シャドーイングで口が回らない原因と改善法

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シャドーイングを始めると、多くの人が「聞こえるのに口が回らない」「音声についていけない」と感じます。

これは英語力が足りないからではなく、やり方・条件・準備が合っていないことがほとんどです。

この記事では、シャドーイングで口が回らない原因を整理しながら、今日から試せる具体的な改善ステップをまとめます。

シャドーイングに向いていないのではなく、負荷のかけ方と順番を整えれば、必ず楽になっていきます。

  • シャドーイングで口が回らないのは普通なのかが分かる
  • 自分がつまずいている原因を具体的に特定できる
  • 音読・オーバーラッピングから始める正しい練習の順番が分かる
  • 挫折しないための負荷調整と「やめどき・続けどき」の判断基準が分かる

口が回らないのは普通か

最初の章では、「口が回らないのは自分だけなのか?」という不安を解消しつつ、どこまでが普通の範囲なのかを整理します。

そのうえで、「聞けるのに話せない」理由をリスニングとスピーキングの違いから説明します。

  • 「口が回らない」が多くの学習者に共通する現象であること
  • 聞き取りと発話が別のスキルである理由
  • どこまでの言いにくさは心配しなくてよいかの目安
  • 本当に見直すべきサインの例

多くの学習者に起こる現象

まず、シャドーイングで口が回らないのは、ごく普通のことです。

特に次のような人は、ほぼ全員が同じ壁にぶつかります。

  • 英語を「読む・聞く」が中心で、声に出す経験が少ない人
  • シャドーイングを始めてまだ数週間〜数か月の人
  • ニュースやドラマなど、速いネイティブ音声で練習している人

英語と日本語では、口の動かし方も、リズムも、使う筋肉も違います。

今までほとんど英語を声に出してこなかったなら、最初は舌がもつれて当たり前です。

ピアノを初めて触った人が、いきなり速い曲を弾けないのと同じで、筋肉やリズムの「慣れ」の問題が大きいです。

聞けるのに話せない理由

「音声は理解できているのに、口がついていかない」という相談はとても多いです。

これは、リスニングとスピーキングが別のスキルだからです。

リスニングは、耳で聞いた音を頭の中で処理する「受け身のスキル」です。

一方、スピーキングは、頭の中で文を組み立てて、口と舌の筋肉を動かし、瞬時に音を出す「能動的なスキル」です。

つまり、次の2つのギャップが存在します。

  • 意味は分かるが、日本語から英語に変換するスピードが追いつかない
  • 頭の中では英語が浮かぶが、口の筋肉がそのスピードで動かない

このギャップは、特に中級レベル(ある程度聞けるが話すのが難しい層)で強く出ます。

ですから「聞き取れているのにできない自分はおかしい」とは考えなくて大丈夫です。

むしろ、「リスニングは育ってきたので、これから発話側を鍛えていく段階に来た」と考えるのが自然です。

どこまでが普通の範囲か

とはいえ、「普通」と言われても不安は残ります。

次のような状態なら、まだ「普通の範囲」と考えて大丈夫です。

  • 速度を0.5〜0.75倍に落とせば、なんとか最後までついていける
  • 同じ素材を3日ほど続けると、初日よりは明らかに楽になる
  • 意味は8割ほど分かっているが、細かい音やつながりでよく詰まる

反対に、次のような場合は、やり方か条件を大きく見直した方がよいサインです。

  • 速度を落としても、ほとんどの文で止まってしまう
  • 1か月以上続けても、同じ素材がほとんど楽にならない
  • 意味もほとんど分からず、「音のかたまり」としてしか聞こえない

この場合でも、英語の才能がないのではなく、教材レベル・練習の順番・速度のどれか(または全部)が合っていないだけです。


シャドーイングで口が回らないのは、多くの学習者が通るごく自然な段階です。「できない=向いていない」と決めつけず、まずは条件と手順を調整することから始めましょう。

口が回らない主な原因

次に、「なぜ口が回らないのか」をもう一歩くわしく分けて考えていきます。

原因を知ると、自分に合った対策が見えやすくなります。

  • 速度・教材レベルが合っていないときに起きる問題
  • 意味理解や発音の準備不足がもたらす負荷の大きさ
  • 発話経験不足と英語特有の音声変化がつまずきになる理由
  • 自分の原因タイプを見分けるヒント

