英語の長文を解いていて「時間が足りない…」と感じるとき、その原因の多くは「読む速さ(WPM)」にあります。
WPM(Words Per Minute)は、1分間にどれだけの英単語を理解しながら読めるかを表す指標です。
この記事では、日本人学習者とネイティブの平均、共通テストや大学入試、TOEICで必要なWPMの目安、正しい測り方、そしてWPMを上げる具体的トレーニングまでを一気に整理します。
自分の現在地と目標WPMがはっきりすると、学習計画も立てやすくなります。数字をうまく使いながら、ムリなく「速く、正確に読める英語」を目指しましょう。
- WPMの意味と、誰でも使えるカンタンな計算方法がわかる
- 日本人・ネイティブ・試験別のWPM目安から自分の位置がわかる
- 正しいWPM測定のやり方と注意点が具体的にわかる
- WPMを上げるためのトレーニング手順とコツが整理できる
WPMの意味と平均値の目安
ここでは、まずWPMの基本を押さえます。意味と計算方法、日本人学習者の平均とネイティブの平均を比べて、自分の現在地をイメージできるようにしましょう。
WPMの定義と計算式
WPM(Words Per Minute)は、「1分間に理解しながら読める英単語数」を表す指標です。
ポイントは、「ただ目で追った速さ」ではなく「内容をきちんと理解できている速さ」であるということです。
計算式はとてもシンプルです。
WPM = 読んだ英単語数 ÷ 読むのにかかった秒数 × 60
たとえば、300語の英文を2分(120秒)で読んだ場合は次の通りです。
300 ÷ 120 × 60 = 150WPM
つまり「150WPMで読めた」ということになります。
もう一つ例を出します。750語の英文を5分(300秒)で読み終えたとします。
750 ÷ 300 × 60 = 150WPM
こちらも同じく、150WPMです。
このように、何語の文章でも、かかった時間がわかればWPMに直せます。
WPMを使う最大のメリットは、自分の読解スピードを客観的な数字で管理できることです。
「前より速くなったか」「目標試験までにどれくらい伸ばす必要があるか」がはっきりします。
日本人学習者の平均値
日本人の英語学習者は、どれくらいのWPMで読んでいるのでしょうか。
さまざまな調査や教育現場でよく使われる目安をまとめると、次のようなイメージになります。
| 層 | 平均WPMの目安 | 状況イメージ |
|---|---|---|
| 日本の中学生 | 約50WPM | 辞書を引きながらで、読むだけで時間いっぱいになりがち |
| 日本の高校生 | 約75WPM | 共通テストレベルだと「読むだけでほぼ時間切れ」になりやすい |
| 一般的な日本人学習者 | 約80〜100WPM | 短めの長文なら何とか読めるが、試験では時間がシビア |
たとえば、共通テスト級の長文(合計4,000語前後)を、高校生平均の75WPMで読むとどうなるかをざっくり計算すると、
4,000 ÷ 75 ≒ 53分
となり、読むだけで50分以上かかってしまいます。
実際の試験時間は80分前後なので、設問を解く時間がほとんど残りません。
このように、「高校生平均レベルのWPM」では、今の入試英語には足りないというのが現実です。
ここから「試験では何WPMが必要か」を考えていくことが大切です。
ネイティブ平均との比較
英語ネイティブの成人は、どれくらいの速さで英文を読んでいるのでしょうか。
複数の研究や教育サイトのまとめでは、次のような数字がよく紹介されています。
別の英語学習サイトでも、ネイティブの「一般的な読書速度」を200〜250WPM程度と紹介しています。
日本人学習者の平均(80〜100WPM前後)と比べると、約2〜3倍の差があります。
ただし、ここで大事なのは「ネイティブ並み=250WPMを今すぐ目指さないとダメ」という意味ではないことです。
試験対策でまず意識したいのは、150WPM前後のラインです。
150WPMまで到達すると、
というメリットがあります。
ネイティブレベル(200〜250WPM)は、試験を超えて「実務や洋書多読で困らない速さ」を目指す段階の目標と考えるとよいでしょう。
