「シャドーイングを始めてみたけれど、自分の声で元の音声が聞こえない」「通勤中にイヤホンでやっているけれど、これでいいのか不安」。そんなモヤモヤを、この記事でまとめて解消します。
シャドーイングは、リスニングと発音を同時に鍛えられる、とても効率のよい学習法です。ですが、その効果を十分に引き出すには、「自分の声よりお手本音声をはっきり聞ける環境」が必要です。その鍵を握るのが、イヤホンやヘッドホンの選び方と使い方です。
この記事では、「イヤホンは本当に必須なのか?」というところから、タイプ別の選び方、音量や速度の設定、通勤・家事・散歩などシーン別のコツ、安全な使い方まで、実践的なポイントを一つずつ解説します。
読み終えたころには、自分に合うイヤホンのイメージがはっきりし、今日からのシャドーイングの質を一段アップできるはずです。
- イヤホン・ヘッドホンがシャドーイングに推奨される理由が分かる
- イヤホンとヘッドホン、片耳・両耳、ノイキャンの使い分けが分かる
- 音量・速度・録音など、効率が上がる具体的な設定方法が分かる
- 通勤・家事・散歩などシーン別のおすすめスタイルと安全な使い方が分かる
シャドーイングとイヤホンの結論
まずは、「シャドーイングにイヤホンは本当に必要なのか?」という出発点をはっきりさせます。そのうえで、イヤホンを使うメリット・デメリット、スピーカー学習との違いを整理します。ここが分かると、自分はどのスタイルでいくべきか判断しやすくなります。
イヤホンは必須かどうか
結論から言うと、本気でシャドーイングの効果を出したいなら、イヤホンかヘッドホンは「ほぼ必須」です。理由はシンプルで、シャドーイングでは「自分の声<お手本音声」の状態を作ることがとても大切だからです。
スピーカーだけだと、自分の声が耳に直接届きます。すると、次のような問題が起こりやすくなります。
リスニング力を伸ばすには、「お手本の英語の音をどれだけ正確に聞けるか」が決定的です。通訳訓練でも、シャドーイングをするときはイヤホンやヘッドホンを使うのが一般的です。これは、環境を整えないと、せっかくのトレーニングの効果が半減してしまうからです。
とはいえ、絶対にスピーカーを使ってはいけない、というわけではありません。イヤホンがどうしても苦手な人や、耳に違和感がある人は、外付けスピーカーを使って音量をしっかり上げることで、ある程度は代用できます。「可能ならイヤホン/ヘッドホン」「苦手ならスピーカー+音量調整」が現実的なラインと考えてください。
使うメリットとデメリット
イヤホン/ヘッドホンを使うと、シャドーイングの効率はかなり上がります。その一方で、デメリットもゼロではありません。両方を知ったうえで、自分のスタイルを決めましょう。
まずメリットです。
この「音源を優先して聞ける」状態は、リスニング力を伸ばすうえでとても重要です。耳が英語の音に慣れ、弱い音やつながる音も拾えるようになっていきます。
一方、デメリットとしては次のような点があります。
つまり、イヤホンは「使い方しだい」です。音量を適切にし、休憩をはさみ、安全に配慮すれば、メリットがデメリットを大きく上回ります。逆に、音量を上げすぎて何時間もつけっぱなしにすれば、どんな良いイヤホンでも耳を傷めてしまいます。
自分の体調を見ながら、1回15〜30分を目安に区切って使うと、安全面でも集中力の面でもバランスが良くなります。
スピーカー学習との違い
スピーカーとイヤホンでは、シャドーイングの感覚がかなり変わります。違いを知っておくと、「今日はあえてスピーカーでやる」「ここはイヤホン一択」といった使い分けがしやすくなります。
スピーカー学習の特徴は、次のようなものです。
一方、イヤホン学習は次のようなイメージです。
「自分の発声をしっかり聞きたい」という意図ならスピーカーが合う場面もありますが、リスニング強化をメインにするなら、やはりイヤホン/ヘッドホンが有利です。どうしてもイヤホンが合わない場合は、外付けスピーカーで音量をしっかり上げ、「自分の声より少し大きい音源」を目指すと良いでしょう。