速度と教材レベルの問題

もっとも多いのが、「速さ」と「難しさ」が今の自分と合っていないパターンです。

主なポイントは次の2つです。

  • 音声のスピードが、自分の発話スピードよりかなり速い
  • 教材の内容レベルが高すぎて、意味処理に時間がかかる

たとえば、ニュース・海外ドラマ・専門分野の講演などは、ネイティブでも集中して聞くような内容です。

このレベルの音声を、準備なしのシャドーイング教材にすると、次のような悪循環が起きます。

  • 知らない単語が多く、意味を追うだけで精一杯になる
  • どこで文が切れるか分からず、息継ぎの位置もつかめない
  • 結果として、口が追いつかず「噛み続けるだけの練習」になる

目安として、教材は「内容の8割程度は分かるもの」を選びます。

また、1つの音声は40秒〜1分程度にして、1日30回前後くり返せば「なんとかこなせる」レベルの難易度が理想です。

速度に関しては、最初から1.0倍速にこだわる必要はありません。

多くの学習サービスでも、0.5〜0.75倍速から始めて、慣れたら1.0倍速に近づける方法をすすめています(たとえば、レアジョブ英会話の学習コラムなどでも、速度調整の重要性が解説されています。参考:レアジョブ英会話 公式コラム)。

意味理解と準備不足

2つ目の大きな原因は、「準備なしでいきなりシャドーイングから始めている」ことです。

シャドーイングはもともと、通訳養成でも使われる高度なトレーニングです。

本来は次のような準備ステップを踏んでから行うものです。

  • スクリプトを読み、知らない単語や文の意味を確認する
  • 発音が分からない単語を音声でチェックしておく
  • どこで文を区切るか(チャンク)を事前に把握する

この下準備をしないと、練習中に次のようなことが起こります。

  • 聞きながら「今の単語なんだっけ?」と意味調べモードに入る
  • 読み方が分からない単語で止まり、その先に進めない
  • 文の切れ目が分からず、一息で読み切ろうとして苦しくなる

つまり、練習中に同時にやることが多すぎて、処理がパンクしている状態です。

特に初心者〜中級者は、「文章を読む → オーバーラッピング → そのあとにシャドーイング」という順番を守ることで、口がかなり回りやすくなります。

発話経験と音声変化の壁

もう1つ見落とされがちな原因が、「英語を声に出す経験が少ないこと」と「英語特有の音の変化」に慣れていないことです。

日本語と違い、英語には次のような音の特徴があります。

  • 単語同士がつながる(例:when I → ウェナイ)
  • 音が落ちる(例:stop it → ストッピッ)
  • Tが「ラ行」に近い音になる(例:water → ウォーラー)
  • 前置詞や冠詞などが弱く短く発音される(弱形)

これらを意識せず、日本語のように一語一語はっきりカタカナ発音で言おうとすると、発音する音の数が増えすぎてしまいます。

その結果、本来1秒で言うフレーズを、2〜3秒かけて発音することになり、音声からどんどん遅れていきます。

また、英語を日常的に話していない人は、口周りの筋肉が英語モードになっていません。

R・L・THなど、日本語にない音を繰り返し出そうとすると、それだけでかなりの負荷がかかります。

この2つの理由から、最初の数週間〜1か月は、口が思うように動かないのが普通だと考えてください。


「速さ・難しさ・準備・発話経験・音声変化」のどれか1つでも合っていないと、口は簡単には回りません。原因を切り分けて、1つずつ条件を整えることが上達への近道です。

改善のステップと練習法

ここからは、「口が回らない」をどう改善していくか、具体的な手順と練習法を紹介します。

ポイントは、いきなり完璧なシャドーイングを目指さず、「素材選び → 音読 → オーバーラッピング → シャドーイング」と段階を踏むことです。

  • 自分に合った素材の選び方と速度設定の目安
  • 音読・オーバーラッピングで口と耳を慣らす方法
  • 段階的に負荷を上げるシャドーイング手順
  • 発音・リズムを意識しながら練習するコツ

素材選びと条件設定

まずは、シャドーイングに使う素材と条件を整えます。

ここが合っていないと、どんなに頑張っても「できない練習」を続けることになってしまいます。

おすすめの条件は次のとおりです。

  • 理解度:内容の8割は分かる(知らない単語が少しある程度)
  • 長さ:40秒〜1分前後の短い音声
  • ジャンル:自分の目的に近いもの(TOEIC対策ならTOEIC形式、日常会話なら会話ストーリー)
  • 速度:0.5〜0.75倍速からスタートして、最終的に1.0倍速を目指す