なお、日本人学習者の読解速度向上については、英語教育の研究でも「時間を計って読む指導」「多読指導」が有効だと報告されています。
興味があれば、大学の英語教育研究なども参考になります(例:大学教育学部の研究ページ(例)など)。

日本人平均やネイティブ平均と比べつつ、「まずは150WPM前後」を現実的な第一目標にすると、試験でも実感できる効果が出やすくなります。
試験別のWPM目安と到達基準
ここからは、「実際の試験でどれくらいのWPMが必要なのか」を具体的に整理します。
共通テスト、大学入試(特に難関大)、TOEICでの目安を知ることで、自分の目的に合った目標WPMがはっきりします。
共通テストでの必要WPM
共通テスト(旧センター試験)は、近年とくに「長文化」と「速読重視」が進んでいる試験です。
例えば、2018年度センター試験英語(筆記)の総語数は約4,200語でした。
共通テストも同程度かそれ以上の語数になることが多く、80分で解き切らなければなりません。
高校生平均の75WPMで4,200語を読むと、
4,200 ÷ 75 ≒ 56分
となります。読むだけで56分使ってしまうので、設問を考える時間は20分程度しか残りません。
見直しや迷った問題の検討時間を考えると、かなり厳しいことがわかります。
そこで、共通テストで時間に余裕を持つためには、
目安:120WPM程度
を一つのゴールと考えるのが現実的です。
120WPMなら、同じ4,200語を読むのにかかる時間は、
4,200 ÷ 120 = 35分
ほどです。
残り40〜45分を「設問を解く時間」として使えるので、読解だけで時間切れになるリスクがかなり下がります。
まとめると、共通テスト対策では、
というギャップを意識して、「読む速さ」をトレーニングしていくことが重要です。
大学入試・難関大の目安
一般的な私大入試や、難関大学(東大・早慶・MARCH、関関同立など)になると、必要なWPMはさらに高くなります。
理由は、文章量が多いだけでなく、内容が難しく、記述問題や内容一致問題の処理にも時間がかかるからです。
関西私大(産近甲龍、関関同立)などの2018年度入試問題を分析したデータでは、
「出題語数×1.5(読み直しなどを含めた実際の読書量)」「解答に使える時間は試験全体の6割」という条件で計算すると、
理想的な読解速度は約150WPM
という結論が出ています。
また、Yahoo!知恵袋などでも、東大・早慶・MARCHクラスの長文を「時間に余裕を持って解き切る」ための目安として、150WPM前後がよく挙げられています。
150WPMは、高校生平均75WPMのちょうど2倍です。
つまり、難関大を目指す場合は、
という二つの課題を同時にクリアする必要があります。
なお、「本当の速読」と言われるような1,000WPM以上の特殊な読み方は、大学入試では不要です。
大事なのは、150WPM程度の現実的な速さで、内容理解を維持できることです。
TOEICリーディングの目安
TOEICのリーディングセクション(特にパート7)は、時間との勝負です。
多くの受験者が「最後まで解き終わらない」「塗り絵になってしまう」と感じています。
TOEIC対策スクールや教材の多くは、パート7で必要な読解スピードとして、
150〜200WPM
を目安にしています。
日本人一般学習者の平均(80〜100WPM)とネイティブ(200〜250WPM)のちょうど中間〜やや上あたりのイメージです。
TOEICの長文パートを想像してみてください。
メールや広告、記事などが連続して出てきますが、1問1問の文章量は、大学入試の最難関レベルよりは少し短めです。
その代わり問題数が多いので、全体としてはかなりの情報量になります。
このため、
あたりを一つの目安にするとよいでしょう。
TOEICの運営団体IIBCが紹介する教材でも、「まずは150WPM以上を第一目標に」と示されており、これは大学入試の目安とも大きくズレていません。
TOEICの公式情報や学習ガイドは、IIBCのサイトからも確認できます(例:IIBC公式サイト)。

まずは自分の現在のWPMを測り、「目標との差」をはっきりさせるところから始めましょう。
