「おめでとう」を英語で言いたいとき、「Congratulations」と言うのは知っていても、congrats / grats / GG / kudos などの違いは分かりにくいですよね。
この記事では、フォーマルからネットスラングまでを一気に整理し、「どの場面で、どの表現を選べば失礼にならないか」を具体的なフレーズ付きで解説します。
まずは結論として、成果や達成には Congratulations、誕生日など日付イベントには Happy ~、これからの幸せを願うときには Best wishes を使うのが基本です。
そのうえで、省略形の congrats、さらに砕けた grats / gratz、ゲーム用の GG などを安全に使い分けていきましょう。
- 「おめでとう」の基本形と略語・スラングの違いが分かる
- 合格・昇進・誕生日・結婚・ゲームなど場面別のフレーズが身につく
- フォーマル/カジュアル/ネットスラングの安全な線引きが理解できる
- そのまま使える「Congratulations on ~」「Happy ~」などのテンプレが手に入る
英語の「おめでとう」結論整理
この章では、「おめでとう」の英語表現の土台をまとめます。まずは基本の congratulations、その文法上のポイント、そして congrats など似た形の使い分けを整理しておくと、後のスラング説明も理解しやすくなります。
基本のcongratulations
まず覚えるべき基本表現は、Congratulations. です。これだけで「おめでとう」という意味になります。
ポイントは次の2つです。
この「s」は「強意複数」と呼ばれ、気持ちを強める役割があります。
thanks(ありがとう), best wishes(ご多幸を)と同じタイプで、形は複数でも意味は単数の感情です。
Congratulations がよく使われるのは、次のような場面です。
・試験合格・入学・卒業
・就職・転職・昇進
・結婚・出産・開業・受賞 など
ただ「Congratulations!」と言うだけでも十分ですが、何に対しておめでとうと言っているかをはっきりさせると、より自然で気持ちのこもった英語になります。
代表的な型は「Congratulations on ~」です。例文で確認しましょう。
-
英語:Congratulations on your promotion!
日本語:昇進おめでとう! -
英語:Congratulations on passing the exam.
日本語:試験合格おめでとう。 -
英語:Congratulations on your new baby.
日本語:ご出産おめでとう。
ビジネスメールでも日常会話でも安全に使えるので、「迷ったら Congratulations on ~」と覚えておくと安心です。
congratulationが誤りな理由
日本語では「コングラチュレーション」と言うことがありますが、英語ではこれはほぼ使いません。
日常会話の「おめでとう」は、必ず congratulations と複数形にします。
理由は、congratulation(単数形)は「祝いの言葉」という名詞で、通常は長い文章の中でしか出てこないからです。たとえば、
-
英語:Please accept my congratulations on your success.
日本語:ご成功に対する私からのお祝いの言葉をお受け取りください。
この中では my congratulations がまとまって「私のお祝いの言葉」という意味になっています。単体で Congratulation! と言うのは不自然です。
※「誕生日おめでとう」を Congratulations! とするのも、日本人がよくする誤用です。誕生日など日付イベントは Happy ~ を使います。
スピーキングでもライティングでも、「おめでとう」と言いたいときは、スペルの語尾に s を忘れないようにしましょう。
Congratulations系の使い分け
Congratulations を短くしたり崩したりした形が、congrats / grats / gratz です。意味はどれも「おめでとう」ですが、丁寧さと使える場面がかなり違います。
イメージしやすいように、代表的な表現を表で整理します。
| 表現 | フォーマル度 | 主な場面 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|
| Congratulations | 高い(丁寧) | ビジネス・目上・公式なお祝い全般 | 誰にでも使える基本形 |
| Congrats | 中(カジュアル) | 友人・同僚・SNSなど | 親しい相手におすすめ |
| Grats / Gratz | 低い(スラング) | ゲーム・チャット・仲間内 | オンライン限定で使用 |
特に大切なのは、ビジネスや目上には必ず congratulations を使うことです。
congrats は「おめでとー」、grats / gratz は「おめ!」くらいのくだけた感じだと考えると分かりやすいでしょう。
詳しいニュアンスは、後半の「スラング表現と注意点」で改めて説明します。

フォーマルとカジュアル表現
ここでは、congratulations と congrats の違い、ビジネスでも安心なフレーズ、逆に避けたほうがよい略語・スラングについて整理します。社会人や就活生は、この章を押さえておけばメールでも安心して「おめでとう」を書けます。
congratulationsとcongrats
congrats は、congratulations を短くした口語表現です。意味はまったく同じですが、丁寧さと場面が違います。
・Congratulations:標準〜フォーマル。ビジネス・式典・目上にもOK。
・Congrats:カジュアル。親しい友人・同僚・SNS向け。
たとえば同じ「昇進おめでとう」でも、次のように使い分けます。
-
英語:Congratulations on your promotion!