イヤホン選びのポイント
ここからは、具体的にどんなイヤホン・ヘッドホンを選べばよいかを見ていきます。形状(イヤホンかヘッドホンか)、片耳か両耳か、ノイズキャンセリングの有無、有線かワイヤレスかなど、選択肢が多くて悩みやすい部分です。
それぞれの違いと向き・不向きを知れば、「自分の学習スタイルにはこれ」という答えが出しやすくなります。
イヤホンかヘッドホンか
まず、もっとも大きな分かれ道が「カナル型などのイヤホン」と「耳を覆うヘッドホン」です。どちらが絶対に正解、というものではありません。「どこで」「どのくらいの時間」シャドーイングするかで選ぶのがおすすめです。
ざっくりとした向き・不向きを表にまとめると、次のようになります。
| 項目 | イヤホン向き | ヘッドホン向き |
|---|---|---|
| 主な利用シーン | 通勤・通学・散歩・家事 | 自宅・職場の自席など |
| 携帯性 | とても高い・ポケットに入る | かさばる・持ち運びはやや不便 |
| 遮音性・没入感 | カナル型ならそこそこ高い | 耳を覆うので高いことが多い |
| 長時間装着の快適さ | 軽いが、耳の中が疲れる人も | 耳周りは楽だが、締め付けが気になる人も |
電車・バス・歩きながら・家事をしながらなど、「ながらシャドーイング」が多い人は、ワイヤレスのイヤホンがとても便利です。コードがないだけでストレスがかなり減ります。
一方、机に向かって集中してシャドーイングする時間を作りたい人や、周囲が少しうるさい自宅で学ぶ人には、耳を覆うヘッドホンが向きます。密閉型であれば、外の音や自分の声をかなり遮断でき、音源に集中しやすくなります。
どちらか一つに決める必要はありません。自宅ではヘッドホン、外ではイヤホン、と使い分けても良いですし、予算が限られているなら「通勤で一番使うからイヤホン優先」のように、使用時間が長いシーンから考えると失敗しにくくなります。
片耳両耳とノイキャン
次のポイントは、「片耳だけ使うか、両耳をふさぐか」と「ノイズキャンセリング(ANC)機能を使うかどうか」です。ここは、学習のしやすさだけでなく、安全面にも関わる部分です。
シャドーイングで多くの人が悩むのが、「自分の声で元音声が聞こえない」問題です。この対策としておすすめなのが、片耳イヤホン+適度な音量です。片耳だけにイヤホンを入れると、イヤホン側の耳からはお手本音声を、もう片方の耳からは自分の声や周囲の音を聞けます。
この状態だと、次のようなバランスがとりやすくなります。
逆に、「自分の声が少しでも聞こえると気が散る」という人は、両耳をふさぎ、ある程度自分の声をあきらめて「音源を完コピすること」だけに集中するのも一つの方法です。この場合は、ノイズキャンセリング機能があると、電車やカフェなどでもかなり快適になります。
ただし、ノイズキャンセリングを屋外で使うときは注意が必要です。歩行中や自転車・車の運転中に周囲の音が聞こえにくいと、事故につながるおそれがあります。国立保健医療科学院などもヘッドホン使用時のリスクに注意を呼びかけています。
※歩きながらや自転車に乗りながらのシャドーイングでは、ノイズキャンセリングを切るか、片耳だけ使うなど、必ず周囲の音が聞こえる状態を保ってください。
有線かワイヤレスか
最後のポイントが、「有線(3.5mm・USB)かBluetoothワイヤレスか」です。シャドーイングでは「少しの音声遅延」「取り回しのしやすさ」「録音のしやすさ」が関わってきます。
それぞれの特徴を簡単に整理します。
最近のワイヤレスイヤホンは、動画視聴や英語音声程度なら、遅延はほとんど気にならないものが多くなっています。ですので、シャドーイング用途でも、日常的には問題なく使えます。
一方で、PCに接続して自分のシャドーイングを録音したり、オンライン英会話もかねたりするなら、USB接続の有線ヘッドセットや、3.5mmジャックのマイク付きヘッドセットが便利です。手元で音量を調整できるものを選ぶと、「自分の声<音源」のバランスもとりやすくなります。