1日でたくさんの教材をこなすより、1つの素材を数日かけてやり込み、完璧に近づける方が効果的です。

また、公的機関が出している英語学習サイトや、大学などの教材も、レベル別に音声が用意されていて使いやすいです。

たとえば、放送大学や大学の英語教育センターなどの教材ページには、学習者向けの音声が公開されていることがあります(例:東京大学 英語学習支援ページ)。こうしたサイトは教材の質も信頼できます。

音読とオーバーラッピング

素材を決めたら、いきなりシャドーイングをせず、まずは「音読」と「オーバーラッピング」で土台を作ります。

おすすめの流れは次のとおりです。

  • ① スクリプトを黙読し、意味と文の流れを理解する
  • ② 音声を聞きながら目でスクリプトを追う(リッスン&リード)
  • ③ スクリプトだけを見て、音声なしで音読する
  • ④ 音声と同時にスクリプトを読み上げる(オーバーラッピング)

特にオーバーラッピングは、シャドーイングの一歩手前としてとても有効です。

スクリプトを見ながらなので、次の単語を予測しやすく、「何を言えばいいか分からない」という不安を減らせます。

この段階では、次の3点を意識してください。

  • お手本と同じリズム・強弱で読む
  • 音声をよく聞き、聞こえたとおりの音をまねる(カタカナに直さない)
  • 苦手なフレーズは、そこだけ切り出してゆっくり練習する

TOEIC600点前後までの人や、英語を声に出すのがほぼ初めての人は、最初は「オーバーラッピングだけ」を徹底してもかまいません。

この段階だけでも、リズム・発音・口の筋肉がかなり鍛えられます。

段階的シャドーイング手順

音読とオーバーラッピングに慣れてきたら、いよいよシャドーイングに進みます。

ここでも、一気に「完璧」を目指さず、段階を分けて負荷を上げるのがポイントです。

おすすめの段階は次の3ステップです。

ステップ 内容 ポイント
① スクリプト付きシャドーイング スクリプトを見ながら、音声より少し遅れて声を出す 文字を見つつ「耳の情報」を優先して真似る
② 部分シャドーイング 1文〜短いフレーズごとに区切ってシャドーイング つまずく部分を重点的にくり返す
③ 通しシャドーイング スクリプトなしで、全体を通してシャドーイング 最初は意味より「音の再現」を優先

特にステップ①の「スクリプト付きシャドーイング」は、完全な耳だけのシャドーイングがきつい人におすすめです。

ただし、文字だけを追うとリスニングの練習にならないので、「目は補助・耳が主役」という意識を持ちましょう。

通しシャドーイングに進んだ段階では、次の2つのモードを使い分けると効果的です。

  • 音重視モード:意味は二の次にして、とにかく音とリズムの再現に集中
  • 意味重視モード:音は多少抜けてもよいので、内容を追いながらシャドーイング

最初は音重視で口慣らしをして、慣れてきたら意味も同時に追う、という順番にすると、負荷のバランスが取りやすくなります。


「素材選び → 音読 → オーバーラッピング → スクリプト付き → 部分 → 通し」と少しずつ段階を上げれば、口の動きもリズムも自然に追いついてきます。一気に最終形を目指さないことがコツです。

挫折しない工夫とQ&A

最後の章では、「きつすぎて続かない」「本当にこれで合っているのか不安」という声に答えていきます。

代替トレーニングや、どのくらい続ければよいかの目安、「やめる・緩める」の判断基準も整理します。

  • 「今日は無理」と感じる日の代わりのメニュー
  • 効果を感じ始めるまでの期間と反復回数の目安
  • スクリプトを見る・見ない、声を出す・出さないのガイドライン
  • シャドーイングに固執しすぎないための考え方

きつい時の代替トレーニング

体調が悪い日や、仕事で疲れ切っている日は、フルのシャドーイングはつらいものです。

そんな日は、負荷を下げた「代替メニュー」に切り替えても大丈夫です。

役割ごとに整理すると、次のようになります。

  • リスニングだけ:スクリプトを見ながら、または見ずに「意味が分かるまで」何度も聞く
  • 音読:音声なしでスクリプトを声に出して読む(発音記号を確認しながら)
  • オーバーラッピング:スクリプトを見ながら、お手本と同時に発音する
  • スクリプト付きシャドーイング:スクリプトを見ながら、少し遅れて発音する