日本語:ご昇進おめでとうございます。(ビジネスでもOK) -
英語:Congrats on your promotion! That’s awesome!
日本語:昇進おめでと!すごいじゃん!(友達・同僚向け)
チャットやSNSで「おめでとう」をくだけて言いたいときは congrats を使うと自然です。ただし、メールの件名や、上司・取引先相手の文面では、きちんと congratulations を使いましょう。
なお、congratz というつづりもネット上では見かけますが、スペルとしては congrats がより一般的です。
ビジネスで安全な表現
ビジネスやフォーマルな場面では、以下のようなフレーズが安全です。
特にメールやカードでは、文章らしい形に整えると丁寧な印象になります。
代表的な例をいくつか挙げます。
-
英語:Congratulations on your new position.
日本語:新しいご役職就任、おめでとうございます。 -
英語:Congratulations on your 10th anniversary of the foundation.
日本語:創立10周年、誠におめでとうございます。 -
英語:Please accept my sincere congratulations on your achievement.
日本語:このたびのご功績、心よりお祝い申し上げます。
より形式ばった文にしたい場合は、動詞 congratulate を使って、
I’d like to congratulate you on your promotion.
(ご昇進をお祝い申し上げます。)
のように書くと、スピーチ原稿や公式文書でも通用する丁寧さになります。
ビジネスで使える定型文は、オンライン英会話各社の学習ページなどでも紹介されています。たとえば 英語で「おめでとう」を伝える表現をまとめた Kimini英会話の解説 では、congrats / grats との違いも含めて詳しく整理されています。
避けたい略語とスラング
ビジネスや目上の人に対しては、次のような略語・スラングは避けたほうが無難です。
これらはどれも「おめでとう」「よくやった」の意味を持ちますが、友達どうし・オンライン・若者文化の中で使われることが多い言い方です。
特に日本人学習者は、「ネイティブっぽいから」と思ってメールに入れてしまいがちなので注意が必要です。
逆に、フォーマルでも安心して使えるのは次のような表現です。
・Congratulations on ~.
・I’d like to congratulate you on ~.
・Best wishes on / for ~.
・My sincere congratulations on ~.
迷ったときは、「略していない単語」だけを使うと覚えておくと失敗しにくくなります。

シーン別「おめでとう」英語
ここからは、具体的な場面ごとにどの表現を選ぶかを見ていきます。合格・昇進・結婚・出産・誕生日・記念日など、よくあるシーン別に「使える型」を覚えておくと、メッセージ作りが一気に楽になります。
合格昇進結婚出産の祝福
「努力が実った結果」や「人生の大きな節目」を祝うときは、基本的に congratulations 系を使います。型はシンプルで、Congratulations on + 名詞 / 動名詞 を覚えれば、ほとんどの場面に対応できます。
代表的なフレーズをまとめて紹介します。
-
英語:Congratulations on your graduation.
日本語:卒業おめでとう。 -
英語:Congratulations on passing the exam.
日本語:試験合格おめでとう。 -
英語:Congratulations on your new job.
日本語:就職(転職)おめでとう。 -
英語:Congratulations on your promotion.
日本語:昇進おめでとう。 -
英語:Congratulations on your engagement.
日本語:ご婚約おめでとう。 -
英語:Congratulations on your wedding.
日本語:ご結婚おめでとう。 -
英語:Congratulations on your new baby boy.
