英語の文章やビジネスメールでよく出てくる「as to」。意味はなんとなく「〜について」だと分かっていても、about や regarding との違い、文頭での使い方、「as to whether」などの型までは、はっきり説明しにくいかもしれません。
この記事では、「as to」のコアの意味から、主な3つの用法、疑問詞との組み合わせ、ビジネスメールでの自然な使い方までをまとめて解説します。
文法用語はできるだけシンプルにしつつ、実際に使える例文を多めに紹介しますので、「読める」だけでなく「自分でも書ける」レベルを目指せます。
- 「as to」の基本的な意味と、コアとなるイメージが分かる
- 3つの主要用法(〜について/話題転換/〜に応じて)の違いが整理できる
- as to whether / why / what などの型をスムーズに読み書きできる
- ビジネスメールで自然に使える「as to +名詞」の定番パターンを身につける
「as to」の基本意味と正体
まずは「as to」がどんな品詞なのか、そして日本語ではどうイメージすればよいのかを押さえます。ここが分かると、その後の用法の整理が一気に楽になります。
複合前置詞としての品詞
結論から言うと、「as to」は複合前置詞です。
「as」と「to」がバラバラに働くのではなく、「as to」で1つの前置詞として働き、「〜について」「〜に関して」という意味を持ちます。
そのため、基本の形はいつも同じで、
のどちらかになります。
文の中では、前置詞句として働き、情報の「対象」や「話題」を示します。
なお、日本の学習辞書でも「前置詞的成句」「熟語」としてまとめて扱われており、学校文法でも前置詞に近い存在として説明されることが多いです。例えば、weblio英和辞典でも「as to」は「〜に関して」の意味で前置詞句として整理されています(参考:weblio英和辞典の as to の項目)。
コアの意味と代表的訳
「as to」のコアの意味は、ひと言でいうと「ある話題・点について焦点を当てる」ことです。
そこから、代表的な訳は次のようになります。
よくある名詞との組み合わせを見てみましょう。
-
英語:We have no information as to the cause of the problem.
日本語:その問題の原因についての情報はありません。 -
英語:There is some doubt as to his honesty.
日本語:彼の誠実さについてはいくらか疑いがあります。 -
英語:I’m not sure as to the exact time.
日本語:正確な時間についてはよく分かりません。
どの場合も、「何の話題か」「どの点のことか」を示しています。
この「話題の枠をはっきりさせる」というイメージを持っておくと、後の用法も理解しやすくなります。
後ろに来る語句のパターン
「as to」の後ろには、大きく分けて次の2パターンが来ます。
名詞をとる場合は、単純に「〜について」と考えればOKです。
-
英語:I have a question as to the new system.
日本語:新しいシステムについて質問があります。 -
英語:We reached an agreement as to the price.
日本語:価格について合意に達しました。
疑問詞節をとる場合は、「〜かどうかについて」「なぜ〜なのかについて」といった訳になります。これについては、後の「as to whether などの型」の章でくわしく扱います。
また、「as to」は文頭にも文中にも置けます。
文頭:As to your suggestion, we need more time to think.
文中:We need more time to think as to your suggestion.
どちらでも意味は変わりませんが、文頭に置くと「話題転換」のニュアンスが強くなります。

「as to」の主要用法3パターン
ここからは、「as to」が実際にどう使われるかを3つの代表パターンに分けて整理します。意味はどれもコアは同じですが、使い方や訳し方が少しずつ変わります。
基本の「〜について/に関して」
まずは一番よく使うパターンです。
この用法では、「as to」はシンプルに「〜について/〜に関して」と訳せます。
よく一緒に使われる名詞には、次のようなものがあります。
ビジネスやレポートでよく見る定番パターンです。
-
英語:Do you have any information as to the schedule?
日本語:スケジュールについて何か情報はありますか。 -
英語:We had a long discussion as to the next steps.
日本語:今後の対応について長く議論しました。 -
英語:There is some concern as to the safety of this product.
日本語:この製品の安全性についていくらか懸念があります。
この用法は、about や regarding とほぼ同じ意味で置き換えられることが多いです。
ただし、about より少しだけフォーマルで書き言葉寄りというイメージを持っておくとよいでしょう。
話題転換の「〜について言えば」
次に、文頭で使う「as to」です。
この用法では、「as to 〜, …」の形で、「〜について言えば…」「〜に関しては…」と話題を切り出します。
日本語でも「その点について言えば…」と前置きしてから本題に入ることがありますね。
「As to 〜」は、まさにその英語版です。
-
英語:As to your question, we’ll get back to you by tomorrow.