スマホ中心で、移動中のながら学習がメインなら、第一候補はBluetoothイヤホンです。充電だけは切らさないように、習慣として帰宅後にケースに戻すなど工夫しましょう。PC中心で、録音も視野に入れるなら、「USBヘッドセット+予備で安いイヤホン」といった組み合わせも現実的です。

効率が上がる使い方と設定
イヤホンやヘッドホンを用意しただけでは、シャドーイングの効率はまだ最大化されていません。ここからは、よくある悩みである「自分の声で元音声が聞こえない」「スピードが速すぎる」などに対して、音量・速度・録音などの設定面から、具体的な対処法を紹介します。
声で元音声が消える対策
多くの学習者がつまずくのが、「シャドーイング中に自分の声が大きくて、元の音声がほとんど聞こえない」という悩みです。これを放置すると、リスニング向上の効果がほとんど出ません。
対策は、大きく4つの方向から考えられます。
まずは、イヤホンの音量を自分の声より少しだけ大きくします。「自分の声が聞こえるけれど、耳の中心にはお手本がある」というくらいが目安です。ここで重要なのは、音量を一気に上げすぎないことです。安全な音量は、「周りの人と会話できるくらいの大きさ」とされています。
それでも自分の声が邪魔なら、一度「ささやき声シャドーイング」を試してみてください。声をかなり小さくしても、口の動きやリズムはしっかり練習できます。それでも難しいときは、しばらく口パクで「耳優先」の練習をするのもありです。音源の音を追いかける感覚さえつかめれば、慣れてきた段階で声を出すシャドーイングに戻せば大丈夫です。
速度調整と音量バランス
「元音声が速すぎてついていけない」「ついていこうとして声が大きくなり、結果として音源が聞こえない」という悩みも非常に多いです。この場合は、速度調整と音量バランスの両方を見直す必要があります。
まず、速度についてです。再生アプリやプレイヤーで、0.8倍速〜0.9倍速くらいに落としてみてください。これだけで、シャドーイングの難しさがかなり変わります。教材選びの目安として、「スクリプトを読めば9割分かる」「30回くらい練習すれば、原速についていける」くらいがちょうどよいレベルです。
速度を調整したうえで、音量のバランスをとります。基本は次のような順番です。
このとき、「音源を聞こうとして体が前のめりになっていないか」「声がどんどん大きくなっていないか」を、ときどきチェックする習慣をつけると良いです。「ちょっと疲れてきたな」と感じたら、速度も音量も少し下げて、短い範囲だけ集中して行うように切り替えると、耳と喉の負担を減らせます。
録音やオンライン学習
シャドーイングの効果をさらに高めたいなら、自分の声を録音して、お手本と聞き比べるのがおすすめです。これは、通訳トレーニングでもよく使われる方法で、発音やリズムのズレに気付きやすくなります。
録音まで見据えるときに便利なのが、マイク付きイヤホンやUSBヘッドセットです。PCに接続し、ボイスレコーダーアプリ(Windowsなら「ボイスレコーダー」、Macなら「ボイスメモ」など)で簡単に録音できます。スマホでも、無料の録音アプリで同じように練習できます。
録音を使った基本的なシャドーイングの流れは、次のようになります。
オンライン英会話や、シャドーイング専門の添削サービスを使う場合も、マイク付きヘッドセットがあると便利です。講師に自分の発音を聞いてもらい、具体的なフィードバックを受けることで、自己流のクセに気付きやすくなります。
なお、録音やヘッドホン使用時の難聴リスクなどについては、厚生労働省のe-ヘルスネットでも注意喚起されています。録音のために音量を上げすぎないよう、あくまで「聞き取りやすさと安全さのバランス」を意識しましょう。

シーン別おすすめと注意点