「今日はどうしても口が回らない」と感じたら、思い切ってシャドーイングをやめて、音読やオーバーラッピングだけにするのも立派な選択です。

大事なのは、完全に英語から離れず、何かしら「英語を聞く・声に出す」行動を続けることです。

続ける期間と効果の目安

「どのくらい続ければ口が回るようになるのか?」という疑問も多いです。

個人差はありますが、次のようなイメージを持っておくと、期待値のコントロールがしやすくなります。

  • 1素材あたり:最低3〜4日は同じ音声を使う
  • 1日の反復回数:20〜30回を目安に、集中できる範囲でくり返す
  • 変化を感じ始める期間:少なくとも1か月単位で考える

初日はほとんど言えなくても問題ありません。

2日目・3日目と続けるうちに、「昨日よりは楽」「このフレーズはスムーズに出る」という感覚が少しずつ増えていきます。

また、同じ素材で、ディクテーション(聞こえた英文を書き取る)や録音しての自己チェック(self-assessment)を組み合わせると、「どこが聞こえていないか」「どこで詰まっているか」が見えやすくなります。

研究ベースでも、録音+自己評価を取り入れることで、発音とスピーキング全体の向上につながることが報告されています(self-assessment は大学の英語教育でもよく使われている手法です)。

よくある疑問と判断基準

最後に、シャドーイングでよくある疑問と、それに対する実践的なガイドラインをまとめます。

  • Q. スクリプトを見ながらやってもいい?
    → はい。むしろ初心者〜中級者は、準備段階やスクリプト付きシャドーイングをしっかり行った方が上達が速いです。ただし、「目より耳を優先」する意識を持ってください。
  • Q. 声を出さずに、聞くだけでも効果はある?
    → リスニングの面では効果があります。口がどうしても回らない日は、「聞いて意味を取る練習」だけに切り替えても構いません。ただ、発話の筋肉は声を出さないと鍛えられないので、余裕のある日は必ず声を出す日も作りましょう。
  • Q. 間違った発音のまま覚えてしまわないか心配…
    → 不安な場合は、自分のシャドーイングをスマホで録音し、お手本と聞き比べてください。違和感のあるところをスクリプトに赤で印をつけ、そこだけゆっくり練習するのがおすすめです。
  • Q. シャドーイングがつらすぎる。やめてもいい?
    → 「毎回ストレスが大きく、1か月続けてもまったく楽にならない」なら、一度シャドーイングを休んで、オーバーラッピング中心に切り替えるのも選択肢です。シャドーイングだけが正解ではありません。

大切なのは、シャドーイングを「万能の魔法」と思わないことです。

リスニングとスピーキングには確かに効果的ですが、レベルや目的に合わない形で使うと、逆に自信を失ってしまうこともあります。

自分のペースで負荷を調整しながら、「続けられるやり方」を探していきましょう。


シャドーイングは「頑張り続ける訓練」ではなく、「負荷を調整しながら続ける訓練」です。きつい日はメニューを軽くしつつ、1か月スパンで少しずつの変化を見ていきましょう。

総括

最後に、この記事の要点をまとめます。

  • シャドーイングで口が回らないのは、多くの学習者に共通する自然な現象であり、能力不足や「向いていない」からではない。
  • 主な原因は、音声の速度・教材レベルのミスマッチ、意味理解や発音確認などの準備不足、発話経験の少なさ、英語特有の音声変化への未慣れに分けられる。
  • 教材は「内容理解8割・40秒〜1分程度・1日30回でなんとかこなせる難易度」を目安に選び、速度は0.5〜0.75倍から始めて最終的に1.0倍を目指す。
  • 練習の基本ステップは「スクリプトで意味と発音を確認 → 音読 → オーバーラッピング → スクリプト付きシャドーイング → 部分 → 通し」の順で、段階的に負荷を上げていく。
  • スクリプトを見ながらのシャドーイングや、リスニングのみの日、音読だけの日があってもよく、「耳を主役にしながら英語に触れ続けること」が最重要である。
  • 発音・リズム面では、音声変化(連結・消失・弱形など)を聞こえたまま再現し、強弱と息継ぎの位置(チャンク)を意識して、英語らしいリズムを身につける。
  • 同じ素材を最低3〜4日、1か月単位でくり返す前提で考えると、口の動きやリスニングの負荷が徐々に下がり、変化を実感しやすい。
  • シャドーイングがつらすぎるときは、オーバーラッピング・音読・ディクテーション・録音+自己評価などと組み合わせて、無理なく続けられる学習サイクルを作る。
  • 「できない=才能がない」と決めつけるのではなく、負荷の調整や方法変更はいつでもしてよいと自分に許可しつつ、「やり方を変えれば必ず楽になる」と考えて取り組むことが大切である。
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