日本語:ご質問について言えば、明日までに回答いたします。 -
英語:As to the budget, we still need to discuss it internally.
日本語:予算に関しては、社内でさらに検討が必要です。
この用法は、「as for」とかなり近いです。
As to the schedule, … ≒ As for the schedule, … (スケジュールについて言えば…)
違いをざっくり言うと、
というイメージです。
実務のビジネスメールでも、この「As to 〜, …」の形はよく使われます。
「〜の点で/〜別に/応じて」
3つ目は、「分類・基準」を表す用法です。
この場合、「as to」は「〜の点で」「〜別に」「〜に応じて」といった訳が自然になります。
よく続く名詞は、size(大きさ)、price(価格)、color(色)、quality(品質)など、「区別の基準」になるものです。
-
英語:The products are classified as to size and color.
日本語:製品はサイズと色ごとに分類されています。 -
英語:We offer several options as to price.
日本語:価格の点でいくつかの選択肢をご用意しています。 -
英語:Fees vary as to the type of service.
日本語:料金はサービスの種類に応じて異なります。
この用法では、「in terms of」「by」などに近い意味になることも多いです。
例えば、Fees vary as to the type of service. は、Fees vary by the type of service. や Fees vary in terms of the type of service. とほぼ同じように言い換えられます。
特にカタログ、規約、説明書など、少し硬めの文書でよく見かける使い方です。

疑問詞や名詞との具体的な使い方
次は、「as to whether」「as to why」など、疑問要素と組み合わさるパターンと、「省略してもいいのか」「人を目的にとってよいのか」といった細かい疑問に答えていきます。ここをおさえると、長めの英文もぐっと読みやすくなります。
as to whether などの型
「as to」は、whether / why / what / how などの疑問詞とセットでとてもよく使われます。
このときのイメージは、「〜かどうかについて」「なぜ〜なのかについて」といった「疑問の中身」を話題として取り上げることです。
代表的なパターンを見てみましょう。
-
英語:There is a debate as to whether we should change the policy.
日本語:方針を変えるべきかどうかについて議論があります。 -
英語:I’m confused as to why the system stopped suddenly.
日本語:なぜシステムが急に止まったのかについて混乱しています。(=よく分かりません) -
英語:We are unsure as to what we should prioritize.
日本語:何を優先すべきかについて確信が持てません。 -
英語:She asked as to how we could reduce the costs.
日本語:どうすればコストを下げられるかについて彼女は尋ねました。
どれも、「as to + 疑問詞節」が「〜かどうか/なぜ〜なのか/何を〜なのか/どう〜なのかという点」のように訳せます。
よく一緒に使われる動詞・形容詞としては、
などがあります。これらはビジネス文書やニュース記事などで頻出です。
省略できる場合と訳し方
実は、疑問詞節が続く場合、「as to」が省略されることもよくあります。
例えば、次の2文はどちらも自然です。
-
英語:Nobody could decide as to what to do next.
日本語:次に何をすべきかについて誰も決められませんでした。 -
英語:Nobody could decide what to do next.
日本語:次に何をすべきか誰も決められませんでした。
意味はほぼ同じで、訳し方も変わりません。
ただし、「as to」を付けたほうが、「〜という点について」というニュアンスが少しだけ強くなり、フォーマル度も上がります。
読み手としては、次のように考えると楽です。
ですから、英語を読むときは、「as to」があれば「〜について」、省略されていれば「that 以下の内容そのもの」として捉えれば、意味としては問題ありません。
人を目的に取るときの注意
「as to」は基本的に「物事」について使う前置詞です。
そのため、人そのものを直接続ける「as to you」のような形は、普通の文脈ではあまり使いません。
自然なのは、「その人に関する事柄」を名詞で表して使う形です。
-
自然:As to your request, we’ll respond by Friday.
日本語:あなたのご依頼については、金曜日までに対応します。 -
不自然:As to you, we’ll respond by Friday.