最後に、「自宅」「通勤・通学」「家事・散歩」など、具体的なシーンごとに、どんなイヤホン構成が向いているかを整理します。同時に、耳の健康や安全面で気をつけるべきポイントも確認しておきましょう。
自宅集中と通勤通学
まずは、自宅での集中学習と、通勤・通学中のシャドーイングについてです。この二つは、環境も目的も少し違うので、イヤホンの条件も変わってきます。
自宅でじっくり集中したいときに向いているのは、次のような構成です。
自宅では安全面の心配が少ないので、ノイズキャンセリングをしっかり使ってかまいません。その分、小さめの音量でも細かい音が聞きやすくなります。机に向かって、オーバーラッピング→シャドーイング→録音といった「フルコース」をこなすには最適です。
一方、通勤・通学中におすすめなのは、軽くてワイヤレスの片耳対応イヤホンです。満員電車では両耳をふさいでもかまいませんが、ホームや駅構内、バス停付近などでは、安全のために片耳だけにしておく方が安心です。
電車内で声を出せない場合は、サイレントシャドーイング(口パク)や、ごく小さなささやき声で練習します。「聞こえた音を即座に口の動きでなぞる」だけでも、リスニング力には十分効果があります。自宅で声ありのシャドーイング、通勤ではサイレント、と役割分担するのも良い方法です。
家事や散歩のながら学習
家事や散歩、車通勤など、「ながらシャドーイング」ができる時間は、社会人にとって貴重な学習チャンスです。この時間をうまく活かすには、ワイヤレス・片耳・軽さがカギになります。
家事中(料理・掃除・洗濯など)は、両手がふさがります。ここでは、完全ワイヤレスイヤホンがとても便利です。落としてしまう不安がある場合は、左右がケーブルでつながったネックバンド型も、首から落ちにくく安心です。
散歩中は、必ず片耳利用か、外音取り込みモードを使ってください。車や自転車の接近音が聞こえないと、大きな事故につながるおそれがあります。スピードやレベルも、難しすぎる教材は避け、「9割以上意味がわかる」「知っている単語ばかり」という簡単なものを選びましょう。ながら学習では、集中力が100%ではない前提で、「負荷を下げて量を確保する」ことがポイントです。
車通勤でのシャドーイングは、イヤホンではなく車のスピーカーを使うのが安全です。音量は、クラクションやサイレンがはっきり聞こえる程度にとどめます。録音や聞き取りにくさよりも、安全を最優先しましょう。
安全な音量と使用時間
最後に、イヤホンを安全に使うための音量と使用時間の目安を押さえておきましょう。英語学習は長期戦です。耳を傷めてしまっては元も子もありません。
世界保健機関(WHO)などのガイドラインでは、「最大音量の60%程度で、1日合計60分以内」が安全な目安とよく言われます。もちろん、イヤホンや環境によって変わりますが、『周りの人と普通の声で会話できる程度の音量』を一つの基準にしてください。
また、連続使用時間も大切です。シャドーイングは集中力を使うので、1回15〜30分を目安に区切り、5分ほど耳を休めると、耳鳴りや頭痛の防止にもなります。長時間つけっぱなしにしないことが、耳にも集中力にも良い影響を与えます。
※イヤホン使用中に「耳が痛い」「音がこもる」「耳鳴りがする」と感じたら、すぐに中断して休みましょう。症状が続く場合は、我慢せず耳鼻科で相談してください。
屋外でノイズキャンセリングを使うときは、歩行中や運転中は避ける、片耳だけにする、など安全確保を最優先に考えてください。英語力は、健康と安全があってこそ伸ばせるものです。

総括
ここまで、シャドーイングとイヤホンの関係、選び方、使い方、安全面まで一通り見てきました。最後に、記事の要点を短くまとめます。迷ったときのチェックリストとして使ってください。
イヤホン選びに完璧な正解はありませんが、「自分の生活の中で一番シャドーイングしやすい形」を決めてしまうと、学習が一気に習慣化しやすくなります。この記事を参考に、あなたにとって続けやすいイヤホン環境を整え、シャドーイングの効果を最大限に引き出していきましょう。