日本語:男の子のご出産おめでとう。 -
英語:Congratulations on your new business.
日本語:ご開業おめでとうございます。
動名詞(~ing)を使うパターンもよく使われます。
・Congratulations on getting married.(結婚おめでとう)
・Congratulations on having a baby.(出産おめでとう)
・Congratulations on winning the championship.(優勝おめでとう)
どの表現も、ビジネスにもプライベートにも使える定番フレーズです。相手との関係に応じて、文の前後に一言添えると、より温かいメッセージになります。
誕生日や記念日イベント
誕生日・新年・結婚記念日・クリスマスなど、「日付が決まっているイベント」は、基本的に Happy ~ を使います。congratulations は使わないか、使ってもかなり限定的です。
代表的なフレーズを見てみましょう。
-
英語:Happy birthday!
日本語:誕生日おめでとう! -
英語:Happy belated birthday!
日本語:遅ればせながら、誕生日おめでとう。 -
英語:Happy 10th wedding anniversary!
日本語:結婚10周年おめでとう! -
英語:Happy New Year!
日本語:あけましておめでとう! -
英語:Happy holidays!
日本語:よいホリデーを!(クリスマス〜年末のあいさつ) -
英語:Happy Valentine’s Day!
日本語:バレンタインおめでとう(ハッピーバレンタイン)。
日本語だと「誕生日おめでとう」と言うので、Congratulations on your birthday. と言いたくなりますが、ネイティブはふつう言いません。
誕生日は Happy birthday! が基本です。
※卒業に Happy graduation! を使うのも基本的には不自然です。卒業は毎年同じ日に必ず来るイベントではなく、「努力して成しとげた節目」だからです。
Best wishesの使い方
Best wishes は、「おめでとう」と同時に「これからの幸せを祈る」ニュアンスを持った表現です。カードやメールの締めくくりにもよく使われます。
・Best wishes!(お幸せに!)
・Best wishes on your wedding.(ご結婚おめでとう。末永いお幸せを。)
・Best wishes on your new career.(新しいキャリアでのご活躍をお祈りします。)
・Best wishes for the new year.(新年おめでとう。よい年になりますように。)
ここでも、wish を単数にはせず、必ず wishes と複数形にします。たくさんの幸せ・願いを込めているイメージです。
Best wishes は、結婚・転職・引っ越しなど、「これから新しい生活が始まる」場面と相性が良い表現です。Congratulations と組み合わせて、
Congratulations on your wedding. Best wishes for your future together.
(ご結婚おめでとうございます。お二人の末永いお幸せをお祈りします。)
のように使うと、カードやスピーチとしてとても自然な英語になります。
このあたりの使い分けは、英会話スクールのコラムなどでも詳しく解説されています。参考までに、祝福表現を多くまとめた レアジョブ英会話公式ブログの記事 も確認しておくと理解が深まります。

スラング表現と注意点
最後に、ネットやゲームでよく見るスラング系の「おめでとう」をまとめます。意味を知らないと会話についていけませんが、かといって誰にでも使えるわけではありません。どこまでがOKで、どこからが失礼になりうるのかを整理しておきましょう。
gratsやgratzの意味
grats / gratz は、congrats をさらに崩したネットスラングです。
意味は「おめでとう」「やったな!」で、オンラインゲームやチャットでよく使われます。
イメージとしては、日本語の「おめ!」や「おめでとー!」に近く、かなりくだけた表現です。スペルは grats / gratz どちらも見かけますが、どちらも通じます。
使い方の例を見てみましょう。
-
英語:Grats on your level up!
日本語:レベルアップおめ! -
英語:Gratz on your new job!
日本語:転職おめ!(かなりフランク) -
英語:Grats! That was a tough boss fight.