正しいWPMの測り方と注意点
ここでは、WPMを正しく測る手順と、やってしまいがちな失敗を整理します。
数字を信頼できるものにするために、「語彙レベル」「理解度チェック」「測定条件」をそろえることが大切です。
測定手順と計算のやり方
自分のWPMは、次のステップで簡単に測れます。
それぞれを少し詳しく説明します。
① 教材を選ぶ
・自分のレベルに合った英文を選びます。
・目安として、知らない単語が2割以下(8割以上はわかる)くらいの教材が理想です。
② 語数を数える
・ネット上の英文なら、コピーして「単語数カウント」のサイトに貼り付ければ自動で数えてくれます。
・紙の本なら、平均的な1行の単語数を数えて「1行の単語数×行数」でおおよその語数を出します。
③ 時間を計って読む
・ストップウォッチやスマホのタイマーを準備します。
・スタートと同時に読み始め、読み終わった瞬間にストップします。
・このとき、「普段どおりのペース」で読むことが大切です。無理に速く読まないようにしましょう。
④ WPMを計算する
・計算式は「WPM = 語数 ÷ 秒数 × 60」です。
・例:600語を3分(180秒)で読んだ → 600 ÷ 180 × 60 = 200WPM。
⑤ 理解度を確認する
・ここがとても重要です。
・後でくわしく説明しますが、「何となく流し読みしただけ」のWPMは意味がありません。
・内容理解のテストをして、正しく読めていたかを必ずチェックしましょう。
なお、Web上でWPMを自動測定できる無料ツールもあります。
たとえば、レベル別の英文と理解度テストがセットになった「英語総合読解力測定メジャーさん」のようなサービスでは、
読んだあとに4問前後の設問に答えることで、「理解をともなったwpm」を測る工夫がされています。
理解度チェックと空読み防止
WPMを測るうえで一番大切なのは、「速さだけを追いかけて、内容が頭に入っていない状態」を避けることです。
ここを間違えると、いくら数字が伸びても試験の点数にはつながりません。
理解度をチェックする方法として、次のようなやり方が有効です。
たとえば、内容理解の質問に半分も答えられない場合、そのWPMは「空読みの速さ」だと考えた方が安全です。
反対に、正答率が8割以上であれば、「理解を保ったうえでのWPM」として信頼できます。
特に試験対策では、
・WPM
・正答率(理解度)
の2つをセットで管理する意識が大切です。
「WPMは伸びたけれど正答率が落ちた」ときは、速さを上げすぎているサインなので、少しスピードを落として練習し直しましょう。
※WPMの数字だけを目的にすると、返り読みをやめて「ただ目を滑らせるだけ」になりがちです。必ず理解度チェックをセットにしてください。
教材レベルと測定条件
正しいWPMを測るには、「どんな英文を」「どんな条件で」読むかも重要です。
次のポイントを意識しましょう。
① 教材レベル
・自分のレベルに合った英文を選びます。
・知らない単語が多すぎると、辞書を引く時間や考え込む時間が増え、WPMが正しく出ません。
・目標試験がある場合は、その試験レベルと同程度の長文を使うのが理想です。
② ジャンルと長さ
・できれば、ニュース記事や説明文など、試験に近いジャンルを使います。
・あまりに短い文章だと、誤差が大きくなります。最低でも300語以上、できれば500〜800語程度の長文で測ると安定します。
③ 測定環境
・静かな場所で、途中でスマホの通知などに邪魔されないようにします。
・一度読み始めたら、中断せずに最後まで読み切ることをルールにしましょう。
④ 条件をそろえる
・成長を確認するためには、できるだけ同じ条件で測ることが大切です。
・同じくらいの難易度・長さの文章で、同じように時間を計って、理解度テストも同じ基準でチェックします。
これらを守ることで、WPMの数字が「そのときの気分」ではなく、「本当の実力の変化」を反映するようになります。

レベルに合う英文を使い、毎回同じ条件で測ることで、数字がそのまま実力の伸びを表すようになります。
WPMを上げる具体的トレーニング
最後に、WPMを実際に上げていくための具体的なトレーニング方法をまとめます。
