約〜」「多少・ある程度」「多かれ少なかれ」「返答での『まあね』」に分けられる
- 数量・時間にかかるときは「約〜/〜くらい」、状態・性質にかかるときは「だいたい〜だ/ほぼ〜だ」と訳すのが基本
- 人の性質や一般論に使うときだけ「多かれ少なかれ」「多少なりとも」が自然になりやすい
- “More or less.” 単独の返答は「Yes」より弱い「あいまいな肯定」で、「まあね」「だいたいね」というニュアンス
- almost は「ゴール直前」というイメージが強く、more or less は「ざっくり見て大体そう」というイメージで区別するとよい
- about / around は会話的に「約〜」、approximately はフォーマルに「およそ〜」、more or less はその中間で「幅を含んだ曖昧さ」を少し強く感じさせる
- 「more or less the same」「be more or less finished」「nothing more or less than ~」など、頻出のかたまり表現はセットで覚えると読解が楽になる
- 熟語 more or less と「more … or less …」の比較構文は、more / less のあとに何が続くかで見分ける
- 機械的に「多かれ少なかれ」と訳さず、文脈を見て「だいたい」「約」「多少」「まあね」などに柔軟に言い換えることが、自然で正確な訳につながる