日本語:おめ!今のボス戦はきつかったね。
※grats / gratz は、あくまで仲の良い友達・ゲーム仲間などに限定して使う表現です。ビジネスメールや初対面の相手には絶対に使わないようにしましょう。
GGやkudosなどの用法
スラングやくだけた称賛表現には、ほかにもさまざまなものがあります。ここでは、「おめでとう・よくやった」の気持ちを伝える代表的なものを紹介します。
オンライン対戦ゲームで、試合後に「いい試合だったね」「お疲れさま」という意味で使われる言葉です。
基本的には負けた側が勝った側に送るのがマナーで、勝者が GG と言うと上から目線に聞こえる場合があります。
・GG, guys!(みんな、ナイスゲーム!)
・That was fun. GG!(楽しかったよ。お疲れ!)
・kudos
kudos は「称賛」「賛辞」という意味の少しかための単語です。仕事やプロジェクトの成果などに対して「よくやった」「立派だ」というニュアンスで使われます。
・Kudos to you for your great work on this project.
(このプロジェクトでの素晴らしい働きに拍手を送ります。)
・Kudos! You really deserve it.
(お見事!本当にその評価に値するよ。)
・props
props はストリート系のスラングで、「リスペクト」「称賛」という意味です。
・Props to you!(さすがだね!おめでとう。)
・Props to the team for winning the finals.(決勝で勝ったチームに拍手!)
・way to go
way to go は、「よくやった」「その調子」という励まし+お祝いの表現です。
・Way to go, Tom! You did it!
(やったね、トム!やり遂げたね!)
・You passed the exam? Way to go!
(試験受かったの?すごいじゃん!)
これらはどれもフォーマルではありませんが、kudos は比較的ビジネスの口語でも見かける表現です。逆に props や GG は、ほぼカジュアル専用と考えたほうが安全です。
失礼にならない使い方
スラングは、使いこなせるとかっこよく見えますが、使い方を間違えると「なれなれしい」「バカにしている」と受け取られてしまうこともあります。失礼にならないためのポイントを3つにまとめます。
grats / GG / props などは、基本的に「同世代の友達」「ゲーム仲間」など、距離が近い相手に限定しましょう。目上・年配・初対面・ビジネスでは使わないのが安全です。
2つ目は、場面との相性です。
たとえば、出産や結婚などの繊細なライフイベントでは、あまりにくだけた表現を使うと軽く見えることがあります。
・Congratulations on your wedding.(標準的で無難)
・Grats on getting married!(かなり砕けていて、人によっては不快)
3つ目は、文化的な受け取り方です。英語圏でも、「結婚や出産にCongratulations を使うのは、上から目線に感じる」という意見が一部にあります。
特に子どもや結婚に関する話題はデリケートなので、
・Congratulations だけでなく Best wishes for your future. なども組み合わせる
・相手との関係が浅いときほど、シンプルで丁寧な表現を選ぶ
といった配慮をすると安心です。
※日本人学習者は、「おしゃれに見えるから」とスラングをメールに入れてしまいがちですが、まずは「相手がどう感じるか」を優先して表現を選ぶことが大切です。

まとめ
最後に、「おめでとう」の英語表現について、この記事全体の要点を整理します。復習や実践のときに見返してみてください。
- 日常会話の「おめでとう」は、必ず Congratulations と複数形で使う(congratulation はNG)
- 成果・達成・節目には Congratulations on + 名詞 / 動名詞 を使うのが基本パターン
- 誕生日・新年・記念日など日付イベントは Happy ~ で表現し、Congratulations は通常使わない
- 未来の幸せ・新しい門出には Best wishes on / for ~ が穏やかで丁寧な言い方
- congrats はカジュアルな略語で、友人・同僚・SNS向け。ビジネスや目上には避ける
- grats / gratz, GG, props などはネット・ゲーム・若者文化のスラングで、仲間内限定と考える
- ビジネスメールやフォーマルな場面では、Congratulations / Best wishes / congratulate など略していない形だけを使う
- 結婚・出産などデリケートな話題では、シンプルで丁寧な表現を選び、軽すぎるスラングは避ける
- 日本人がしがちな誤用は、「誕生日に Congratulations」「congratulation と書く」などで、いずれも Happy / 複数形に直す
- 迷ったときは、「成果=Congratulations」「日付=Happy」「門出・未来=Best wishes」という3つの軸で考えると選びやすい