大切なのは、「基礎 → 音読・シャドーイング → 多読・速読フォーム」というステップで段階的に進めることです。
語彙文法の基礎固め
WPMを上げる一番の土台は、実は「単語力と文法力」です。
知らない単語や、理解があいまいな文法が多いほど、読むスピードは必ず落ちます。
理由はシンプルで、
からです。これでは、どれだけ目の動かし方を工夫しても、WPMはなかなか上がりません。
目安としては、
「文中の8割以上の単語がわかる」「基本文法でつまずかない」
状態をまず目指しましょう。
・中学〜高校の基本文法を、一冊の参考書でざっと復習する
・目標試験レベルに合った単語帳で、毎日少しずつ単語を増やす
といったシンプルな学習が、結果的にWPMアップの近道になります。
特に、大学入試やTOEICを目指す場合は、
・高校基礎レベルの文法(時制・関係詞・分詞構文など)
・入試・TOEIC頻出の2,000〜3,000語程度の語彙
をしっかり固めることで、「読むときに止まるポイント」が一気に減ります。
そのうえで速読トレーニングをすると、数字が伸びやすくなります。
音読とシャドーイング活用
WPMを上げたいのに、「なぜ音読やシャドーイングが大事なの?」と疑問に思う人も多いです。
実は、私たちは黙読しているときも、多くの場合「頭の中で英語を音として再生しながら」意味を理解しています。
このとき、発音の基礎がしっかりしている人は、頭の中での処理もスムーズなので、同じ文章でも速く正確に読めます。
一方、発音があいまいだと、単語を一つずつバラバラに処理してしまい、スピードが出ません。
具体的なトレーニングの流れとしては、次のようなサイクルが効果的です。
このサイクルを回すと、
・「前から前から」英語の語順で理解する感覚
・音と意味が結びついた、速い処理スピード
が身につきます。
また、黙読と音読の「処理スピード」の違いも意識しておくとよいでしょう。
例えば「interesting」という単語を、声に出して読むと1秒近くかかるイメージですが、黙読なら一瞬で意味を取れます。
「音読のペース=黙読のスピード」になっている人は、150WPMに届きにくいので、
音読でスラスラ読めるようになった文章を、次のステップとして「黙読でさらに速く読む」練習に移すことが大切です。
多読と速読テクニック
基礎と音読の土台ができたら、いよいよ「多読」と「速く読むフォームづくり」です。
ここで大事なのは、「たくさん読む」ことと同時に、「読み方のコツ」を身につけることです。
多読の基本ポイントは次の通りです。
これに加えて、「速読テクニック」として次のようなコツを意識すると、WPMが一段と伸びやすくなります。
① 返り読みをやめる
・日本語のクセで、英文を何度も行ったり来たりして読むと、どうしても遅くなります。
・前から前へ、英語の語順のまま理解することを意識しましょう。
② チャンク(意味のかたまり)で読む
・一語ずつではなく、「意味のかたまりごと」に区切って読みます。
・スラッシュリーディング(/で区切って読む)を使うと、チャンクの単位がつかみやすくなります。
③ スキミングとスキャニングを使い分ける
・スキミング:要点だけをつかむために、ざっと全体を読む読み方
・スキャニング:必要な情報だけを探すために、キーワードを拾う読み方
・試験では、「全てを100%精読する」のではなく、問題に応じて読み方を切り替えることが重要です。
多読と速読フォームのトレーニングを数ヶ月続けると、WPMが20〜50程度伸びるケースも珍しくありません。
もちろん個人差はありますが、週数回〜毎日続けていけば、「時間に追われずに読める感覚」が少しずつ身についていきます。

どれか1つだけではなく、この3つをバランスよく回すことで、150WPMラインが現実的な目標になっていきます。
総括
最後に、この記事の要点をWPM目安と学習ステップの観点から整理します。
復習と今後の学習計画づくりに役立ててください。
WPMは、英語の「速さ」を見える化してくれる便利な指標です。
一度測って終わりではなく、数ヶ月おきに同じ条件で測り直しながら、自分の成長を数字と手応えの両方で確かめていきましょう。