日本語:あなたについては、金曜日までに対応します。(言えなくはないがかなり不自然)
同じように、
のように、「人+に関する名詞」をとる形が基本です。
カジュアル会話で「As for me, …」(私に関しては〜)と言うことはありますが、「As to me, …」はかなり不自然です。
人について言いたいときは、
のような、より自然な表現を使うのがおすすめです。
この「人そのものには基本使わない」という感覚は、多くの英語学習サイトでも指摘されています(参考:RareJob English Lab「~について」の英語表現の使い分け)。

類似表現との比較とビジネス用法
最後に、「about / as for / regarding / in terms of」など、似た表現との違いをまとめます。あわせて、ビジネスメールやレポートでよく使うコロケーション(よく一緒に出る語)も紹介します。
about などとの違いと使い分け
「〜について」を表す代表的な表現と、「as to」との違いをざっくり整理しておきましょう。ここでは、主にニュアンスとフォーマル度に注目します。
| 表現 | 主な意味 | フォーマル度・ニュアンス | 典型シーン |
|---|---|---|---|
| about | 〜について | 最も一般的・カジュアル寄り | 日常会話、ライトなメール全般 |
| as to | 〜について/〜の点で | ややフォーマル、書き言葉寄り | 説明文、ビジネスメール、レポート |
| as for | 〜について言えば | 話題転換、会話寄り | スピーキング、カジュアルな文 |
| regarding / concerning | 〜に関して | フォーマル寄り、ビジネス定番 | ビジネスメール、案内文、公式文書 |
同じ内容を言うときの例を見てみましょう。
-
about:Do you have any questions about the project?
→ 一般的でフラット。日常会話〜仕事まで幅広くOK。 -
as to:Do you have any questions as to the project?
→ 少し説明文・書き言葉寄りの印象。 -
regarding:Do you have any questions regarding the project?
→ ビジネスメールなどでとてもよく使う形。
迷ったときの目安としては、
と覚えておくとよいでしょう。
フォーマル表現との比較
「as to」はフォーマル寄りとはいえ、さらに硬い表現もあります。特にビジネスや法律文書では、次のような言い回しがよく使われます。
ニュアンスを簡単に整理すると、次のようになります。
with regard to / in regard to:
「〜に関して」「〜について」。
as to よりも少し長く、よりフォーマルな印象です。
in terms of:
「〜の点で」「〜の観点から」。
特定の側面をはっきり示すときに使います。
例文で比べてみましょう。
-
英語:As to cost, this option is the best.
日本語:コストの点では、この案が最も良いです。 -
英語:In terms of cost, this option is the best.
日本語:コスト面に関しては、この案が最も良いです。 -
英語:With regard to cost, this option is the best.
日本語:コストに関しましては、この案が最も良いです。
意味はほぼ同じですが、「in terms of」は「〜という観点で」、「with regard to」はフォーマルな言い回しという印象が強くなります。
「as to」はその中間くらいの位置で、フォーマルすぎず、くだけすぎてもいない表現といえます。
ビジネスでのコロケーション
最後に、ビジネスメールやレポートでそのまま使える「as to +名詞」の定番パターンをまとめておきます。これらをテンプレとして覚えておくと、英作文がかなり楽になります。
これを使ったビジネスメール風の例文をいくつか見てみましょう。
-
英語:If you have any questions as to the contract, please let us know.
日本語:契約書についてご不明点がありましたら、お知らせください。 -
英語:We will make a decision as to whether to proceed by next week.
日本語:進めるかどうかについては、来週までに決定いたします。 -
英語:There seems to be some confusion as to the new procedure.
日本語:新しい手順についていくらか混乱があるようです。 -
英語:Please follow the attached instructions as to how to fill in the form.
日本語:フォームの記入方法については、添付の指示に従ってください。
ここで気をつけたいのは、前置詞を重ねないことです。例えば、
※ NG 例:
× questions about as to the schedule
のように about と as to を続けてしまうのは誤りです。
「〜について」の前置詞は1つで十分なので、as to か about か、どちらか一方を選びましょう。
また、「as to」を文中で何度も繰り返すと、文章がとても堅く、読みにくくなります。
同じ意味を続けて使うときは、
のように、少しずつ言い換えてバランスを取るのがおすすめです。

まとめ
最後に、「as to」の使い方をもう一度コンパクトに整理します。復習やチェックに使ってください。
- 「as to」は複合前置詞で、コアの意味は「〜について/〜に関して/〜の点で」
- 後ろには「名詞(句)」か「whether / why / what / how などの疑問詞節」が続く
- 主な用法は①単純な「〜について」②文頭の話題転換「〜について言えば」③「〜の点で/〜に応じて」
- 「as to whether / why / what / how 〜」は「〜かどうか/なぜ〜なのかについて」と訳せばよい
- 疑問詞節の前の「as to」は省略できることも多く、省略しても意味はほぼ同じ
- 人そのものには基本使わず、「as to your request」のように“人に関する事柄”を名詞で表す
- about よりややフォーマル、as for より書き言葉寄りで、regarding / with regard to / in terms of と近い立ち位置
- ビジネスでは「information / question / decision / concern / confusion / instruction as to 〜」などが定番
- about / regarding など他の前置詞と重ねて使わない(× about as to 〜)ことに注意
- 一つの文書で「as to」を多用しすぎると堅くなるので、about などと適度に言い換えると読みやすくなる

